「毎日の献立を考えるのがしんどい」「キッチンに立つだけで疲れてしまう」……そんな私たちの救世主として100万人以上のフォロワーから熱い支持を得ているのが、インフルエンサーのnanaさんです。
彼女が提案する「30分で褒められ献立シリーズ」は、単なる時短レシピの枠を超え、見ている人の心をほっと和ませてくれる不思議な魅力があります。このたび初の著書『30分でしみじみおいしい おきらく献立』を発売したnanaさんに、独自の調理哲学からインテリアのこだわりまで、心地よい暮らしを維持する秘訣をうかがいました。
料理のハードルを下げるのは、プロではない「素人」の視点
nanaさんは、2019年にSNSでの発信をスタート。当初は一人暮らし向けのおうち時間や日々の暮らしのことを共有していましたが、2022年から本格的に料理投稿を始めると、瞬く間にフォロワーが増加していきました。そんなnanaさん、意外にも実家で家族と暮らしていた頃は「食べる専門」で、料理とは無縁の生活だったといいます。

「一人暮らしを始めたとき、『どうせ作れないでしょ』という家族からの生暖かい視線が嫌で、『いや、私だってできるし!』と料理をするようになりました(笑)。でも、やってみたら意外と楽しくて。自炊をすることで節約にもなるので、社会人一年目の経済状況を助けてくれた点も、挫折せずに続けられた理由かもしれません。ちょっとした家族への見栄と意地で始めたお料理が、いつの間にか私のライフスタイルになりました」(インフルエンサー・nanaさん、以下同)
nanaさんが提案するレシピ動画を見ていると、無駄のない手際の良さに驚かされると同時に、慌ただしさを感じさせないゆったりとした空気感に癒やされます。その秘密は、いわゆる「料理の常識」にとらわれないテクニックが随所にちりばめられている点にあるようです。
「私、すごくズボラで面倒くさがりなんですよ。とにかくラクをしたい(笑)。たとえば調味料を計量するとき、粉ものや粒状のものを先にして、その後に液体を計ればスプーンをいちいち洗う手間が省けますよね。本当に些細なことですが、ちょっとした『面倒くさい』を削ぎ落としていくことが時短に繋がり、未来の自分を助けてくれるんです」

レシピを考える際も、『この工程、本当に必要かな?』と疑いながら、少しでも省略できる方法を日々探しているnanaさんですが、時には失敗することもあるのだそう!
「この間も、お肉の解凍が面倒だったので凍ったまま焼いちゃえ!とやってみたけど、うまくいきませんでした(笑)。ちゃんとした料理のプロは、私みたいな邪道なやり方はしないかもしれません。でも、面倒くさがり屋だからこその適当さや緩さが、フォロワーの皆さんに共感してもらえているのかなと思っています」
「帰りたくなる家」を作る秘訣はメリハリのある収納術

実は料理だけでなく、nanaさんのSNSではおうちのインテリアも人気を集めています。「ほっこり可愛い、帰りたくなる場所」をテーマにしたお部屋作りには、nanaさんの深いこだわりと合理的な管理術がありました。
「家具や小物はプラスチックなどの無機質な素材より、木や自然素材といった、手のぬくもりや手仕事の揺らぎを感じるものが好きです。楽天などのネットショップを見たり、自由が丘のインテリアショップを巡ったりして、直感的に『長く使い続けたい』と思えるものを選んでいます」
「物がすごく多いんです」と語るnanaさんですが、決して散らかっている印象を与えないのもまた、魅力のひとつです。秘訣は人の目を意識した収納のメリハリとのこと。
「目線の高さにある棚の上は『飾るステージ』として、アートや置き物など見ていてときめくものを並べます。一方で、引き出しや扉の中は『隠す場所』。実用的なものや生活感の出るものは、潔くここに収めます。この小物は見せるのか、隠すのか、一つひとつを自分の中でランク付けして収納場所を決めているのが、お部屋をスッキリと見せるこだわりです」
メリハリをつけつつ、あるべきものがあるべき場所に収められているからこそ、毎日の時短料理が叶います。そしてこの「ランク付け収納」は、キッチンの小物選びにも。
「お砂糖やお塩のように毎日使うから外に出しておきたいものは、ちょっとお洒落なキャニスターを選んでインテリアの一部にします。逆に、冷蔵庫の中にしまっておく収納容器は、100円ショップの便利なもので十分。わざわざ詰め替えたりもしません。すべてにこだわると破産してしまうので、目に付く場所だけに集中して投資し、お気に入りの空間を作っています」
今日もどこかのキッチンで、
誰かの「相棒」になれるように
自分にとって居心地がいい空間で、できるだけ真似しやすく省エネで作れるレシピを日々開発しているnanaさん。初の著書『30分でしみじみおいしい おきらく献立』では、SNSで大反響を呼んだ「30分で褒められ献立」の手順を誰でも再現できるように、緻密なタイムテーブルとして可視化しました。
「最初に野菜を全部切る、焼いている間にレンチンする、その隙に2品目の準備をするなど、料理を始めたばかりの人でも迷わないように時間軸の指針を作りました。もちろん、この通りに真似する必要はありません。一つの目安として活用してもらうことで、皆さんの料理のハードルが少しでも下がって、楽しんで作ってもらえたらいいなと思っています」 nanaさんが著書の中からお気に入りのレシピとして教えてくれたのは、SNSで1,100万回以上再生された「白菜と豚バラのフライパン蒸し」。

「白菜とお肉を交互に挟むミルフィーユ蒸しも素敵ですが、その挟む工程が面倒で(笑)。律儀に挟まなくてもおいしいよね?と思って、白菜をザクザク切ってフライパンに重ね、その上にお肉をボーンと乗せるだけにしました。そんな私のズボラさをフォロワーさんが受け入れて共感してくれたことが、何より嬉しかったです。味もおいしくできていると思うので、お気に入りであり思い入れのあるレシピですね」
「完璧」を目指すのではなく、「面倒くさがり」を武器にして、独自の工夫で解決していくnanaさん。彼女が日々研究して生み出すレシピは、今日もどこかのおうちのキッチンで、誰かの心を温かく解きほぐしているはずです。
Profile

インフルエンサー / nana
おうちが大好きな29歳。夫婦ふたり暮らし。料理を中心とした暮らしのことを発信するインフルエンサー。SNS総フォロワー数は100万人を越える(2026年3月現在)。工程が少なめの簡単レシピとシンプルで便利な暮らしのアイテムレビューが人気。特にInstagramのメイン投稿となっている「30分で褒められ献立シリーズ」がSNSユーザーに好評。
Instagram:@nnn.home
YouTube:@nnnhome-nonbiri のんびり暮らしチャンネル
TikTok:@nnn.home
『30分でしみじみおいしい おきらく献立』(ワン・パブリッシング)
30分で3品の献立が完成する、シンプル工程の簡単・時短レシピが満載! nanaさんの頭の中をそのまま反映した段取りタイムテーブルと調理のコツで、誰でも無理なく手際よく、食べごたえのある料理が作れます。

取材・文=水谷花楓 カメラマン:松村隆史