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おいしさを引き出すひと手間も楽しむ!料理人 笠原将弘流・汁とめしレシピ
第1回「出汁」の取り方

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和食は出汁(だし)をとったりと準備が大変そうだし、味つけも繊細でむずかしそう……と感じるでしょうか? そもそも和食は、日本古来の日常食。気負わず、「ごはん」と「汁物」のシンプルな組み合わせで楽しむ、一汁一飯(いちじゅういっぱん)の魅力を見直してみましょう。

恵比寿で日本料理店「賛否両論」を営む、料理人の笠原将弘さんが提案する一汁一飯のレシピ『汁とめし』は、冷蔵庫の残り物など身近な食材で簡単につくれて、しかもおいしいと話題。今回は、笠原さん直伝の『汁とめし』レシピ3種を短期集中連載でお届けします。

第1回は、汁物の基本中の基本である、出汁の取り方を解説いただきます。

正しい和食の味をもっと身近なものに

食事になくてはならないのが、ごはんの味を引き出したり、ときにはおかずのような役割で主役を張ったりもする汁物です。笠原さんは、「ちょっと工夫するだけで“汁”は驚くほどおいしくなる」と語ります。

「料理というのは、手間をかけた分だけおいしくなるものだと思っています。でも、忙しい日々を送る方々に、一方的に毎日これやれあれやれとは言いたくありません。一昔前ならいざ知らず、いまは顆粒出汁が便利な時代ですし。ただ、日本人として正しい順序でとった出汁の味っていうのを知っておくのは大事だと思うんです。手間をかけずにおいしくつくる方法はたくさんありますよ」(料理人・笠原将弘さん)

笠原さん流の、家庭でも気軽に取り組める出汁の取り方とは?

ほうっておくだけでできる!
おいしい出汁の取り方

「お吸い物はこぶと削りがつおでとった一番出汁を使うのをおすすめしていますが、みそ汁に代表される日々の汁物の出汁は、もっと気軽に考えてもらいたいと思っています」

そういう笠原さんが考える“家庭の汁物の出汁は、「なべに水600ml、こぶ10g、煮干し10gを入れて30分ほどおうっておくだけ」だそう。この30分間とは?

「こぶや煮干しからうまみを引き出すための時間です。これが長ければうまみをもっと抽出できるので、一晩おいてもいいくらいです。その場合は冷蔵室に入れておけば、暑い季節でも安心です」

作るとなったら、火にかけるだけ。これなら、毎日続けられそうです。

【材料(2〜3人分)】

・水……600ml程度(直径約20cmのなべでちょうどいい水量)
・こぶ(出汁用)……10g
・煮干し……10g

【作り方】

1.鍋に水、こぶ、煮干しを入れ、30分ほどおく。(冷蔵庫に一晩おくとなおよい)

2.中火にかけて、ふつふつとしてきたら弱火にし、煮立てないようにして10分ほど煮て、火を止める。その後、時間があれば20分ほどおくと、こぶのうまみがより抽出される。こぶと煮干しをとり出す。

とり出したこぶは細長く切って、そのまま汁の具として食べても。そのほかうまみを足すイメージで煮物やいため物の具にするとよい。佃煮にしてもおいしい。

時間がないときは市販の出汁でもいい

「ほうっておく時間がとれないときは、すぐに使える粉末の出汁のもとや出汁パックを使っても大丈夫。その場合は貝類や野菜などの旨味が出やすい具と組み合わせるのがオススメです」

以上の出汁の取り方をはじめ、お米のおいしい炊き方や、見たら必ずつくりたくなるおいしい一汁一飯レシピは、笠原将弘さん著『汁とめし』にまとめられています。これも和食!? とときに驚くようなレシピも。和食をもっと身近に感じられるアイデアレシピを、チェックしてみてください。

笠原将弘『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』(主婦の友社)
冷蔵庫の残り物で作れ、シンプルなのに満足できる___頑張らないでもしみじみとおいしい、笠原流・究極2品献立という提案の書。予約の取れない日本料理店「賛否両論」店主が、いま提案する献立こそ「汁とめし」なのです。食材の組み合わせや作りやすさを極めた、汁物とごはん物の厳選レシピ、計84品を収録。

次回は、数ある汁物レシピの中でも笠原さんが気に入っている「くたくた玉ねぎととうふの豚汁」を紹介します。

Profile

料理人 / 笠原将弘

1972年、東京都生まれ。高校卒業後「正月屋吉兆」で9年間修業したのち、父の死をきっかけに武蔵小山にある実家の焼き鳥店「とり将」を継ぐ。2004年、東京・恵比寿に「賛否両論」をオープンし、予約のとれない人気店として話題になる。2013年には名古屋に直営店をオープン。テレビ番組のレギュラー出演をはじめ、雑誌連載、料理教室など幅広く活躍する。2023年6月にはYouTubeチャンネル『【賛否両論】笠原将弘の料理のほそ道』を開設。流暢な語り口で調理のコツを惜しみなく解説し、チャンネル登録者数は56万人超。
「賛否両論」HP
YouTube

文=染谷遥 撮影=竹内章雄 [料理]、鈴木謙介 [人物]