「文章を書く」となるとスマホやPCでの文字入力がメインとなり、手書きする機会が減った人は多いはず。そこへいざ手書きしてみると、思い通りに書けずに、自分の字が嫌いになって、やがて手書きしたくなくなる……という負のスパイラルに。でも心配はいりません。美しい文字は、いくつかのルールと手書きをサポートする文房具によって手に入れることができるのです。
書家であり、「美文字」研究の第一人者である青山浩之先生に、美文字を書く方法を教えていただくとともに、誰でも美文字に近づく文房具を紹介していただきました。この後編では、“自分らしい字”を美しく伸ばすために活用したい文房具を11点リストアップ。
1.サラサラした書き心地が支持される人気ゲルボールペン
ZEBRA 「サラサグランド0.5」
1320円(税込)
「さらさらとしたなめらかな書き心地がクセになります。濃い発色でにじむこともないので手帳にも最適。インクの色にもこだわりがあり、単色の黒ではなく『ブルーブラック』や『ブラウングレー』など、ニュアンスのある色味がシックな印象です」(横浜国立大学教育学部教授・青山浩之さん、以下同)
2.線の太さをコントロールしやすい水性サインペン
PILOT「スーパープチ細字」
各110円(税込)
「サインペンは筆圧をコントロールしやすい筆記具です。私がとくに気に入っているのがこの細字タイプ。ペン先がプラスチックでできているのでつぶれにくく、使い始めの書き心地をキープできます。線の強弱をつけやすいのもメリットです」
3.軽やかな書き心地と速乾性をもつゲルボールペン
ぺんてる「エナージェル」
(253円・税込)
「速乾性があるので、汚れを気にせずに書き進めることができます。濃く、クリアで鮮明な文字もポイントで、一般的な油性ボールペンで気になる文字のかすれも少なく、線の最後までしっかりと筆跡が残ります。色や芯のサイズの選択肢も豊富です」
4.トメ・ハネ・ハライを表現できる「ファインライター」
コクヨ「KOKUYO WP ファインライター」
4400円(税込)
「樹脂製のペン先からは微細なスリットを通ってインクが出てくるため、軽く滑らかな書き心地を味わえます。また、チップがわずかにしなるので文字の線の幅を調節しやすく、トメ・ハネ・ハライの表現がしやすいのが魅力です」
5.くっきり滑らかな書き心地の水性ボールペン
三菱鉛筆「ユニボール アイ」
165円(税込)
「一定の濃さでくっきりと書けるのが特徴の水性ボールペンです。ペン先にステンレス製のチップを用いており、軽く書いてもしっかりとした筆跡を残せます。軸の部分に透明な窓があり、インクの残量が確認できる点も安心です」
6.万年筆で美文字を目指す人にとって手に取りやすい万年筆
PILOT「カクノ」
1100円(税込)
「初めての万年筆におすすめの一本。1000円と手に取りやすい価格でありながら書き味もほどよく、バランスの取れたアイテムです」
7.ずっとトガった芯で書き続けられるシャープペンシル
三菱鉛筆「クルトガ メタル 0.5mm ファントムグレー」
2750円(税込)
「書くたびに芯が少しずつ回転するので、細くくっきりとした文字を書き続けることがでできます。ペンを握る部分には細やかな引き目が多く施されており、とても握りやすいです。安定した書き心地で一定の太さの線を書くことができるのも、ポイントですね」
8.クッションで筆圧をコントロールする下敷き
共栄プラスチック「硬筆用ソフト透明下敷A4判」
407円(税込)
「筆圧をコントロールするには、受けとめる側の環境を整えることも大事です。厚手でありながら柔らかなオレフィン系樹脂素材でできているこちらの下敷きは、紙とペンの相性を選ぶことなく美文字を実現してくれます」
9.2種類の硬さでペン先を受けとめる下敷き
テリュー「至高の書き心地を、どこでも。ソフト/ハードを選んで使えるデスクマット付き下敷き」
A5:2200円、B6:1870円(ともに税込)
「“デスクマットの柔らかさ”と“下敷きの硬さ”を両面で備えた下敷きです。ペンの種類に合わせて硬さを選んで、心地よく書くことができます。デスクマットの内側にはポケットがついており、吸い取り紙リフィルを挟んだり、ハガキやシール等の収納に利用することも」
10.人気ブランドによる左利きユーザーのための万年筆
LAMY「公式オンライン限定 LAMY safari 左利きのための万年筆 」
5500円(税込)
「一般的な万年筆は右利きを基準に作られているので、これまで、左利きの人は万年筆を諦めがちでした。満を持して登場したのが、ラミー社の左利き用の万年筆です。左利きの方にもぜひ万年筆の書き心地を体験していただきたいですね」
11.青山先生監修の練習帳とセットで美文字を叶えるボールペン
ZEBRA「bimore」
1100円(税込)
「しなるペン先を搭載したビモアボールペンと、ビモア練習帳がセットになっています。ビモア練習帳には、わたしが直接指南する動画のQRコードがついており、スマホで簡単に筆圧コントロールの感覚を学べます。1日3分、7日間の練習をするだけで見違えるほどあなたらしい美しい文字になっていきますよ」
「ピタカクピト」や隙間均等法などのルールを意識すること、筆圧をコントロールできる文房具選びをすることが、美文字への第一歩。自分らしい美文字を叶えられれば、書くことが今一度身近に、そして楽しくなるはず。まずはお気に入りの文房具を手に入れて、紙と向き合ってみませんか。
Profile
美文字研究家 / 青山 浩之
横浜国立大学教育学部教授。書家。全国大学書写書道教育学会常任理事。美文字を提唱する第一人者として、手書き文字の表現方法やスキルをわかりやすく解説し、書写や書道の魅力を広げている。メディアに数多く出演するほか、『“きれいな字”の絶対ルール』(日経BP)や『万年筆で極める美文字』(実務教育出版)など著書多数。
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『“きれいな字”の絶対ルール』青山浩之 著(日経BP)
取材・文=癸生川美絵(Neem Tree)