持続可能な社会を作るため、環境に配慮して生活することを意味する、「サステナブル」という考え方。その取り組みを早くから実践しているのが、サステナビリティな考え方が暮らしの中に自然に溶け込んでいる国、スウェーデン発祥の家具・雑貨メーカー、IKEA(イケア)です。今回はイケアでの具体的な活動や、サステナブルを意識して開発された商品を紹介します。
消費者にできるのは「環境に配慮した製品を買う」こと
イケアのルーツは、スウェーデン南部にあるスモーランドという村にあります。元は痩せた土に砂利や大きな石、岩が混じるような荒れた土地でした。生きる知恵として、乏しい資源を無駄なく使う習慣が自然と生まれたと言います。
「スモーランドの人々は倹約家で革新的と言われ、無駄を減らして多くのものを作ることが得意です。こうした伝統が、イケアの基本的な考え方に結びついています。買い物の仕方や働き方といったライフスタイルのあり方を変えていくことが、社会的責任でもあると考えています。
対して日本はスウェーデンと違って、最重要課題として環境問題に取り組む政党がなく、結果的に“行動”が遅れているように思います。そのため、みなさんが消費者として、環境に配慮したビジネスをしていると思う企業を支援することが、とても大切になってきているのです」(イケア・ジャパン PRチーム、以下同)
健康的で持続可能な暮らしを作る商品
サステナブルの根本的な考えは、地球の限られた資源のなかで、より快適な毎日を送れるようにすることです。「イケアでは、同じ明るさで85%のエネルギーを節約することができる 99 円の『RYET/リーエト LED電球』を販売し、エネルギーを大切に使えるよう提案しています。水を節約するためには、節水機能つきキッチン混合栓を使ったり、洗い物のとき水を溜めて使える洗い桶『GRUNDVATTNET/グルンドヴァトネット』を使ったりするのがおすすめです。また、ゴミを減らすためには、リサイクルできる素材で作ったものを使うといいのではないでしょうか」
1. 電球
RYET/リーエト LED 電球
99円+税
「光源に LED を採用し、白熱電球に比べて消費電力が約85%も少ないので、10 倍長持ちします。白熱灯を LED に切り替えるだけで、同じ明るさが確保されながらも、費用が節約されて無駄が減り、二酸化炭素排出量が削減されます」
2. キッチン混合栓
INSJÖN インショーン キッチン混合栓
2万4990円+税
「貴重な水資源を無駄遣いするわけにはいきません。イケアの水栓やシャワー製品はすべて適正な水量を維持しつつ、節水・省エネできるメカニズムを搭載しています。使う人にも環境にもやさしい製品です」
3. 洗い桶
GRUNDVATTNET/グルンドヴァトネット 洗い桶
499円+税
「食器を洗うときは、水を出しっぱなしにしないで洗い桶に水を溜めて洗うようにすると、節水できます。食品に触れても安全で、耐久性のある素材で作られているので、長くお使いいただけます」
4. フリーザーバッグ
ISTAD/イースタード フリーザーバッグ
299円+税(50ピース)
「主に、サトウキビ産業由来のプラスチックでできています。この素材は再生可能・リサイクル可能ですし、洗って繰り返しお使いいただいてもいいと思います。フードキーパーとして使用すれば、食品ロスを減らすことにもつながります」
5. ラグ
TYVELSE/ティヴェルセー ラグ パイル短
1万2990円+税
「素材に500ml のペットボトルおよそ 345 本分の再生樹脂を使用したラグ。お手入れも楽で、丈夫で汚れにくいのが特徴です。廃棄物を資源として利用することで、より持続可能な未来に一歩近づけます。厚手でソフトな感触が心地よく、音を和らげる効果もあります」
6. 枕
RUMSMALVA ルムスマルヴァ/エルゴノミクス枕 横向き/仰向け用
1499円+税
「マットレスと枕の生産工程で余った素材を、本製品の中素材に利用しています。新たな原材料の消費量が増えると、土壌や空気の汚染、気候にも影響してしまうのです。首や頭にフィットしやすい形状記憶フォームで、柔らかく寝心地も良好です」
7. 水筒
イケア 365+ 水筒
399円+税
「毎日の使用による摩耗にも耐えられるような、丈夫なプラスチックでできています。日常的にこちらの水筒を使用すれば、ペットボトル使用の大幅な削減になるはずです」
8. バスケット
RISATORP/リーサトルプ バスケット
999円+税
「冷蔵庫に入れないフルーツや野菜の保存にぴったりです。スチールメッシュなので通気性があり、食材が長持ちします。また中に入れている食材が見えるので、食品ロス削減にもつながります」
9. 充電式電池
LADDA/ラッダ 充電式電池
499円+税(4ピース)
「充電式電池を使えば、ゴミの削減やお金の節約ができます。充電して繰り返し使用できる電池は環境にやさしいだけでなく、実用的でもあります」
自立したエネルギーで作っていくビジネスモデル
イケアでは、資源の再生やエネルギーの循環などを取り入れています。「できる限り自社でエネルギーを生み出し、それが再生可能であることを目指しています。現在すでに314基の風力タービンを所有しており、自社の建物の上に70万基のソーラーパネルを設置しています。2020年までに風力タービンは534基に、ソーラーパネルは160万個に増やす計画です。また、2025年までには、製品の配送にゼロエミッションの電気自動車のみを使うことを目指しています。
また、製品の設計や素材についても考えています。コットンはすべて環境負荷の少ない手段で作られたものを使っており、2020年までには木材もすべて再生木材にすることを目指しています。リサイクルや、より少ない材料で多くの商品を作れるような仕組みづくりなども考えています。日本では家具引き取りサービスも実施しており、不要になったイケア家具を引き取ってリターンカードで還元し、引き取った家具もメンテナンスをしたのちアウトレットで販売するなど、資源の無駄遣いを減らしていく努力をしています」
何をどこから買うかを考えるだけでも、サステナブルな活動に貢献することができます。普段の生活の中で意識し続けるのが難しくても、消費者として購入するものに注意を向けて、少しでも環境に配慮した暮らしが自然にできるようになるといいですね。
Store Info
IKEA(イケア)
https://www.ikea.com/jp/ja/
カスタマーサポートセンター tel=0570-01-3900(平日・土日祝 10:00~19:00)
関東には、千葉県船橋市にTokyo-Bay店、東京都立川市に立川店、神奈川県横浜市に港北店、埼玉県三郷市に新三郷店の4店舗があり、店舗により在庫状況が異なります。
取材・文=吉川愛歩 構成=Neem Tree