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心が疲れたらどうする?社会問題化するSNS依存と
“SNSデトックス”のコツ

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私たちは日々、オンラインを通じて大量の情報に晒され続けています。近年は「SNS疲れ」という言葉を耳にする機会も増えました。延々と更新されていく情報を追い続けることで精神的負担が積み重なったり、ひっきりなしに届く通知やメッセージにすぐ応じなければいけないストレスを感じたり……。そればかりか、華やかで満ち足りた(ように見える)誰かの暮らしをSNSで目にする機会が増えたことで、劣等感を感じ、悩む人も。

そこでSNSに依存してしまう問題と対策について、ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i心理師として活動する森山沙耶さんに話を伺いました。

大人の女性も依存傾向。
SNS依存の現状

子どもから大人まで、身近にSNS使っている人が大半を占める現代。日頃のストレス解消を目的に、SNSに過度に関わってしまうことで、SNS依存に陥ってしまう場合もあると言います。

「もともとお子さんのSNS依存とご家族の問題に長く向き合ってきた経験がありますが、最近では大人の女性の相談を受ける機会が増えています。
SNSに夢中になりすぎてSNSから離れられない状況になってしまうと、どんな人でも日常のさまざまな場面で問題が発生します。仕事があると分かっているのに毎日夜遅くまでSNSの閲覧がやめられず、朝起きることができない、そして仕事に遅刻してしまう、など現実的な問題が起きている場合は心配ですね。SNSに依存している状況があると思います」(ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i心理師・森山沙耶さん、以下同)

SNS依存は誰にでも起こりうる

「SNS依存の問題と向き合うときには、その背景に何が潜んでいるのかを理解することが大切です。SNS依存になってしまう場合、日常的に何か問題を抱えている人も多いからです。
ストレスや不安感を落ち着かせるために、手に取りやすいスマホについつい頼ってしまう、という経験をお持ちの方も少なくないでしょう。息抜き程度に始めたオンラインゲームにハマってしまうとか、複数のサブスク、またはSNSに登録して、最新の情報や好きなアーティストの発信を見ないと落ち着かない、とか。ただ楽しくて始めたものでも、いつの間にか夢中になってやめられなくなっていた。それは誰にでも起こりうることです」

あなたは大丈夫?
SNS依存度チェック

自分ではSNS依存に陥っているかどうかの判断がつきにくい、と話す森山さん。そこで今回は、自分で簡単にチェックできるセルフアセスメントテストをご用意いただきました。

※提供=一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会
※提供=一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会

チェックテストの結果をみて、「依存傾向があるな」と感じた場合は、できる限り早い段階で対処することが必要だと森山さんは言います。解決のコツをしっかり理解することでSNS依存からは抜け出しやすくなります。

SNS依存から抜け出すためにすべきこと

もしSNS依存に陥ってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

「大前提として、依存の状態であるならば一人でなんとかしようとするのはとても難しいと思います。信頼できる人に……それは家族でも友人でもよいのですが、まずは相談してみてください。病院だけでなく、行政でも相談窓口が設置されている場合もあります。また、私は民間のサポート団体に所属していますが、プロのカウンセリングを受けるのも良いでしょう。周りのサポートを得ることがとても大切です」

SNS依存の問題を自分で解決しようとするとさまざまな問題が逆に起きやすい、と森山さんは続けます。

「1人でどうにかしようと思っても、本当に難しい。SNSの閲覧を減らそうと思ってなんとか閲覧時間を制限してコントロールしようするのですが、誰かに咎められるわけでもないので、けっきょくまた閲覧してコントロール不能な状態になる……それを繰り返してしまうと自分にガッカリしてしまい、“どうせ私はできないんだ”という諦めモードになりやすいです。
そもそも依存という状態はすでに自分で自分をコントロールできない状態を指します。誰かの助けがある方が早い段階でSNS依存の問題を解決できるでしょう」

