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「ほぼ日手帳」の生みの親に聞く糸井重里が思う、
デジタル時代にそれでも手帳を使う意味

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身体から出たものが文字になるわけで
タイピングしたものより親密になるんだと思います。

―これだけアイデアがあると、飽きることはなさそうですね。

糸井:新たに気づくこともありますから、飽きないですね。最近だと「『ほぼ日手帳』って、かばんとか洋服を作る感覚に似ているのかもしれない」って考えたりとかね。手帳とファッションって国境がないってことも共通点で、海外の人もけっこう買ってくれているんですよ。でも“日々の言葉”なんてPlanner以外は全部日本語なのに、大丈夫かなぁ(笑)

―デジタル時代になっても“書く文化”ってまだまだ強いんですね。

糸井:デジタルのよさをよくわかっていないぐらい、まだデジタルの歴史は浅いんじゃないかなと思うんです。書くことは太古の昔からずっと人間がやってきたことだから、そこに肉体感みたいなものを感じられますよね。身体から出たものが文字になるわけで。タイピングしたものより親密になるんだと思います。伝達と保存ではタイピングが便利だけど、やはり“自分感”は手書きじゃないとのっかってこないですね。

―糸井さんご自身は毎日「ほぼ日手帳」を使っていますか?

糸井:使ったり休んだりです(笑)。でもね、使ったほうが楽しいのは明らかなんです。“スケジュール表”って楽しくないでしょ。相手の都合で書くものだから。僕は「ほぼ日手帳」をつけるのは“権利”だと思ってます。「この箸袋をここに貼り付けてやれ」とか、なんでも自分の自由にできる。来年こそは必ず、何でも手帳につけるようにしようと決心したところ(笑)

糸井さんが愛用しているのは、「ほぼ日手帳」の定番サイズである、文庫本サイズの「オリジナル」。カバーは、手描きの図案をもとに、織りや染め、刺繍などを施した「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」の生地を用いたもの。ペンを挿すことで留められるバタフライストッパーに、気に入ったペン2本を挿しておくことで、手帳に書くことが増えるとか
糸井さんが愛用しているのは、「ほぼ日手帳」の定番サイズである、文庫本サイズの「オリジナル」。カバーは、手描きの図案をもとに、織りや染め、刺繍などを施した「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」の生地を用いたもの。ペンを挿すことで留められるバタフライストッパーに、気に入ったペン2本を挿しておくことで、手帳に書くことが増えるとか

Profile

hobohi

ほぼ日代表 / 糸井重里

1948年生まれ。群馬県出身。法政大学中退後、1970年代からコピーライターとして活動をはじめ、西武百貨店の「不思議、大好き。」「おいしい生活」など多くの名キャッチコピーを生んだ。作詞やゲーム製作など、活動は多岐にわたり、1998年にはWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。2002年版から「ほぼ日手帳」を毎年発売している。2016年12月に「東京糸井重里事務所」から、「株式会社 ほぼ日」と社名を変更。2017年3月には東証ジャスダックに上場も果たした。

 

取材・文=安藤政弘 撮影=真名子