タロットカードでもなく、天使カードでもなく、オラクルカードとも異なるカード占い。「ルノルマンカード」をご存じですか? ルノルマンカードとは、1800年代、かのナポレオンの妃ジョセフィーヌに心酔された伝説の占い師、マドモアゼル・ルノルマンに由来します。
フランス革命からナポレオンという大きく時代が動いたときと、わたしたちが生きる時代と“激動の時代”という点で交錯する今、マドモアゼル・ルノルマンとはいったい何者だったのかを紐解き、ルノルマンカードとともに書籍にしたのが、小宮ベーカー純子さんです。かねてより小宮さんと親交のある、ブックセラピストの元木 忍さんが核心に迫ります。
ルノルマン・ピケ -未来を描くグランタブロー-
3996円/ナチュラルスピリット
どんな質問にも的確な答えを導き、幸せな未来を想像するカードと、ナポレオン皇妃お抱えの占い師、ルノルマンについて詳細に解説された書。
女優を目指したものの
いつしか不思議なことが起こって……
元木忍さん(以下、元木):最新刊の『ルノルマン・ピケ —未来を描くグランタブロー—』(ナチュラルスピリット)を筆頭に、小宮さんはたくさんの本を書かれていらっしゃいます。どうやってルノルマンに巡り合ったか……についてお尋ねしたいのですが、それにはまず小宮さんの経歴をお話いただきましょうか? ところで、お呼びするのは「小宮さん」でいいんでしたっけ?
小宮ベーカー純子さん(以下、小宮):はい(笑)。JUJU(ジュジュ)と呼んでください。この名前のほうがご存じの方、多いでしょうし。まず私自身の生い立ちをお話しますと、父は日活の宣伝マン、当時でいうところの“映画屋”でした。母は音楽家で。小さいときから、「ゆうちゃん」(石原裕次郎)や「さゆりちゃん」(吉永小百合)といった名前が、日常的に家庭内に飛び交っていて。実際に、女優さんや俳優さんともよく会いましたしね。母は音大に進んでほしいようでしたが、私自身は女優になるものだと心に決めていて。演劇科と音楽科のある桐朋学園に入りました。音楽科に行くふりをして演劇科に。母を騙して(笑)
元木:それは何歳のときですか? 中学生?
小宮:小学生かな。当時は大阪にいたんですが、「東京で女優になる」って11歳のときから家出計画を立ててね。母からピアノのレッスン代をもらって、そのお金を算段してダンスも習って。着々と女優になる準備をしていました。
元木:そして桐朋学園の演劇科に入学したんですね。
小宮:でも、桐朋学園のピアノ科の寮が火事になって。それでピアノを完全に辞めて役者への道、一直線。そこからグッと時代が進みますが、役者の世界には不思議な人が多かったんです。
元木:不思議というのは?
小宮:私、大河ドラマの『春日局』で“侍女”のひとりだったんです。その女性陣が「私、昨日、幽体離脱しちゃったの」「え? 私も!」なんて会話がふつうに交わされるという。まあ、芸能界には、感受性が高いとか霊感が強いという方が多いですから。
元木:舞台でも、番組の制作でも、お祓いしますしね。
小宮:そう。誰かが怪我するとすぐに神主さんを呼ぶしね。女優の世界に入ったと思ったら、霊的な人がたくさんいる世界だった!
元木:そこをきっかけに、現在のJUJUさんに繋がっていくんですね。具体的には……?
小宮:1985年8月12日の日航機墜落のときです。このあたりから“次元の扉が横に開いた”という感覚があって。ちょうどこのとき、芸術座でミュージカル舞台があって。私は園佳世子さんのお世話をしていたんですが、事故のショックで園さん、声が出なくなってしまったんです。でも、私が背中に手を当てたら、声が出るようになって。
元木:へぇー、すごい!
小宮:園さんからは、「あんたは“電気女”やな。女優ではなく、あんたにはやることがあるで!」と言われてね。役者になるために努力してきたのに、大女優の園さんに、そんなふうに言われてしまってね。しかも、同じ航空機事故で亡くなった男性が母の同級生だったことから“シルバーバーチ”(指導的な立場にある霊団の高級霊のこと)の霊訓を書いた本が回ってくるようになって。さらに、隣の家の男の子が百何十本ものスプーンを曲げたり……。そうやって、信じられないことだけれどもいろんなことが起こって。そして、“次の日になにが起きるのか”がわかるようになってしまったんです。
元木:それまでは、ひとりの女優さんだったのに、不思議なことが実体験として起こるようになったんですね。
小宮:そう。で、私自身の人生を全部変えなくちゃ、と。だから疑問の多かった結婚に終止符を打って離婚して、子ども二人を連れて、湘南の海の近くに引っ越したんです。ちょうどそこに、現在の主人がイギリスから来ていて。それから主人とはずーっと一緒にいますけどね。
元木:いろいろあったんですね。
小宮:はい。それまで私、好きなことしか仕事にしていなくて。銀座でピアノを弾いたり、テレビに出せてもらったり、時々、原稿を書いたり。でもね、引っ越したばかりのころ、子どもを二人抱えて生きていくにはどうしよう? と。ふつうはよく「スーパーのレジだ」と考えるんですが、それをね、紙に書いてみたの。
元木:すると?
