ここ数年、“ブーム”の域を超え、もはやカルチャーとして定着しつつあるボードゲーム。しかしいざ遊ぼうと思っても、種類がいろいろありすぎて、ボードゲーム初心者からすると何を選べばいいのかわからないことも……。
まずは、業界の最新トレンドを、ボードゲームジャーナリスト・小野卓也さんに聞きました。
海外の人気タイトルが続々と日本語版を発売!
「この1年は特にSNSやYouTubeからヒットにつながったゲームが多い印象です。写真1枚、もしくは数十秒動画を流せばどんなゲームなのかわかるキャッチーな国産パーティーゲームが話題になる傾向にあります。目にした人が自分もやってみたいと思える簡単さがウケているのでしょうね」(小野さん)
国産ゲームのヒットに後押しされるように、海外ゲームの国内リリースも増加傾向にあるといいます。2018年に日本国内で発売された新作海外ゲームは、カードなどがローカライズされた“日本語版”だけで100タイトルを超えます。
「プレイ人口が増えたことで、海外の人気タイトルの日本語版は一定数の売り上げが見込めるようになりました。ドイツで長く絶版になっていた知る人ぞ知る作品が立て続けに日本語版のみで発売されるなど、世界でも類を見ない現象が起こっています」(小野さん)
短時間ゲームの流行により広がる国産ゲームの存在感
個人やサークルが手がけた同人ゲームも、盛り上がっています。「昨年、国内で発表された同人ゲームは、1000タイトル超え。もう全貌を把握している人は誰もいないのが現状です」(小野さん)
春と秋に開催されるゲームマーケットには、世界中のパブリッシャーが新作をチェックしに訪れます。「日本人デザイナーが得意とする、内容物やルールを極限まで減らしてシステムでうならせる“ミニマルゲーム”が、世界的な潮流と合致し注目されています。業界で最も権威ある賞・ドイツ年間ゲーム大賞の大賞作に国産ゲームが選ばれる日も近いかもしれませんね」(小野さん)
※同人ゲームとは、「同好の士の集まり(サークル)」で製作された日本独自のインディーズゲームを指す言葉。「同人誌」によって世間に浸透した「二次創作」とは意味が異なります。
【トレンド1】
直感的に、何度でも楽しめる!「超入門カードゲーム」
1. プレイ画像が3万RT超え! ひと目で伝わるキャッチーな大喜利ゲーム
クラグラ「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」
3400円
プレイした人による画像を貼ったツイッターでのつぶやきが3.4万リツイートされ、一気に世間の注目を浴びた即席大喜利ゲーム。手札を自由に組み合わせ、10秒でプロポーズの言葉を無理やり考えて発表します。
【SPEC】
・対象年齢:13歳以上
・プレイ人数:3~6人
・プレイ時間:15~30分
・箱サイズ:幅100×高さ160×奥行55mm
ちなみに…「拡張セット」とは?
ゲームの遊びの幅を広げるために追加する、専用のカードやパーツ。基本セットだけでもの足りなくなったときや、人数を増やして遊びたいときに活躍します。なお、拡張セットだけでは遊べない場合が多いです。
2. タレントが遊んで話題に!カタカナ語のお題を日本語でうまく伝えよう
TUKAPON「ボブジテン その3」
1944円
テレビ番組で木村拓哉と二宮和也が遊んだことで話題に。「カタカナ語のお題を日本語だけで説明する」という数秒で伝わる簡単ルールが視聴者を惹きつけ大ヒット。第3弾にはジョージカード(下)が付属します。
【SPEC】
・対象年齢:10歳以上
・プレイ人数:3~8人
・プレイ時間:30分
・箱サイズ:幅70×高さ100×奥行20mm
3. 負けても面白い!? カードを組み合わせて〝映える”偉人を召喚!
Azb.Studio「ソクラテスラ ~キメラティック偉人バトル~」
2916円
奇妙な名前の“オリジナル偉人”を誕生させるバトルカードゲーム。若者を中心にツイッターで話題に。偉人は右腕、胴体、左腕に分かれたカード(+装備カード)が揃うと召喚でき、他プレイヤーの偉人と勝負します。
【SPEC】
・対象年齢:10歳以上
・プレイ人数:2~6人
・プレイ時間:15~30分
・箱サイズ:幅95×高さ140×奥行30mm
【トレンド2】
知る人ぞ知る海外ゲームが装い新たに登場!「埋もれた名作の日本版リメイク」
1. シビアな駆け引きで頭を悩ませる絶版ゲームが待望の復活
ニューゲームズオーダー「もっとホイップを! 日本語版」
2000円
2008年にドイツで発売された「…aber bitte mit Sahne」のリメイク。切り分けた人が最後に選ぶ「ケーキの切り分け問題」がテーマ。切り分けたケーキタイルから1セット選び、同じケーキを集めて得点を稼ぎます。
【SPEC】
・対象年齢:8歳以上
・プレイ人数:2~5人
・プレイ時間:20分
・箱サイズ:幅75×高さ150×奥行43mm
2. “運”要素は一切なし! 鉄道投資で影響力を争う通好みの傑作の日本語版
グループSNE「スティーブンスン・ロケット」
4860円
1999年にドイツで発売され、高評価を得たものの絶版となっていた作品がまさかの日本語版に。舞台は1830年代のイングランド地方。プレイヤーは投資家となり、鉄道会社の株式取得を元に大きな収益の獲得を目指します。
【SPEC】
・対象年齢:12歳以上
・プレイ人数:2~4人
・プレイ時間:60分
・箱サイズ:幅190×高さ265×奥行60mm
【トレンド3】
海外版リメイクもされ大きな話題に!「日本発同人ゲーム」
1. 名作同人ゲームの海外版リメイクが逆輸入され日本語版に!
Engames「ペーパーテイルズ」
4536円
同人ゲーム「ヴォーパルス」の海外版リメイク作が日本に逆輸入。プレイヤーは国の王となり「経年」の概念のある世界で国力を強化します。今年のドイツ年間ゲーム大賞エキスパート部門で推薦作入りを果たしました。
【SPEC】
・対象年齢:12歳以上
・プレイ人数:2~5人
・プレイ時間:30分
・箱サイズ:幅187×高さ273×奥行65mm
2. わずか16枚のカードが短時間で織りなす濃密なプレイ感
アークライト「ラブレター」
1998円
海外でヒットしたことで“ミニマルゲーム”という言葉を生んだ作品。プレイヤーは城に仕える人物が描かれた「協力者カード」の効果を使い、姫にラブレターを届けることを目指します。バットマン版なども発売されています。
【SPEC】
・対象年齢:10歳以上
・プレイ人数:2~4人
・プレイ時間:5~10分
・箱サイズ:幅99×高さ153×奥行37mm
3. 仏大手メーカーがリメイク! SNS映えバツグンの新感覚バランスゲーム
itten「トーキョー ハイウェイ 4プレイヤーバージョン」
5832円
首都高をテーマにした戦略的なバランスゲーム。フランスの超大手メーカー・アスモデが海外版をリリースし話題に。他プレイヤーの道路と立体交差させることで車コマを配置。コマを置ききった人が勝利します。
【SPEC】
・対象年齢:8歳以上
・プレイ人数:2~4人
・プレイ時間:30分
・箱サイズ:幅290×高さ290×奥行72mm
続いて、ボードゲームに精通した3人がオススメのゲームをピックアップして紹介します。