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これがそうめん!? 驚きのアレンジレシピも。“ソーメン二郎”が教える
令和式「そうめん」道

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夏になると食べたくなるのが、そうめん。冷たいめんつゆに浸していただく、ツルッとしたのどごしは格別です。幼い頃の夏休みを思い出す、どこかなつかしくもあり夏の風物詩でもあるそうめんは、なんと1200年も前に、奈良県桜井市で誕生したと伝えられています。

そうめんは細く長く切れないことから、“ご縁が長く続きますように”という意味を込め、お中元の定番とされてきました。ところが、お中元文化の衰退とともにそうめんの需要は激減。“そうめん離れ”が進んでいます。さらに追い討ちをかけるのが、手延べそうめん職人の後継者不足。

この現状を危惧し、6年前からそうめんの普及活動に動き出したのが、そうめん研究家の「ラーメン二郎」ならぬソーメン二郎さんです。そうめん発祥の地、奈良県桜井市に生まれ育ち、親戚が三輪そうめんの製麺所「植田製麺所」を営んでいるというソーメン二郎さんに、あらためて知りたい、今こそ味わいたい、そうめんの魅力とアレンジレシピを教えていただきました。

 

実はいろいろ! そうめんの産地と種類

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そうめんには、日本を代表する“3大そうめん”というものがあります。ソーメン二郎さんの地元・奈良の「三輪そうめん」、兵庫の「揖保の糸(播州そうめん)」、そして香川の「小豆島そうめん」です。ほかにも、徳島の「半田そうめん」、岡山の「清流そうめん」、愛媛の「五色そうめん」、長崎の「島原の細糸そうめん」、熊本の「南関そうめん」など、そうめんの製麺所の多くは西日本に集中しています。

これは、そうめん作りに適した気候もさることながら、江戸時代のお伊勢参りの影響があったようです。「江戸時代、桜井市(三輪)は宿場町でした。奈良県よりも西にある地域から三重県の伊勢を目指し、お伊勢参りに向かう人々が、道中に三輪そうめんを食べるようになります。初めて食べたときは、極細麺の繊細な形と、のどごしの良さに衝撃を受けたでしょうね。そして、伊勢神宮に到着すると、やわらか丸腰の極太麺が特徴の『伊勢うどん』を食べます。伊勢うどんをすすりながら、対極にある極細麺の三輪そうめんの味をなつかしんだのではないでしょうか。こうして、そうめん作りが西日本の各地に広がったというのは容易に想像できます。ちなみに、東北方面にも製麺所があり、秋田の『稲庭そうめん』、宮城の『白石温麺』、富山の『大門素麺』などが有名です」(ソーメン二郎さん、以下同)

 

疫病から庶民を救う縁起物…令和こそ、そうめんを!

そうめん発祥の地・奈良県桜井市にある三輪山。(画像提供:三輪明神大神神社)
そうめん発祥の地・奈良県桜井市にある三輪山。(画像提供:三輪明神大神神社)

そうめんは、どのように誕生したのでしょうか?

今から約1200年前、疫病の流行で庶民の飢餓が深刻な問題になりました。ご祭神の子孫である「穀主(たねぬし)」が三輪山に救済を祈願したところ、巻向川と初瀬川に挟まれた三輪の地は小麦の栽培に適しているので、小麦を育て、保存食のそうめんを作り、地域の生業としなさいというお告げがあったことから、三輪そうめんが作られるようになったと言われています。

7月7日は、そうめんの日です。では、七夕にそうめんを食べるようになったのはなぜでしょうか?

奈良時代にそうめんの起源とされる「索餅(さくべい)」というお菓子が、遣唐使によって伝えられました。索餅は小麦粉や米粉を使ったねじり棒のような形で、当時は、平安時代の宇多天皇の時代から宮中に献上される高貴な品でした。唐の時代、中国の皇帝のご子息が疫病で7月7日に亡くなり、ご子息の好物であった索餅をお供えしたところ、疫病が治まったことから、無病息災を祈願して7月7日に索餅をお供えするように。索餅から今のそうめんに姿が変わっても、その風習が守られているようです。

「疫病から人々を救う食べものとして大切にされてきたそうめんは、震災などの有事に備える保存食にもぴったりです。歴史的背景にも思いを寄せながら、今こそ、そうめんを大切に味わいたいですね」(ソーメン二郎さん)

 

梅雨を越して熟成させた手延べそうめんが絶品な理由

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手延べそうめんは、12~1月の−1℃くらいの気温の頃に仕込みを始め、麺をひねりながら2本の管に8の字にかけて、熟成と引き延ばしを繰り返します。その後、乾燥させて仕上げへ。木箱に収納され、そのまま梅雨を越します。

「2度の梅雨を越したものを『古物(ひね)』と言い、3度の梅雨を越したものは『古古物(こひね)』と呼ばれ、寝かす時間が長いほどコシが強く、茹で伸びをしにくくなります。古い方が高級品ですが、新物の方が小麦の香りは生きています。ここは好みが分かれるところかなと思います」

そうめんは太さが直径1.3mm以下。1.3~1.7mmがひやむぎで、1.7mm以上がうどんです。そうめんは細いほど職人の熟練した技が必要で、高級品となります。

「手延べそうめん以外に、機械式のそうめんがあります。機械式は生地を細く裁断して乾燥させて作り、梅雨を越すような寝かし作業はありません。機械式そうめんが缶コーヒーならば、手延べそうめんは焙煎した豆を挽いたドリップコーヒー。手延べ式の値段はピンキリですが、安いものだと1袋200円前後で買えるので、機械式と手延べ式の味の違いを食べ比べてみてほしいですね」

 

ソーメン二郎が提唱する、おいしいそうめんの茹で方と食べ方

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そうめんをおいしく食べるには、素材そのものの味わいだけではなく、茹で方、冷やし方など、おさえておくべきポイントがあります。ソーメン二郎さんが大切にしている、5つのルールを紹介します。

 

Point 1. 茹でるときはかき混ぜすぎない

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「沸騰した湯にそうめんをパラパラとさばくように入れ、麺がくっつかないように軽く菜箸でかき混ぜたら、あとは触らない。そうすることで、麺が均一の茹で状態になります」

Point 2. 足し水はしない

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「茹でている間に鍋がふきこぼれそうになったら、火を弱めるようにしましょう。足し水をすると湯の温度が急激に下がり、麺の表面を傷つけてしまいます」

Point 3. 氷水に長くつけない

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「茹で上がった麺は冷水でもみ洗いしつつ、氷水で冷やしますが、氷水に長く浸すのはNG。氷のカルキ臭が麺に移ってしまい、小麦の香りが消えてしまいます。食べるときの麺の温度は15℃くらいが理想です」

Point 4. オリーブオイルと天然塩で食べる

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「めんつゆにつけて食べるのは、そうめんののどごしを楽しむ方法。そうめんを噛むときの小麦の風味を味わいたいときは、オリーブオイルと天然塩(岩塩)で食べましょう」

Point 5. 多めに茹でてアレンジを楽しむ

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「そうめんは、茹でたてが一番おいしい! 時間をおくとそのまま食べてもおいしくないので、余ったそうめんは、まったく違う食べ方をしてあげてください。次の項で紹介しているように、たれをかけてぶっかけにしたり、お好み焼きにしたりすると新たな魅力が引き出されます」

 

そうめんの基本を知った上で、続いてソーメン二郎さんに紹介していただくのは、これがそうめん!? と驚くような変化球的レシピの数々です。