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炊き立てはあっさり、寝かせて旨みたっぷりに。ヘルシーな玄米をよりおいしくする
“寝かせ玄米”の炊き方

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健康でいたい、体の免疫力を高めたい、と感じることがこの頃増えたのではないでしょうか? 健康志向が高まると同時に見直されている食品が、玄米。ところが玄米は精米されていないため、自宅でおいしく炊くのは難しいのが難点です。

独自開発の炊き方による玄米「寝かせ玄米」が評判を呼んでいるのが、寝かせ玄米と伝統的な和食を提供する「結わえる」。今回は、蔵前にある「結わえる 本店」を訪ね、玄米を寝かせることでもちもちして食べやすくする方法を教えていただきました。

玄米を食べるとお通じがよくなる?

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玄米は、白米とほとんどカロリーは変わりませんが、栄養価はとても高いのが特徴です。ビタミンB1とマグネシウムは、白米の約5倍も含まれていて、食物繊維にいたっては6倍もの量を摂取することができます。

ビタミンB群には新陳代謝を促したり、消化や神経の機能を助けたりする役割があります。また、食物繊維は便秘や腸内環境を整えるのに大切な栄養素です。

「個人差があるので、効能のようなことは言えませんが、体が軽くなったとかお通じがよくなったという声をたくさんいただいております」(株式会社結わえる 広報・島田まなみさん、以下同)

“玄米七徳”って? 医学博士が解説する「玄米」が持つ真の実力とは?

「寝かせ玄米」とは?

寝かせ玄米とは、圧力で炊いた玄米を3〜4日の間保温ジャーに入れ、寝かせたもののこと。小豆を混ぜて炊くことが多く、実は「寝かせ玄米」と謳えるのは「結わえる」のみだそう。

「結わえる」の寝かせ玄米はここが違う!

「結わえる」の代表・荻野さんの著書でも、炊き方や食べ方を詳しく解説しています。
「結わえる」の代表・荻野さんの著書でも、炊き方や食べ方を詳しく解説しています。

寝かせ玄米は、泡立て器で玄米をかき混ぜてお米の表面に傷をつけることで浸水しやすくし、圧力鍋で炊いたものを3〜4日ほど寝かせています。小豆入りのものを提供していますが、雑穀を入れたりプレーンのままだったり、さまざまな玄米の楽しみ方を提案しています。

寝かせ玄米に必要な材料とは?

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基本の寝かせ玄米を炊くときに必要なのは、「お米」「小豆」「塩」の3つ。小豆はなくても構いませんし、雑穀などに変えたりして好みの味に炊くこともできます。

「お米は、もちもちした食感が人気の『ミルキークイーン』をブレンドしたオリジナルです。ミルキークイーンだけでもお餅のような食感になっておいしいのですが、さっぱりした『あきたこまち』や『こしひかり』を混ぜることで、バランスのいい食べ心地になります。また、塩はミネラルが豊富な精製されていない天然塩がおすすめです」

寝かせ玄米を炊くときに必要な道具は?

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寝かせ玄米を炊くときに必須なのが、圧力鍋。おすすめは、ヘイワの圧力鍋だそう。

「いろいろな圧力鍋で炊いてみた結果、これがいちばんおいしく炊けるということがわかり、ヘイワのものを使っています。内釜がついているので、水分が飛びすぎず、もっちりと炊き上げられます」

寝かせ玄米の炊き方

ではさっそく、炊き方を順を追って教えていただきましょう。

【材料】

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・玄米……3合
・小豆……21g
・塩……3g
・水……600ml(外釜用)・450ml(内釜用)

【炊き方】

1.玄米を水で洗ってからボウルに入れ、小豆と一緒に泡立て器でよく混ぜる。このまま一時間浸水させる。
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「混ぜるのが目的ではなく、泡立て器でお米の表面に小さな傷をつけるためにする作業です。20〜30回ほど混ぜておきます。こうしておくことで、お米が水分を吸収しやすくなり、浸水時間が1時間ほどでも柔らかく炊けるのです」

2.内釜に玄米と小豆、水、塩を入れ、外釜にも水を入れて圧力鍋をセットする。
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「水分量はあくまでも目安と考えてください。ご家庭の環境や火加減、使うお米の種類によって、炊き上がりが全然違ってきてしまいます。まずは一度炊いてみて、それからお好みの水分量に調節してみてください」

