2017年9月に発売された『みそ汁はおかずです』(瀬尾幸子・著/学研プラス・刊)は、2018年にレシピ本大賞の料理部門で大賞を受賞し、現在もロングヒットしている話題の本。仕事を終えてクタクタになって帰ってきて、「味噌汁なんて作る余裕がない」という忙しい人でも「これならできるかも?」と思える、簡単でおいしいレシピが満載です。
瀬尾幸子『みそ汁はおかずです』(学研プラス)
https://hon.gakken.jp/book/2380080600
材料を切って、煮て、味噌を溶くだけ。男性にも人気の本書には、大根やわかめなどおなじみの具材から、白菜キムチや豆乳を使った珍しい味噌汁レシピが、80種ほど掲載されています。誰でも簡単に作れる具沢山のおいしい味噌汁は、毎日の楽しみのひとつになること間違いなし。
切る→煮る→味噌を溶く、これだけ!
「味噌汁」と聞くと、丁寧にだしを取って、相性の良い具材を考えて……と、朝から作ったり、仕事から帰ってきてから作るのには時間がかかるし、ちょっと面倒そうだなと思っている人も多いかもしれません。ところが、『みそ汁はおかずです』に掲載されているレシピはどれも、手軽そうで大胆です。小難しい手順は一切なく、「切る」→「煮る」→「味噌を溶く」だけ。
言われてみればその通りですが、さらに驚きなのが“具の量”です。2人分の材料に、おかわりちょっと分の分量で掲載されているのですが、ざっと分量を見てみると、じゃがいも2個、かぼちゃ8分の1個、キャベツ200g(4分の1弱)、青じそ6枚、ブロッコリー300g、さばの水煮缶1缶……と、どのレシピも具材がたっぷり。いつも見ているレシピの倍以上はあるのでは? なんて驚きました。
著者である料理研究家・瀬尾幸子さんによると、具材をたくさん入れると、具からうまみが出てさらに美味しくなるそう。それに、食べていると、ゴロゴロ具材にうれしくなってしまうんですよね。
食べて満足! おかずになる味噌汁のレシピ
今回、同書を参考にいくつかのおかずになる味噌汁を作ってみましたが、とても簡単なのにボリューム満点で美味しくて、「質」も「量」も満足できる味噌汁でした。また、さきほどもちょっと触れましたが、本書は発売されてから約2年経っていますが、男性の購入者が多いのだとか。作って納得! これだけお腹と心を満たしてくれるなら、男性ファンが多いのもうなずけます。では、さっそくおすすめのレシピを紹介していきましょう。
いつも冷蔵庫に入っている具材でできるおかず味噌汁
わざわざ味噌汁の具材を買ってくるのは、ちょっと面倒ですよね。でも『みそ汁はおかずです』に掲載されているレシピには、家庭の冷蔵庫に入っているものでほぼ完結できるものばかり。味噌さえあればいつでも作ることができると言っても過言ではありません。
「大根+油揚げ」「えのきだけ+ベーコン」「レタス+揚げ玉」などなど定番のものからちょっと残りがちの具材も味噌汁に入れてしまえば美味しい一品に早変わり。今回は「落とし卵+玉ねぎ」のレシピをご紹介します。
【材料(2人分)】
・卵……2個
・玉ねぎ……1個
・だし汁……カップ3
・みそ……大さじ3
・好みでこしょう……少量
【作り方】
1 切る
小さめの容器2個に卵を1個ずつ割り入れる。玉ねぎは半分に切って芯を切り落とし、1cm幅のくし形に切ってほぐす。
2 煮る
鍋に玉ねぎ、だし汁を入れて強火にかける。煮立ったら中火にし、玉ねぎがやわらかくなるまで煮る。卵を静かに加え、かたまるまで2〜3分煮る。
3 みそを溶く
みそを溶き入れ、ひと煮立ちしたら火を止める。器に盛り、好みでこしょうをふる。
「だし汁か……」と思ってしまった方、安心してください。瀬尾さん曰く、「この本のみそ汁は、具からうまみが出るので、だし汁はそれほど重要ではありません。だしをとることに疲れてしまうくらいなら、顆粒だしでもだしパックでも、使いやすいものを使えばいいんです」とのこと。
実際に作ってみましたが、ご飯とこの味噌汁だけで本当に十分! 調理時間も10分かからずにできたのも驚きでした。また最後にひとふりした黒こしょうがスパイシーで、「これも味噌汁なんだ!」と、味噌汁の新しい扉を開けたような気にもなりました。
ボリューム満点! 冬にぴったりなちょっと変わった味噌汁
続いて紹介するのは、ちょっと贅沢な「みそカレーシチュー」。時間がある時や、休日のおうちごはんとして、材料を揃えて心からポカポカになれる味噌汁を楽しみましょう。
【材料(2人分)】
・鶏もも肉……小1枚(250g)
・長ねぎ……1本
・長いも……10cm(150g)
・顆粒だしの素……小さじ1/2
・顆粒鶏がらスープの素……小さじ1/2
・水……カップ2
・豆乳(成分無調整)……カップ1 1/2
・みそ……大さじ2
・カレールウ……1かけ(20g)
【作り方】
1 切る
鶏もも肉は一口大に切る。長ねぎは斜め2cm幅に切る。長いもは皮をむき、2cm幅の半月切りにする。
2 煮る
鍋に鶏肉、長ねぎ、長いも、だしの素、鶏がらスープの素、水を入れて強火にかける。煮立ったらアクを取り除き、中火にして8分ほど煮る。
3 みそを溶き、豆乳を注ぐ
みそを溶き入れ、豆乳を注ぐ。
4 カレールウを加える
カレールウを加えて混ぜながら煮る。とろみがでたら火を止める。
余りがちなカレールウを消費できるレシピとしても優秀ですが、この味噌汁はご飯以上にパンとの相性がバッチリ! 豆乳がマイルドにまとめてくれるので、年末年始に頑張った胃腸を労るメニューとしてもおすすめです。
そして最後に紹介するのは、寒い季節にもぴったりな「白菜キムチ+にら+豚薄切り肉」。お碗に盛るから味噌汁ですが、材料だけ見るとキムチ鍋の材料そのもの! お手軽にひとり鍋気分を味わえます。
【材料(2人分)】
・白菜キムチ……120g
・にら……1/2束
・豚薄切り肉(好みの部位で)……60g
・だし汁……カップ3
・みそ……大さじ2
【作り方】
1 切る
白菜キムチは3cm幅に切る(切れているものはそのまま使う)。にらは3cmの長さに切る(根本は切り落とさない)。豚薄切り肉は3cm幅に切る。
2 煮る
鍋に白菜キムチ、豚肉、にら、だし汁を入れて強火にかける。煮立ったら中火にし、白菜キムチがやわらかくなるまで煮る。
3 みそを溶く
みそを溶き入れ、ひと煮立ちしたら火を止める。
この「白菜キムチ+にら+豚薄切り肉」の味噌汁はあえて汁を残しておいて、ご飯を入れて「おじや」にするのもおすすめ。ひとつの味噌汁で二度楽しめます。
年末年始の慌ただしい時期ですが、今夜はちょっと冷蔵庫の中をのぞいて、いつもより具がいっぱいの“おかずになる味噌汁”を作ってみませんか? おかずになる味噌汁レシピには細かいルールはないので、あなた好みの味噌汁を楽しみながら、体を労わりほっとひと息ついちゃいましょう。
取材・文=つるたちかこ
[書籍] 撮影=木村拓 スタイリング=大畑純子