CULTURE 本・映画・音楽

シェア

知らなくては「いま」を生きられない2016年末に向けて
必ず読んでおくべき「必修本」

TAG

自分らしく自然体で生きる。そのために本当に必要な本だけが厳選され、販売されているのが「ブックストア「brisa libreria(ブリッサ・リブレリア)」です。今月もオーナーの元木忍さんに、心の栄養となる本をピックアップしてもらいましょう。

前回は、「心を整える本」がテーマでした。紹介したのは、心地よく過ごせる家で、日々のストレスから解放され、落ち着いて自分と対峙するための本。どちらかというと、「自身の内面を見つめ直す」本たちでしたが、一方で自分を取り巻く状況や問題を正しく理解し考えることも、自己を確立するために役立ちます。

いま、私たちはこの混沌とした時代にいて、たくさんの問題に直面しています。それはけっして身近な問題だけではありません。例えば、世界中で起きている争いごと、またこの国を根底から見つめ直す必要がある憲法改正。どんなに縁遠く感じていても、実はどれも自分の人生に遠からず影響を及ぼすもの。無関心を決め込んでは、もはやいられないのです。

いま、目の前にあるさまざまな問題。
理解することを、諦めないで。

「毎日、いろいろな出来事や事件が起こっていて、またそれは、昔より複雑になってきています。宗教の話、憲法の話などは特に、いまのうちにきちんと理解しておかなければ、これからどんどんわからなくなってしまうでしょう。『よくわからないからいいや』『そもそも興味なんてないし、私には関係ないことだし』と、思ったりしていませんか? これからは、流れになんとなく身をまかせるのではなく、“好き・嫌い”や“私はこう思う”と、自分の意思や感情をしっかりともたなければならない時代です」

元木さんは、そう語ります。

「意思や感情をもつためには、じゃあ知識はあるの? ちゃんと理解できているの? っていうことになってしまうが、大して知りもせずに好き嫌いをいうだけでは、無責任というものです。すべて起きていることは“自分のこと”として捉えて、まずは基本だけでも知りましょう。そうした、いまさら人には聞けない現代の時事ネタを、手っ取り早く理解できる本を、11冊ピックアップしました。現代に起きている出来事や問題は、これからもずっと続いていくものだから。そのはじめの一歩となる“突破口”を、まずは本から学んでみましょう」


Selected Books

Topic
核兵器のない世界

01_mg_3754


『「核なき世界」の終着点 オバマ 対日外交の深層』

吉野直也(著)
日本経済新聞出版社 ¥1,944

「今年を振り返ってみて、何が一番大きな出来事だったでしょうか? 2016年5月27日、オバマ氏はアメリカ大統領として初めて、被爆地・広島を訪問しました。謝罪はありませんでしたが、被爆者と向き合ったシーンは強く印象に残りました。この歴史的な出来事を巡って水面下で繰り広げられたパワーゲームを、7年もの間取材した記者の冷静な目線で記録した本です。これをちゃんと自分なりに理解することで、日本人としての見えない役割を持つような気がするのです」

 

 

Topic
イスラム世界

02_mg_3771

『コーラン(まんがで読破)』
Team バンミカス(著)
イースト・プレス ¥972

「世界中でテロ事件が後を絶たず、“イスラム”に対して、ネガティブなイメージばかりが先行しています。特に日本は地理的にも遠く、情報には少し偏りがあるようです。世界の約2/3の人がイスラム教徒だと、知っていましたか? 実は、私もイスラム世界についての本は数冊読んでみたんですが、難しくてどれも途中で挫折しています。そんなとき、外交官である知人に勧められたのが、この本です。コーランとは? イスラム教とは? わかりやすく飽きさせないようまとめてくれていますので、是非とも入門編として読んでみてほしい1冊です」

 

Topic
引き寄せの法則

03_mg_3780

『サラとソロモン 〜少女サラが賢いふくろうソロモンから学んだ幸せの秘訣〜』
エスター&ジェリー・ヒックス(著)、加藤三代子(訳)
ナチュラルスピリット ¥1,944

「“引き寄せの法則”はいま話題になっていますが、どんなものか知っていますか? 目的や目標を決めずに漠然と生きていてはだめ。まず自分がどうなりたいのか見定めること。ちゃんと知っていても、実践できないこともあるので、まずは目標を持ってちゃんと生きてみるってこと。そういった目標をもてるきっかけとなるのが、この物語のわかりやすさなんです。人間の言葉を話す不思議なふくろう、ソロモンが現れ、サラに幸せな人生を送る法則を、諭すように教えてくれます。例えば朝昼晩食べるとか、きちんと暮らすと幸せになる、幸せは自然とやってくると伝えています」

 

Topic
ポケモンGO

04_img_9927

『ポケモンの神話学 新版 ポケットの中の野生』
中沢新一(著)
KADOKAWA ¥864

「今年社会現象となったスマホゲーム『ポケモンGO』。子どもだけではなく、大の大人までが、日本を超えて、世界各地でスマホ片手にポケットモンスターたちの出現場所を追い求めて右往左往していますね。本書の著者は、このキャラクターが登場した当初から深い関心をもって研究してきた人物。ポケモンは、人々が失っていたかと思われていた“野生の思考”を、真面目に分析し取り戻させる存在なのだと解説している内容も実に面白い。この空前のブームが理解できないという人にも腑に落ちる話かもしれません」

 

