2. 不溶性と水溶性の食物繊維でおつうじ抜群に!「コンビジチゲ鍋」
【発酵食品=キムチ・発酵昆布水】
コンビジとは、韓国語で“おから”という意味の言葉。10日ほど発酵させた昆布水とあさりの旨味が出たスープに豚バラや野菜、キムチを入れたお鍋は、おからを入れることで食べ応えのある一品になります。
「おからに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維といい、主に便の量を増やしてくれます。一方、昆布に含まれるのは水溶性食物繊維で、善玉菌のエサとなり便の流れをスムーズにしてくれます。乳酸菌たっぷりのキムチと二種類の食物繊維は、美しい肌や体づくりに欠かせません。また、キムチに含まれる唐辛子は、体を温めて血のめぐりをよくするだけでなく、腸内の腐敗を防止する働きもあります。お肉や魚介など、消化の悪い食べ物と一緒に食べることで、腸が喜ぶ組み合わせになります」
【材料】
・キムチ…100g
・キムチのつけ汁…大さじ2
・ごま油…大さじ1
・豚バラ肉…50g
・発酵昆布水(作り方は下記参照)…400ml
・あさり…6粒
・長ねぎ…1/2本
・キノコ…ひとつかみ
・おから…100g
・豆乳…150ml
・ニラまたは芹…1/5束
・魚醤…適量
・韓国唐辛子…少々
・ごま油…適量
【作り方】
1. キムチと豚肉を食べやすい大きさに切り、キムチのつけ汁とごま油で揉んで10分ほど置く。
長ねぎ、きのこは食べやすい大きさに切る。ニラは5cmの長さに切る。
2. 鍋に、はらわたと頭をとった煮干しを入れ、1分ほど炒める。
3. キムチと豚肉を加え、香りが立つまで炒める。
4. 発酵昆布水とあさりを入れ、煮立ってきたらおからと豆乳を入れてさらに煮立たせる。
5. 魚醤で味を整えたら、ニラを乗せてごま油をまわしかけ、韓国唐辛子をお好みでかける。
《発酵昆布水の作り方》
密閉出来る900mlのガラス瓶を煮沸消毒して自然乾燥させ、昆布20gと水900mlを入れる。昆布が水面から出ないよう、水が足りない場合は昆布が浸かるまで水を入れておく。しっかりと蓋を閉め、10日ほど冷蔵庫で発酵させる。カビ防止のため、一日に一度は瓶を上下に動かして保管する。
※発酵昆布水が作れないときは、昆布を水に浸したもので代用可。
豚バラとキムチは、キムチのつけ汁とごま油で前もって揉んでおくことで、味が馴染み、おいしくいただけます。「キムチが苦手な方は、白菜の浅漬けや高菜漬けなどを使ってもよいでしょう」
3. 体を温めるスパイスと羊肉でホカホカ!「羊団子の納豆トマト鍋」
【発酵食品:納豆・酒粕・味噌】
パクチーと生姜を練りこんだ羊の肉団子が、個性のあるメイン食材になるお鍋です。旨味を引き出すために入れた納豆と酒粕が、定番になりがちな味噌鍋に深みを出し、新しい味が楽しめます。「羊肉には体を温める効果があり、シナモンや生姜、酒粕なども加わるので、冬の寒さや冷え性などで体を温めたい方にぴったりのお鍋です。味噌や納豆は良質なたんぱく質が豊富で、発酵させた大豆は消化吸収にも働きかけます。タイ北部では納豆を旨味成分としてよく使うので、味に深みやコクを出したいときにおすすめの食材です」
【材料】
[A=肉団子用]
・玉ねぎ…50g
・パクチー…10g
・生姜…10g
・羊ひき肉…100g
・塩…小さじ1/3
・シナモンパウダー…少々
[B=酒粕味噌]
・にんにく…1/2片
・味噌…大さじ2
・酒粕…大さじ2
・ごま油…大さじ1
・花山椒…6粒
・納豆…1パック
・トマト…1個
・水…300ml
・さつまいも…1/4本
・塩…適量
・キノコ…1/2パック
・キャベツ…1/4個
・パクチー…お好みで
・粉唐辛子…お好みで
【作り方】
1. [A]の玉ねぎ、生姜、パクチーをみじん切りにし、羊のひき肉とシナモン、塩を合わせてこねて肉団子にする。にんにくをみじん切りにして[B]の材料をすべて混ぜ合わせ、酒粕味噌を作る。トマトはざく切りに、野菜を食べやすいサイズに切る。
2. 鍋にごま油と花椒を入れて納豆とトマトを炒め、酒粕味噌を半分と水を入れて煮はじめる。
3. 肉団子とさつまいもを同じタイミングで入れる。沸騰したら塩で味を整え、野菜を入れる。
※お好みで酒粕味噌や粉唐辛子を足しながら食べる。
羊のひき肉が手に入らない場合は、ジンギスカン用の羊肉を叩いてひき肉にするのもよいでしょう。「羊の独特な香りとパクチーがこのお鍋にはぴったりなのですが、難しい場合は豚や牛のひき肉で代用してください。また、刻むパクチーはなるべく根元の方を入れると、香りが高く、存在感を引き出すことができます。お鍋に入れる花椒は、粒のものなら最初から、パウダーなら食べる直前に入れると、香りが飛びません。香りがよく、体を温める食材が重なった、深みのあるお鍋です。冷え性の方はぜひ作ってみてください」
発酵食品の栄養素がスープで丸ごといただける発酵鍋は、この冬いちばんのフードトレンド。マンネリ化してくるお鍋の味も、新しいレシピを取り入れれば、野菜をもっとおいしく、たくさん食べられるようになりますよ。
Profile
料理人・ヤスダ屋主宰 / 安田花織
在日韓国人のおばあちゃんと農家の日本の母の味、2つの豊かな食文化に触れながら育つ。 高校卒業後食の世界へ。 懐石料理店、オーガニックコミュニティカフェcafe slowなどを経て 2012年独立。繋がりを大切に、出来る限り食材の産地に足を運び、食材の育った風景、作り手の思いを込めて料理を作る。各種イベントケータリングや料理教室、レシピ提供など行う。http://yasuda-shikutan.com/about
取材・文=吉川愛歩 撮影=安藤佐也加 構成=Neem Tree