小宮:紙に書いた途端、パッといろんなことを感じて。「あなた、レジをやりたい人から、その仕事奪ってどうするの?」って。で、これまで私がしてきた仕事をつらつらと書いてみたら、「やばい、私、スーパーのレジ、できないんだ」とわかったんですよ。私に与えられている能力でできることをしなくちゃ! ってね。すると、ある人が連絡をしてきてね。「あなたはいろんなことがわかっちゃうそうですね」と。それからまた、ほかの人が来て、またほかの人が来て……とポツポツと増えていった。
元木:それで「日本にチャネラーがいるよ」となって、いろんな人からの相談を受けるようになったんですね。いつごろですか?
小宮:1991年です。ダンサーでもあったので、宇宙と一緒にダンスをしながらチャネリングセッションをする“コズミックダンス”というワークショップをスタートさせました。テーマに「核」があって、広島・長崎の被曝者の方たちとも一緒に、スコットランドのエジンバラにダンス公演に行って。そこからまたいろんなことが起こって、日本にはもういられないなと覚悟を決めて、イギリスに移住しました。
元木:ご主人がイギリス人ですしね。そういえば、こちらのワンド(古代から使われているエネルギーを拡散するための“杖”)はご主人がつくられたんですよね。
小宮:そうなんです! これは会社の守り神、魔法のワンドなんです。
元木:すごいです。これは自然の木ですよね? 流木とか?
小宮:流木のものもありますが、これは森の中から。木は絶対に、切ったり折ったりせずに、パンッと出てくるものを使っています。「ワンドになりたい」という木が自分からやってくるんです。
元木:うーん。そうしたいろいろな不思議な縁がJUJUさんを、JUJUさんにたる人物にしていったんですね。
世界唯一と言っても過言ではない
ルノルマンへの探究心
元木:その後も、イギリスのストーンヘンジのような「魔法のサークル」へのツアーを15年も主催なさっていますが、今回の本題、『ルノルマン』を広めようとなったきっかけは?
小宮:東日本大震災があった年(2011年)の12月、イギリスのリバプールのスピリチュアルフェスがあって。そこでタロットの人が、私を見はじめたんですね。未来のこと……日本がどうなってしまうのか? 女性がどうなってしまうのか? を聞くうちに、本を出すことを決意したというか。そのまえに『ユア・ターン』という本を書いていたんですが、次に『ルノルマン』のことを書くことになってしまった、と言えばいいかな。
元木:マドモアゼル・ルノルマンについては、JUJUさんの書籍を読んでいただければ、すごく理解が深まるんですが、ここでちょっと説明をお願いします。ルノルマンさんって、革命家たちのセッションというか、いろんな人を占っているというか……すごい人なんですね?
小宮:そう、すごいんです。ロベス・ピエール(フランス革命の指導者)とかね。いちばんすごいのはナポレオンですね。
元木:ナポレオンもそうだけれど、皇妃となったジョセフィーヌとの親交が深かったという。で、JUJUさんは、ルノルマンのことを調べれば調べるほど、どんどん彼女に魅了されていった。でも日本で調べている人、ほとんどいないですよね? JUJUさんが第一人者でいらして。
小宮:当時は、日本に本がなかったんです。古いトランプ占いの本に名前が出てくるくらいでね。だから、ルノルマンに関する海外の著作をくまなく読みました。さらには、フランスの国立図書館にある本を、英語に翻訳してもらって読んだり。そうするとね、ルノルマンが誤解されていることに気がつくんですよ。そうして、事実と異ならないように、二番煎じの情報を排除していく。
元木:ルノルマンゆかりの地へも訪れたんですよね。
小宮:ルノルマンが生まれたアランソンに行ったら、観光局のパンフレットにルノルマンのことが書かれていて。日本では得られない情報を知りましたよ。たとえば、本当は長女じゃなくてさきに生まれた子がいて、そこの地方では先に生まれた子がなくなったらその名前を次の子につけるとかね。迷信なんですけどね。
元木:現地調査をしたからこそ、知り得た情報ですね!
小宮:本当、現場に行くって大切なこと。サン=ジェルマンにあった、ルノルマンのサロン近くの宿に泊まったり、リーディングしたり。革命家だけでなく、一般の人たちの手相を見ていたポン=ヌフまでは、サロンからどのくらい歩くのか? とかね。そうそう、ルクサンブル宮殿もサロンのすぐそばで。まだナポレオンと結婚していなかったジョセフィーヌがバラスに囲われていた場所でね。ここの裏口から出れば、ジョセフィーヌは歩いてすぐ、ルノルマンに会いに行ける……。
元木:想像するだけで、興奮してきますね! JUJUさんのすばらしいところは、そうやってご自分で歩いて検証したからこそ。
では、実際に「ルノルマン・ピケ」とはなにか、「ルノルマン・カード」とはどういったカードなのか、見て行きましょう。