キリッとした酸味と果実の甘やかな風味で人気のフルーツビネガー。その爽やかな味わいは、梅雨のじめっとした気分や、夏の蒸し暑さを軽やかに吹き飛ばしてくれます。しかも材料であるお酢は、疲労回復効果や食欲促進効果が期待でき、夏バテ対策にもおすすめ。
そこで前回は基本の作り方をご紹介しましたが、今回はフルーツビネガーを活用したアレンジレシピをお届けします。今回も教えてくれたのは、ヴィーガン菓子・料理研究家の今井ようこさん。保存期間内に飲みきれない……というときにおすすめです。
保存可能期間内に使いきれないときに!
フルーツビネガーのアレンジレシピ2つ

手作りしたフルーツビネガーの保存可能期間は約1か月。一般的には炭酸水や水で希釈して飲用するものですが、たくさん作りすぎてしまい期間内に飲みきれない……ということもあるでしょう。
そこで、フルーツビネガーの基本の作り方でレシピをご紹介した「甘夏ビネガー」と「グレープフルーツビネガー」を使ったアレンジドリンクと料理、2つのレシピをご紹介します。
・「おやつや朝食にも合う! フルーツビネガーの豆乳ラッシー風」
・「夏野菜たっぷり! アボカドとズッキーニのマリネサラダ」
まろやかなのど越しがおやつや朝食にピッタリ!
フルーツビネガーの豆乳ラッシー風

「小腹がすいたときにおすすめなのが、フルーツビネガーを使った豆乳ラッシー。大豆由来のたんぱく質を手軽に摂れるので、食欲がない朝の一杯にもピッタリです。豆乳に豆乳ヨーグルトを加えると、ラッシーらしいもったり感が出て、満足感もアップ。漬けた果実をトッピングすれば、彩りもよく、デザート感覚で楽しめます」(ヴィーガン菓子・料理研究家の今井ようこさん、以下同)
【材料(2人分)】

・甘夏ビネガー……大さじ2
・豆乳ヨーグルト……大4
・塩……2つまみ
・豆乳……300cc
【作り方】
1.甘夏ビネガーに豆乳ヨーグルトと塩を加えてよく混ぜる。

「材料を均等に撹はんするために、豆乳を入れる前に豆乳ヨーグルトと甘夏ビネガー、塩をよく混ぜ合わせます」
2.1に豆乳を注ぎながら混ぜ、氷を入れたグラスに注ぐ。

「1日あたり大さじ1杯(15ml)のお酢を摂ると、高めの血圧が下がる、肥満気味の方の内臓脂肪が減少する、運動後の疲労感が軽減するといった効果があるとの試験結果も報告されています。ドリンクであればお酢を15ml以上摂取するのも簡単。ただし、糖分も含まれているため、飲みすぎには気をつけてくださいね」
夏野菜たっぷり!
アボカドとズッキーニのマリネサラダ

「夏野菜をたっぷり使った、夏にぴったりの華やかなサラダ。ディルの爽やかな香りがアクセントになり、夏のおもてなし料理にもおすすめです。フルーツビネガーに漬けていた果肉を加えることで、見た目にも味にも華やかさがプラスされ、食欲をそそります。ドレッシングに加えるディルの量は、香りの好みに応じて調整してください」
【材料(2〜3人分)】

・ズッキーニ……1本
・赤玉ねぎ……1/4個
・黄パプリカ……1/2個
・プチトマト……5〜6個
・アボカド……1個
【ドレッシング】
・グレープフルーツビネガー……大さじ3
・塩……小さじ1/3
・こしょう……少々
・オリーブオイル……大さじ1.5
・ディル……1〜2枝
【作り方】
1.大きめのボウルにグレープフルーツビネガーと塩、こしょうを入れてよく混ぜ、混ざったらオリーブオイルを少しずつ加えながらさらに混ぜる。最後にディルをちぎって入れて馴染ませる。

「グレープフルーツビネガー、塩、こしょうをよく混ぜ合わせたあと、少量ずつオイルを入れることでドレッシングを乳化させます。ドレッシングにディルを入れると、ディルの芳香がドレッシングに溶け、爽やかな風味が加わります」
2.ズッキーニは1.5センチ幅の輪切りにし、オリーブオイル(分量外)を熱したフライパンで両面を色よく焼き、軽く塩を振る。赤玉ねぎはスライスして水に10分ほどさらし、水気を拭き取っておく。黄パプリカは薄くスライス、ミニトマトは半分に、アボカドは3センチ角程度に切る。

「野菜は一口で食べやすい大きさに切りましょう。アボカドは、大きめに切ると食べ応えが生まれ、見た目にもボリュームが出るのでごちそう感が高まります」
3.1のドレッシングに赤玉ねぎとパプリカを入れてよく馴染ませてから、残った野菜とビネガーに浸かっていたグレープフルーツの果肉を入れてざっくりと混ぜる。

「トマトやアボカドなど柔らかい野菜が崩れないよう、やさしく混ぜ合わせましょう。そのまま食べてももちろんおいしいですが、混ぜ合わせたあと、30分ほど冷蔵庫に入れておくと、味が 馴染みよりおいしくなりますよ」
ちなみに、ご紹介したディルのドレッシングは、エビや魚とも相性抜群だそう。シーフード料理などに活用するのもおすすめです。
ここ数年、さまざまな種類のフルーツビネガーが販売され、すっかり定番アイテムとして定着しています。実はその作り方はとてもシンプルで、3つの材料を漬けるだけ。
栄養面でも優れており、アレンジの幅も広いフルーツビネガーは、ぜひ自宅に常備しておきたい存在です。お好みのフルーツや酢、砂糖を使って、自分だけのオリジナルビネガー作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
Profile
ヴィーガン菓子・料理研究家 / 今井ようこ
大阪の製菓学校卒業後、神戸の製菓店勤務を経て株式会社サザビーに入社。アフタヌーンティー・ティールームの店舗でベーカリーやキッチン業務を学び、アフタヌーンティーのメニュー商品企画開発を経て独立。独立後はパンやお菓子の受注、KIHACHIソフトクリーム・パティスリーの商品開発、サンリオのカフェメニュー開発等を行う。友人の病気がきっかけでマクロビオティックを学び、吉祥寺オーガニックベース等で講師を行う。現在は、野菜や豆・海藻だけの料理と動物性原料を使わないお菓子作りの教室 「roof」を主催。なるべく体に負担がかからない料理やお菓子を提案している。
HP
取材・文=加賀美明子(Neem Tree) 撮影=鈴木謙介