SNS依存から脱却するためには、暮らしを整え、生活スタイルの中にSNS以外の大切な要素を増やすことも効果的なのだとか。

「SNSに依存しなくても大丈夫な状態に整えていきましょう。私たちには人間関係を築いたり、食事をして、寝て、というように生きていく上での大切な土台があります。人として生きていく上でもっとも基本になる部分をまず1つずつ取り戻していくことです。食べる時間も惜しんでSNSにのめり込んでいるなら、まずは食事から。寝る間も惜しんでSNSばかり見てしまうのなら、まずは睡眠から、というように。
一気にすべてを改善しようとすると逆に辛くなってしまうことがありますから、慌てずに1つずつ、人しての当たり前の生活を取り戻していけるように取り組むことが大切です」

今日からできる!
簡単なSNSデトックスの方法

依存とまでいかなくても、SNSを見過ぎてしまっているという人や、ちょっとSNSから距離を置きたい、と思っている人は少なくないでしょう。そんなときにオススメのSNSデトックスのコツを3つ、森山さんにご紹介いただきました。

1.SNSアプリやサブアカウントを整理する

「まずSNSに触れる時間を減らすために何ができるかを考えましょう。登録しているアプリの通知を全部ONにしているのだったら、あまり見ないアプリの通知はOFFにしてしてみてください。アプリの登録数を半分以下に減らすのもいいですね。通知が少なくなれば、自然と閲覧時間も減っていきます。
また、インスタグラムなどでサブアカウントを複数持っている人の場合、各アカウントで情報閲覧したりコミュニケーションを取っているととても時間がかかってしまいます。そういうアカウントをまずは減らしていく。それだけでもかなりスッキリすると思います」

2.「スクリーンタイム」を活用する

「iPhoneではスクリーンタイムで各アプリの使用時間を制限することが可能です。ハマっているゲームアプリに夢中になりすぎて何時間もやめることができなかったり、インスタグラムやLINEなど、延々と友人とコミュニケーションを取り続けてしまったり……そんな方こそ、スクリーンタイムで各アプリの使用時間を制限しておくことをおすすめします。SNSから切り上げるタイミングを掴みやすくなるので、ぜひ活用してみてください」

3.見すぎてしまうアプリを見えにくくする

「スマホを立ち上げたとき、開いたページにお気に入りのアプリがあるとすぐに閲覧してしまうことがありますよね。さらに閲覧し始めると、あっという間に何時間も経過してしまって、仕事や家事に影響が出てしまう場合もあるでしょう。そこで、お気に入りのアプリほど見えにくくしたり、すぐにたどり着けないようにしてしまいましょう。アプリのアイコンをフォルダに入れて見えにくくしたり、スマホのずっと後ろのページに入れたりするのが効果的です」

「デトックスを試してみる場合、まずはこれらの方法から、自分にとって無理なくできそうなものを選んでみてください。そして1週間など一定期間続けてみて、効果的であったかを振り返ることで、自分に合う方法を見つけてもらいたいと思います」

「connected not addicted / リアルにつながろう」キャンペーン


10月7日より「connected not addicted / リアルにつながろう」 キャンペーンがスタート。現実世界におけるデジタル依存症と対策についてJDWA代表理事森山沙耶さんと、TIKTOKクリエーター景井ひな氏によるトークセッションが開催されます。
「日本デジタルウェルビーイング協会(JDWA)とシュウ ウエムラがパートナーシップを結び、デジタルに関わるさまざまな社会問題の解決をサポートする活動を展開。シュウ ウエムラはメイクアップを通じた自己探究や自己表現を応援することを使命とし、この活動を通じて、どこにいても誰もがデジタルの縛りから解放され、個々人の可能性を存分に開花させ、自分の人生を自信を持って生きるためのサポートをしたいと考えています」
PRイベント後には、特設ウェブサイトや大学キャンパス、企業等で、啓発活動を行われる予定です。

Profile

ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i心理師 / 森山沙耶

2012年東京学芸大学大学院教育学研究科を修了後、家庭裁判所調査官として勤務。少年事件・家事事件の調査を行う中で、非行少年の更生や離婚調停など家庭紛争の調整に関わる。その後、大学病院や福祉施設にて心理臨床を経験。2019年8月、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターにてインターネット/ゲーム依存の診断・治療等に関する研修(医療関係者向け)を修了後、MIRA-iの設立に携わる。現在はネット・ゲーム依存専門心理師として、カウンセリングだけでなく講演活動も行う。二児の母としても奮闘中。

取材・文=江原香奈(Neem Tree)