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サニーデイ・サービス 田中 貴 presents 女性も喜ぶ旬なラーメン「常識を覆す新発想のラーメン!
眼前で紡がれた打ち立て麺を楽しめる七彩」

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ラーメン好きなミュージシャンとして知られる、サニーデイ・サービスの田中 貴さん。年間600杯以上を食べ歩く田中さんが、女性にイチオシのお店を紹介するとしたら? そんな発想から2016年にはじまった本企画ですが、2017年の1杯目は驚きのお店からスタートします。

 

東京屈指の実力店が新発想で挑む
注文ごとに麺を打つ常識破りの一杯

やってきたのは、オフィス街のなかに美食の店が点在する八丁堀。東京駅につながる八重洲通り沿いに、今回の「麺や 七彩 八丁堀店」はありました。

「七彩はラーメン好きなら誰もが知る名店。都立家政にある『食堂 七彩』の前身が『麺や 七彩』のはじまりで、僕はそのころから仲よくさせてもらってます。やがて東京駅内の『東京ラーメンストリート』にも出店し、2015年の卒業2か月後に移転オープンしたのがこの八丁堀店ですね。でも、普通の移転ではなくまったく新しい形のリニューアルだったので、話題性はハンパなかったです」(田中さん)

店内には白木が美しい13席のカウンター。職人の手さばきを間近で見ることができるのも特徴です
店内には白木が美しい13席のカウンター。職人の手さばきを間近で見ることができるのも特徴です

ラーメン好きの間で「正気なのか?」とまで言われるほど斬新だったという試みが、注文が入るごとに生地を打ち、できたての麺でラーメンを作るスタイル。厨房の入口側が製麺ゾーンになっていて、調理は小麦粉と水を計るところからはじまります。

粉、水、かん水、塩をボウル内で合わせ、柔らかなタッチでかき混ぜると瞬く間にまとまって生地に。麺棒で数回伸ばして小気味よく手切りし、絶妙な力加減で揉むと独特の縮れ麺が完成です
粉、水、かん水、塩をボウル内で合わせ、柔らかなタッチでかき混ぜると瞬く間にまとまって生地に。麺棒で数回伸ばして小気味よく手切りし、絶妙な力加減で揉むと独特の縮れ麺が完成です

「こねない、練らない、寝かさない。これは一般的な製法とは真逆で、型破りなんです。七彩の基本ジャンルは喜多方ラーメンで、本場さながらの手打ち麺のおいしさに定評があったんですが、これはある意味究極の手打ちですね。お客の目の前で粉と水を5分程度で麺にしてしまう技は、もはやイリュージョン。研究を重ねたというのもあるんでしょうけど、さすがとしか言いようがありません!」(田中さん)

麺の茹で時間はものの1分程度。すぐに「喜多方らーめん(醤油)」が出てきました。同店のラーメンは(醤油)と(煮干)の二枚看板。前者は煮干しの苦手な人や、ラーメンビギナーの外国人に向けた王道のテイストになっています。

喜多方らーめん(醤油)並盛150g(¥820)。弓削田醤油の「吟醸純生しょうゆ」をかえし(タレ)のベースに、丸鶏と煮干しによるスープを合わせた一杯です
喜多方らーめん(醤油)並盛150g(¥820)。弓削田醤油の「吟醸純生しょうゆ」をかえし(タレ)のベースに、丸鶏と煮干しによるスープを合わせた一杯です

「麺の高いクオリティはさることながら、ラーメンとしてのウマさはこのスープあってのこと。動物と魚介の相互のダシをベストバランスで合わせた、お手本のような深みのある味わいは、つい飲み干してしまうレベルです」(田中さん)

そして打ち立て麺のおいしさに関しても、改めて感動。ラーメンの麺は熟成によってコシと旨みを出すところ、同店ではそれをせずに素早く生地に仕上げています。そのため空気を含んだソフトな食感と、小麦のピュアな風味を楽しめるようになっているのだとか。

「食べ進めるとともに柔らかな麺肌がスープを吸収し、麺自体の味わいもタイムリーに変化が。さらに麺の表面が溶けることで、スープの深みに奥行きが加わっていきます。一般的に麺がのびることはよくないとされていますが、そのマイナスな状態をウマさに変える魔法が打ち立て麺には隠されているんですよ」(田中さん)

 

濃厚ながら酸味が効いたすっきり風味。
煮干しラーメン好きは必食のおいしさ

「使っている素材は同じでも、まったく違うおいしさ」と田中さんが絶賛するのが、もう一方の(煮干)。同店の煮干しは1種類で、前述の(醤油)にも使われていますが、ダシの濃度や油の分量、また醤油の種類を変えることでキャラクターの違いを生み出しているそうです。

喜多方らーめん(煮干)並盛150g(¥820)。(醤油)がふんわり系の風味なら、こちらはガッツリ系。煮干しの香ばしさが前面に出ていながらもエグみは皆無で、クセになるおいしさです
喜多方らーめん(煮干)並盛150g(¥820)。(醤油)がふんわり系の風味なら、こちらはガッツリ系。煮干しの香ばしさが前面に出ていながらもエグみは皆無で、クセになるおいしさです

