13.CLIMATE ACTION ― 気候変動に具体的な対策を ―
「気候変動というのは、地球温暖化のことです。その影響の一つに、南極の氷が溶けることによる“海水面の上昇”があり、将来的に水没してしまう島が出てくると言われています。そのため、対策をしなければならない、と。最近話題のスウェーデンの16歳、グレタ・トゥーンベリさんは、温暖化対策について訴えていますね」(池上彰さん)
14.LIFE BELOW WATER ― 海の豊かさを守ろう ―
「海洋プラごみは、海を汚すだけではなく、魚などが小さいプラスチックを食べてしまう問題もあります。その魚を誰が食べるか? 私たちですよね。安心して魚を食べ続けるためにも、海を守る必要があるということです」(池上彰さん)
15.LIFE ON LAND ― 陸の豊かさも守ろう ―
「森というのは、生物の食物連鎖が生まれる場所です。同時に、木々は二酸化炭素を吸収して酸素を出す役割もある。雨が降った時に、土に水を蓄えて洪水や土砂災害を防ぐ役割もあります。だからこそ、森林破壊や砂漠化は防がなければならないんですね」(池上彰さん)
16.PEACE JUSTICE AND STRONG INSTITUTIONS ― 平和と公正をすべての人に ―
「世界では、まだ戦争をしている国があります。なかには、水争いが原因になっているものもある。言い換えれば、地球の環境をよくすることで、新しい戦争が起きないようにすることができるんです」(池上彰さん)
17.PARTNERSHIPS FOR THE GOALS ― パートナーシップで目標を達成しよう ―
「豊かな国は、これからもずっと豊かであり続けられるように。そうでない国は豊かになっていけるように、世界各国が17の目標を達成するために協力し合いましょう、ということですね」(池上彰さん)
以上の17項目について、具体例も交えながら解説していただきました。最後に気になるのは、現在、日本また世界の国々は、各項目をどれくらい達成しているのかということでしょう。
各国の達成状況は?
「JICA地球ひろば」では、世界各国の「SDGs」の達成状況がわかる展示コーナーがあります。各国のカードを差し込むと、目標の達成状況に応じた色にパネルが光るというもの。この仕掛けを使って、確認してみましょう。
■緑=目標に達している
■黄=努力を要する
■オレンジ=より一層の努力を要する
■赤=達成までほど遠い
■グレー=データ不足により測定不能
※出展:ベルテルスマン財団・持続可能な開発ソリューションネットワーク
※2018年時点の達成状況
・日本
・アメリカ合衆国
・中華人民共和国
・アフガニスタン・イスラム共和国
・スウェーデン
ゴールとされる2030年を迎える頃には、各国の達成状況はどのように変化しているのでしょうか。
2030年を迎える頃、私たちの暮らす社会は、より豊かで安全なものになっているでしょうか。池上さんがしきりに口にしていたのは、「私たちが出来ることを、無理せずやっていくことが大切」ということ。まずは、私たち一人ひとりが「SDGs」を知り、意識することが、世界をより良くするための第一歩となるはずです。
Profile
ジャーナリスト / 池上 彰
1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。松江放送局、広島放送局呉通信部を経て、東京の報道局社会部、警視庁、気象庁、文部省、宮内庁などを担当。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹。1994年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説。2005年3月NHKを退局後、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学大リベラルアーツセンター教授。2016年4月より名城大学教授。
取材・文=石川裕二 撮影=中田 悟