Topic
生前退位

05_img_9928

『天皇陛下「生前退位」への想い』
保阪正康(著)
出版 ¥1,404

「7月に、天皇陛下がその位を生前に皇太子さまへ譲位したいとの意向を示している、という報道があり、日本中が驚きました。現行の皇室典範では、天皇の位は亡くなってはじめて、皇太子へ引き継がれることが定められています。でも何より、“役割を果たせなくなる前に”という真摯な想い、何年にも渡ってそう考えてこられたこと、その内容を自らビデオメッセージとして日本国民に伝えられたことは、大きな衝撃でした。本書では、陛下と交友のある著者がその真意を、専門の昭和史研究と照らしながら分析していて、今後の流れを見守りたい」

 

Topic
LGBT

06_mg_3749

『LGBTってなんだろう? 〜からだの性・こころの性・好きになる性〜』
薬師実芳・笹原千奈未・小川奈津己(著)
合同出版 ¥1,944

「最近よく耳にする“LGBT”ですが、何の略かすぐに答えられますか? L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダーのことを示しています。実はこれに該当する人は、20人に1人いるといわれているんですよ。こういった本は、学校の先生が読むことが多いそうですが、これだけの割合で存在するのですから、私たちの身の回りにもカミングアウトしていないLGBTの友人がいるかもしれません。どういった言葉や接し方、行動が彼らを傷つけてしまうのか、まずは知識として知っておかなければいけません」

 

Topic
集団的自衛権

07_mg_3768

『日本人が知らない集団的自衛権』
小川和久(著)
文藝春秋 ¥810

「いま日本を取り巻いている状況を考えると、何かしらの形で防衛力を高めることは必要。でも、法律を変えるべきか、どう変えればいいか、明確に答えられる人は少ないんじゃないでしょうか。この本は、日米同盟をやめたら日本はどうなるのか? 政府が想定しているのは、米軍とだけ行動するという前提のようですが? などと具体的に質問を挙げ、それに回答する形で解説しています。武装中立国として生きて行く道も提示されていて、深く・広く、それでいてわかりやすいという親切な本です」

 

Topic
Brexit

08_mg_3765

『EU崩壊』
木村正人(著)
新潮社 ¥734

「ヨーロッパへ旅行や出張しても、パスポートも見せずに渡り歩ける便利さも、すでに当たり前になっていてEUの実態や問題点は気にならなかったと思います。でも、誰もが否決されると思っていた、EU離脱に対するイギリスの国民投票で、世界がさらに変わりはじめています。これは2013年に出版された本ですが、すでに今回の“Brexit”(ブレクジット)といわれるイギリスのEU離脱やギリシャの経済危機は予想されています。現地での綿密な取材が反映されていて、そこへ至る状況を理解できます。最初からイギリスはEUに加盟したくなかったのかもしれない」

 

Topic
SMAP解散

09_mg_3774

『SMAP解散騒動の全内幕』
常田裕・宝島特別取材班(著)
宝島社 ¥1,296

「一アイドルグループの解散が、ここまで大きな騒動になるとは、とそのことがとても気になって読みました。普通、グループが解散するとなるとファンは悲しむけれど、それぞれの道を進んで、それぞれ活躍して、となってここまでのトラブルにはならないですよね。何が発端だったのか、何が起きどう進んでいるのか、それがどのようにファンや一般人に伝わっているのか、など一連の騒動について、タブーを恐れず順序立てて説明しています。テレビや新聞などでは分かりづらい内実を垣間見れます」

 

Topic
都知事、小池百合子

10_mg_3757

『女子の本懐 〜市ヶ谷の55日〜』
小池百合子(著)
文藝春秋 ¥896

「タイトルの“女子の本懐”とは、防衛大臣を退いたときに残した言葉。たった55日に終わった防衛大臣としての日々を綴った日記をまとめています。全体を通して感じるのは、彼女にしかできないやり方を通す信念、男性と同じやり方はしないという意志です。彼女には実績があるし、誰よりも自分を信じているのでしょう。一方で、子宮を全摘出したことへの葛藤も綴られていて、弱さや繊細さも。そこもバネにするように前進する小池さんが、都知事として闘っているいまこそ、読みたい本です」

 

Topic
ボブ・ディラン

11_mg_3745

『はじまりの日』
ボブ・ディラン(著)、ポール・ロジャース(絵)、アーサー・ビナード(訳)
岩崎書店 ¥1,728

「ノーベル文学賞をミュージシャンが受賞する、というビッグニュースは世界を驚かせましたね。当の本人はようやく沈黙を破って喜びのメッセージを出していますが、そのボブ・ディランの名曲『ForeverYoung』の歌詞をベースに詩人のアーサー・ビナード氏が訳詩をつけ、作られた絵本です。同時にアーサー・ビナードは絵の中にボブ・ディランに影響を与えた人物たちも登場させていて、それを探す楽しみも。“約束を守って、嘘をきらいますように”という一文は、とてもシンプルですが心に残ります」

 

 
取材・文=@Living編集部 撮影=田口陽介
 

Profile

b_mg_3836

元木 忍

brisa libreria 代表取締役。大学卒業後、学研ホールディングスで書店営業やマーケティング、楽天ブックスではECサイト運営や物流、CCCでは電子書籍ビジネスの立ち上げと、一貫して書籍にかかわる仕事を担当。東日本大震災を機に人生を見直し、2013年、サロンを併設したブックカフェ brisa libreria を南青山に開業。オーガニックスパサロン spa madera も経営している。