「毎回進化を感じるんですが、またパワーアップして完成度が高まりましたね。凶暴といえるほど煮干しの旨みが効いているのに、酸味があってさっぱりしてる。これはたまんないです! 煮干しダシのラーメンが好きな人には絶対食べてほしいですね」(田中さん)

店主の阪田博昭さんによると、(煮干)は喜多方のレジェンド的名店「さゆり食堂」にインスパイアされた味わいなのだそう。「個人的に煮干しの効いたさゆりの味が好きだったというのもあるんですが、喜多方ラーメンのなかにはさゆりのような店もあるっていうことを知ってもらいたかったんです」(阪田さん)

阪田店主とのマニアックなラーメン談議に花を咲かせる田中さん。知人のラーメン好きから紹介され、いまではお酒を酌み交わすほどの仲だそうです
阪田店主とのマニアックなラーメン談議に花を咲かせる田中さん。知人のラーメン好きから紹介され、いまではお酒を酌み交わすほどの仲だそうです

七彩は、稲庭うどんの老舗「佐藤養悦本舗」と共同開発した「稲庭中華そば」や、東京の伝統的なご当地味噌「江戸甘味噌」を使った、個性的なラーメンを提供するのも特徴。その奥には「あまり知られていない食文化を伝えていきたい」という店主の想いが込められているのです。

 

ラーメンは細麺派という人の嗜好をも
七彩の打ち立て麺は変えるかもしれない

ところで、麺や 七彩 八丁堀店が女性にオススメな理由は、パフォーマンスの面白さや打ち立て麺のおいしさといったところでしょうか。田中さんにたずねると、さらに深い考察が。それは、確かにおっしゃる通りかもしれないというものでした。

「麺料理ってたくさんありますが、ラーメンでいうと太麺より細麺の方が好きという女性が僕の周りには多いんです。でもそれってイメージだったり、食わず嫌いだったりするんじゃないかなって。確かにサプライズ感たっぷりの麺打ちや、ほかにはないラーメンの味わいも七彩の魅力ですが、手打ちで縮れた太麺ならではおいしさを知ってほしいですね。ラーメンの麺はスープと同じぐらい奥が深くて多彩、そして未知なる可能性を秘めていますから。七彩がその醍醐味を楽しませてくれるはずです」(田中さん)

取材時、店主の代わりにラーメンを作ってくれた店長の佐藤勇二さん。ちなみに、七彩の店主は阪田さんのほかに藤井吉彦さんがいて、Wオーナー制というのも珍しい特徴です
取材時、店主の代わりにラーメンを作ってくれた店長の佐藤勇二さん。ちなみに、七彩の店主は阪田さんのほかに藤井吉彦さんがいて、Wオーナー制というのも珍しい特徴です

普通のスパゲッティより、幅広くてもちもちした手打ちパスタのほうが好きという女性は多く、またそばよりうどんの方が好きという女性もかなりいます。その点で考えれば、太麺の魅力に気づいていない細麺ラーメン派もいるかもしれません。

最後に田中さんはこうも言いました。「七彩は、誰もやったことがないからあえて斬新なことに挑戦するという、そんな心意気もステキだと思います。おいしいかも、やってみないとわからない。でも、トップレベルのラーメンを作れるからこその暴走ですよね。もうすぐ塩味も登場するようですし、これからの阪田さんと藤井さんの取り組みにも注目していきたいです」

業界のトップランナーが目指す、誰もたどり着けない味の新境地。もし太めのパスタやうどんは好きだけど、ラーメンは細麺派という人がいたら、ぜひ七彩で太麺の新境地を開拓してほしいと思います。
取材・文=中山秀明 撮影=三木匡宏


Shop Data

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麺や 七彩 八丁堀店
住所:東京都中央区八丁堀2-13-2
電話番号:03-5566-9355
営業時間:月〜金11:00~15:30(L.O.)/17:30~22:30(LO)、土日祝11:00〜21:00(LO)
定休日:第3火
アクセス:東京メトロ日比谷線ほか「八丁堀駅」A5出口徒歩2分

Profile

サニーデイ・サービス 田中 貴

田中 貴

2008年に再結成を果たし、以来ライブを中心にマイペースながらも精力的に活動を続けるサニーデイ・サービスのベーシスト。年間600杯以上を食べ歩くラーメン好きとして知られ、TVや雑誌などでそのマニアぶりを発揮することも多い。バンドとしては2016年8月3日に通算10枚目のアルバム『DANCE TO YOU』を発売した。2017年はグラスゴーのギターポップバンド、トラッシュキャン・シナトラズと7年ぶりの競演が実現。2月21日に東京・渋谷CLUB QUATTRO、24日に大阪・梅田CLUB QUATTROで行われる。