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知らないと恥ずかしい!年末年始、特に注意したい
暮らしのマナー

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【年賀状の書きかた】

二文字の賀詞はちょっぴりカジュアル
文面の間違いにも気をつけて!

年賀状は賀詞、添え文、日付、この3つの順に構成するのが正式です。
賀詞は「謹賀新年」や「恭賀新年」などのきちんとした表現の文字を使います。「迎春」などの二文字のものはちょっとカジュアルな印象を与えます。

添え文は賀詞の後に1字下げて、字も少し小さく「昨年はお世話になりましてありがとうございました。本年もよろしくお願いします」などと書きましょう。

よくある間違いの賀詞は「新年明けましておめでとうございます」という書きかた。「明ける」には「年季が明ける」のように「閉じる」「終わる」の意味もあるので「新年が閉じる、終わる」と誤解を生むような表現は避けたほうがいいでしょう。

「日付」は「平成30年元旦」と書きましょう。「元旦」は1月1日の意味ですので「平成30年1月1日 元旦」と書くのは間違いです。

身内にご不幸があり、お正月のお祝いをしない場合は喪中はがきを出しましょう。出す時期はできるだけ早く。11月には年賀状が発売されますから相手が年賀状を用意する前にお出しするのがマナーです。

喪中はがきのよくある文面の間違いに「年末年始のご挨拶を控えさせていただきます」というのがあります。喪中は「お正月をしない」の意味ですから、「年末の挨拶を控える」と書くことはありません。「年始のご挨拶を失礼いたします」でよいのです。

相手から喪中はがきが来たら、早めに返信したほうが私はいいと思います。文面はたとえば、「喪中のご挨拶状いただきました(または、「喪中のご挨拶状恐れ入ります」)。寂しい年の瀬と思いますが、来る年はよい年になりますように念じております」のようなものを、はがきでお出ししてはいかがでしょうか。通常、はがきは「葉っぱに書く」というような略式のものという元々の意味があるので、目上の方へお出しするのは正式なやりかたではないかもしれません。ですが、はがきで喪中のお知らせが来たのですからはがきでよいと思います。

2018年の寒の入りは1月5日です。寒の入りが過ぎて出すのが寒中見舞いです。寒中見舞いは、寒さが厳しい季節に送る季節の便り。本来は一年の中で最も寒い季節に相手の体調を気遣う便りですが、喪中の方に年賀状の代わりの挨拶状として使うこともあります。毎年年賀状を出しているのに喪中で出さないのは寂しいと思えば、寒中見舞いをお出ししてもいいのです。

目上の方への文面は「寒中お伺い申し上げます」としましょう。「寒中お見舞い申し上げます」は通常は目上の方には使いません。

年賀状を出し忘れた方から頂いた場合に、5日を越えてから寒中見舞いを出すやり方もありますが、出し忘れても受け取ったらすぐに年賀状を返すのが鉄則です。

最近では個人情報の管理への配慮から自宅住所までは把握していない場合もあるでしょう。今はメールという選択肢も加わったので、新年の挨拶を年賀状ではなくメールでという方もいるかもしれません。相手との親しさや目的に合わせて使い分けることも必要でしょう。本来の意味を知っていれば応用がきく。「私があの方だったら」と相手を思いやる気持ちを大切にしましょう。

 

【初詣の正しい参拝のしかた】

初詣は本来2カ所に行くのが正式
正しい参拝のしかたで一年をスタートしましょう

お正月というのは一年の最初の日に年神様を迎えてその年の健康と幸せと家内の安全を願う行事です。ですから初詣は正式には元旦にするものでした。現在は1月1日から3日までの三が日に参拝します。

初詣は自宅から一番近い「氏神詣」と、その年の縁起の良い方角にある寺社に行く「恵方参り」の2カ所に行くのが正式でしたが、いまでは有名な寺社に行く方も多いようです。

神社の場合

・鳥居をくぐる時に一礼します。
・参道は中央を歩かずに端を歩きます。
・手水舎へ行き、ひしゃくに水を注いでお浄めをします。
・拝殿へ行き鈴があれば鳴らします。
・お賽銭を入れます。
・二礼、二拍手、一礼の順番で参拝をします。

お寺の場合

・軽く会釈をします。
・お賽銭を入れます。
・丁寧なお辞儀をします。
・目を閉じて手のひらを合わせます。これを合掌礼といいます。
・丁寧なお辞儀をします。

ひしゃくの作法

神社の場合
お寺の場合

お賽銭を投げ入れるのか、投げ入れるのは失礼なのかは諸説あるようです。投げ入れることが祓い清めになるという説もありますが、個人的にはていねいに賽銭箱に入れるほうが私は好きです。

 

「また会いたい!」と思われる人になりましょう

マナーは社会人の必須知識。知らないと恥をかくこともあります。でも、マナーの中には現代社会ではなじみのなくなってしまったものもあり、作法、礼法といわれると場合によっては堅苦しく感じる方もいるかもしれません。
でも、マナーを身に付けることは縛られることではありません。むしろ、自由人になれます。

私の名刺にはマナーデザイナーという肩書を使っています。マナーの心をわかりやすく伝えたいとこの道を志した頃は、まだ畳の部屋に応接セットを置いているような時代でした。畳の部屋のマナーを教えるべきか、椅子の文化のマナーを教えるべきか、そんな時代に「お会いした人をホッとさせるような思いやりの心」に満ちた人間でありたいという気持ちを込めて、「マナーをデザインする人になりましょう」とマナーデザイナーと名乗ったのです。

ベストドレッサーという賞が世界中にありますが、ある賞では「お目にかかった人をホッとさせる着こなし」を選考基準にしているそうです。
マナーも同じ。知っていることで心に安心感が生まれ、余裕ができ、相手をホッとさせる思いやりの心が発揮できるようになります。相手に「もう一度会いたい」と思ってもらえるように、大きな木の下にいるような安心感を与えられる気配りがマナーの基本だと思います。

 

Profile

現代礼法研究所 主宰 / 岩下宣子(いわした・のりこ)

NPOマナー教育サポート協会理事長。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとで学ぶ。1984年、現代礼法研究所を設立。マナーデザイナーとして、企業、学校、商工会議所、公共団体などでマナーの指導、研修、講演と執筆活動を行う。
著書には『知っておきたいビジネスマナーの基本』(ナツメ社)、『ビジネスマナーまる覚えBOOK』(成美堂出版)、『好感度アップのためのマナーブック』(有楽出版社)、『図解 マナー以前の社会人常識』『図解 マナー以前の社会人の基本』『図解 社会人の基本 マナー大全』(講談社)など。新刊『<カラー版>これ一冊で完ぺき!マナーのすべてがわかる便利手帳』(ナツメ社)が2016年12月に発売となる。

 

取材・文=ナナイロ社 イラスト=ニーヤ・アキ