LIFE 健康・美容・仕事・遊び・家事

シェア

ストレス解消や心地よい入眠に!どれを選ぶ? どう使う?
アロマに関する基礎知識

TAG

古代は、身分の高い人だけが使うことのできた「香料」。時代が進むにつれ、化粧品や医薬品としても用いられるようになったことで広まり、香りの成分を肌や呼吸から取り込むアロマセラピー(芳香療法)という言葉は、今では一般的になりました。植物の花や葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の有効成分を含む精油(エッセンシャルオイル)には、およそ300種類もの香りがあるとされ、その成分からさまざまな効果が期待できます。またその精油には、マッサージに使うだけでなく、ルームフレグランスやバスソルト作りなど幅広い使い道が。

精油の基本的な種類や効果・効能、使い方について、アロマセラピストとしてアロマサロンを経営する豊島頌子さんに教えていただきました。

【関連記事】
心地いい空間を作り出す、和の香りの取り入れ方

[目次]
1. アロマとは?
2. まずチェック!香りの系統は6パターン
3. 初心者には「ラベンダー」「ユーカリプタス」
4.目的別 あなたにおすすめの精油
5. 精油を使ってアロマグッズを作ってみよう
6. プロおすすめのアロマグッズ

 

アロマとは?
生命力にあふれた“植物のホルモン”

一般的に「アロマオイル」と呼ばれているものは、精油のこと。“植物のホルモン”とも呼ばれ、自ら移動することができない植物が、敵を寄せつけないためや受粉をスムーズにするためなど、生き残っていくために作り出される物質と言われています。

「精油の作り方は、水蒸気蒸留法や圧搾法などさまざまな抽出方法がありますが、同じ植物であっても、抽出方法が違うと成分も変化するのが特徴です。また、その植物が育った環境や天候、メーカーなどにより香りも変わるので、『この香りは苦手』などと決めつけないで、いろいろなものを試してみるといいですよ。精油そのものを自分で作るのは難しいのですが、植物から精油を抽出する蒸留体験ができる施設もあります。ちなみに植物にオイルを漬け込んで作られるものは、『浸出油』(インフューズドオイル)と呼ばれるもので、精油とは異なります」(豊島さん、以下同じ)

 

まずチェック!
香りの系統は6パターン

香りの分類はメーカーや専門家によって異なりますが、およそ下記の6種類に分けられると、豊島さんは話します。

1.女性らしさを感じるフローラル(花)系
ローズやジャスミン、イランイランなど主に花から抽出される香りで、女性らしくエレガントなイメージのものが多く含まれます。「気持ちを落ち着け、不安感を解消する効果があると言われています。また、女性らしさを演出するときに使いたい香りです」

2.ストレス解消に役立つシトラス(柑橘)系
スイートオレンジやマンダリン、ベルガモットなど柑橘系の果物やハーブから抽出する香り。「爽やかで甘い香りが多く、元気を取り戻したりストレスを解消したりしたいときにおすすめしたい香りです」

3.気持ちがすっきりするハーバル系
ローズマリーやスイートマジョラム、スペアミントなどハーブから採れる香りです。「お料理で馴染みのあるハーブもたくさん含まれています。薬草のような香りや、スパイシーな香りが多く、すっきりとした気持ちになりたいときにおすすめです」

4.深呼吸してリラックスしたいときのウッディ系
サンダルウッド、サイプレス、シダーウッドなど、樹木や葉、樹皮から抽出される香りです。「森林浴をしているような、深呼吸したくなる香りです。鎮静作用やリラックス効果が高い香りが多く、眠るときの助けになる場合も。寝室や寝具にスプレーしたり、アロマポットなどでオイルを炊いたりすると入眠のサポートをしてくれます」

5.体を温めるスパイス系
クローブ、ブラックペッパー、シナモンなど、料理でも使われることの多いスパイシーな香りは、香辛料から抽出されます。「食欲不振を改善したり、体を温めたりする効果のあるものが多く、夏バテ気味のときや、冷房で体が冷えすぎたときなどにもおすすめです」

6.レジン(樹脂)系
樹木から滲み出る樹脂からとれる香りには、フランキンセンス、ベンゾインなどがあります。甘さのあるものや爽やかなものなどさまざまな香りがありますが、どこか独特で個性を感じる香りが多い種類です。「香りが強くて持続性が高いものが多いので、玄関などニオイが気になるところに少量使うといいでしょう」

 

初心者が手始めに親しむなら
「ラベンダー」と「ユーカリプタス」がおすすめ

精油や芳香浴を楽しむグッズは専門店でなくても、雑貨屋さんやインテリアショップなどでも販売されているので、知識がなくても手にとりやすくなりました。しかし、香りを体内に取り入れて効果を得られるということは、嗅覚や呼吸器、皮膚に直接アプローチがある、ということでもあります。

「妊娠中に使ってはいけない香りや、肌の弱い方やお子さん、持病のある人には使えない香りもありますし、信頼できる素材で作られた商品かどうかもチェックが必要です。使用する前に必ずその香りがどんな作用をもたらすのかを確認するとともに、表示に品名や学名、抽出法、抽出部分、輸入元、取扱上の注意点など、必要最低限のことがしっかり記されているか確かめてから使ってください。初心者の方に比較的安心しておすすめできるのは、ラベンダーとユーカリプタスです」

・安全性の高い「ラベンター」

ラベンダーは初心者や肌の弱い方にも、比較的安全に取り扱える香り。不眠やストレス、疲れや痛みなど、トラブル全般に効果をもたらし、頼れる存在として使用されてきたハーブです。

「精油を希釈するための植物油・キャリアオイルに、1%のラベンター精油を小瓶に入れ、希釈オイルを作っておきましょう。火傷や虫に刺されたとき、それを直接指で塗布するのがおすすめです」
20180820_aroma_005

・万能薬の「ユーカリプタス」

少しシャープな香りのするユーカリプタス(ユーカリ)は、オーストラリアの先住民アボリジニーが万能薬で重宝してきた万能薬です。優れた抗菌作用を持つので、感染症予防に芳香浴で使用するのがおすすめ。

「30mlのスプレーボトルに精製水25cc、無水エタノール5cc、ユーカリプタス6滴を入れたものを寝室や浴室にスプレーして抗菌するほか、拭き掃除のときに使うと部屋の中がすっきりします」
20180820_aroma_006

注意! どんな精油も、原液を皮膚に直接塗布するのは禁止
精油を肌に使用する場合は、必ずキャリアオイルなどで希釈することが必要です。また、使用前に必ずパッチテストを行いましょう。(※パッチテストとは……使いたい精油をキャリアオイルなどで希釈したものを、肌の柔らかい部分に少量だけ塗布して一日様子を見ます。赤くなったり腫れたり痒くなったりしたら、すぐに水でよく洗い流し、使用を中止してください。また、生理前や生理中など、ホルモンバランスの変化によってトラブルが起こることもあるので、注意しましょう)

 

続いて、寝ても疲れが取れない、月経痛やPMSに悩んでいる、など悩みや目的別におすすめの精油を見ていきましょう。