3.中火にかける。
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「炊き上がりまでの時間は、圧力がかかってからおおよそ30分ほどです。中火といっても、ちょっと火が強いだけで蒸発の時間が早くなってしまうので、炊いているうちにわかってくると思いますよ。外釜に入れた水がほとんどなくなっているくらいが、ちょうどいい炊き上がりです」

4.蒸らす。
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「炊き上がったらそのままピンが降りるまで、30分ほど蒸らします。この間にも玄米がしっとりと柔らかくなっているんですよ」

5.よく混ぜる。
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「十字に切るようにしゃもじを入れ、さっくりと返すように全体を混ぜていきます」

・炊き上がったばかりの玄米

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こちらが炊き上がったばかりのようす。寝かせたものよりもぐっと色が浅く、玄米の若い香りも漂います。小豆と玄米の味がそれぞれ際立っているのも印象的です。あっさりした味で食べたい方は、この炊き立ての状態を楽しみましょう。

「炊き立てで食べるのは、わたしたちも大好きなんです。塩気が玄米の甘さを引き立ててくれる感じも、炊き立てだとよりはっきりわかると思いますよ」

・3日間寝かせた玄米

左側が、炊いてから3〜4日の間保温しておいたもの。
左側が、炊いてから3〜4日の間保温しておいたもの。

寝かせ玄米は、炊きあがったものを炊飯器に移し、3〜4日くらいは保温のままにしておきます。寝かせながら食べてもかまいませんし、しばらく寝かせておいて、できあがりを待つのもわくわくしますよね。

「保温しているとはいえ、雑菌の繁殖には注意が必要です。食べた箸や使ったしゃもじを入れないようにしてください。また、必ず一日に一度は天地を返してよく混ぜます。鍋肌についているお米はどうしても温度が高くなりがちで、渇いてきてしまうので、混ぜてならしましょう。7日以内に食べ切るのが、ひとつの目安です。冷凍もできるので、ラップに包んで冷凍しておくと便利ですよ」

寝かせ玄米のおいしさとは?

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寝かせた玄米は、炊き上がりよりもしっとりと重く、小豆の味がしっかり玄米に染みて濃い味がします。玄米独特のにおいもほとんどなく、寝かせるほどに食べやすくなるのが特徴です。

「寝かせたものも炊き立ても、本当に味の印象がまったく違うので、お好みで食べてみてください。寝かせれば寝かせるだけ旨みがぎゅっとしていきますが、同時にお餅のように食べ心地は重たくなるので、少量でも満足できるんですよ」

自分では炊けない、時間がない……という人に

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玄米を炊くには圧力鍋が必要になったり時間がかかったり、自分ではできない! という人のためには、レトルトパックがおすすめです。電子レンジで加熱するだけですぐにおいしい寝かせ玄米が食べられますよ。

「近年は健康志向が高まっているので、贈り物にもとても喜ばれています。ちょっと家にストックしておくと便利ですし、防災食としても活躍します。忙しいときこそ体のことを考えたものが食べたくなるので、パッと食べられる玄米はおすすめです」

おすすめの食べ方は?

寝かせ玄米を食べるときは、白米のようにおかずに重きを置かず、お漬物やお豆腐など、さっぱりするおかずだけでも十分においしくいただけるのも大きなポイントです。

「従業員たちも、お漬物やちょっとした淡白なおかずだけで食べる人の声をよく聞きます。また、海苔との相性がいいので、キンパにしたりおむすびにもおすすめ。もちろんカレーなどの丼ものもおいしく食べていただけますよ」

これから暑い夏に向けて、少し体や肌のバランスをととのえて、夏バテしない体づくりをしたいもの。玄米生活をはじめると、それを起点にして食生活全体に変化が起こるかもしれません。寝かせ玄米のおいしさをぜひ試してみてください。

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結わえる 本店

所在地=東京都台東区蔵前2-14-14
Tel=03-5829-9929
営業時間=ランチ11:00-15:00(L.O. 14:30)、ディナー17:30〜22:00 (L.O.フード 21:00)、物販11:30~20:00
定休日=日曜(第3~5日曜は営業)、お盆、年末年始
https://www.yuwaeru.co.jp/
レトルトパックの購入はこちらから。玄米生活にぴったりの、体に優しくおいしい食品も取り揃えています。
https://www.nekase-genmai.com/

取材・文=吉川愛歩 撮影=真名子 編集協力=Neem Tree