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寒さにつれて甘く、栄養価が高まる旬の野菜。葉まで、丸ごと!
大根をおいしく食べ切る方法

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冬に向けて気温が下がってくると、根菜は栄養を溜め込み、みずから糖度を上げて甘く、おいしくなっていきます。今回は、おでんや鍋料理などで大活躍する「大根」にフォーカスして、下処理の方法と絶品レシピを紹介しましょう。

煮崩れることなく味が中までしみ込む正しい煮方や、シャキシャキした大根の葉を活用した料理などを、料理家の高橋善郎さんに教えていただきます。

 

大根は部位によって味が違う!

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大根は、部位によって味が違うといわれています。「個体差もありますが、一般的には根に近い部分は辛みが強く、大根おろしにするのに適しています。葉元に近い方は甘みがあり、サラダや野菜スティックなどにするといいでしょう。真ん中は、そのどちらもを兼ね備えたバランスのよい部分で、煮物に使うのに最適です。

大根を触ったとき、しっかり硬いものが新鮮でおいしい証拠です。カットしてある大根の場合は、断面がみずみずしいものがおすすめ。葉がついたまま売っている場合は、そのまま冷蔵庫に入れて保存してしまうと、葉の方にどんどん栄養を取られてしまうので、切り離してそれぞれ保存しましょう」(料理家・高橋善郎さん、以下同)

【部位別の楽しみ方】
・根に近い部分=辛みが強い。大根おろしに向く。
・葉元に近い部分=甘みがある。サラダや野菜スティックに向く。
・真ん中=辛みも甘みもバランスよくもつ。煮物に向く。

 

それでは、冬の旬野菜、大根を使ったレシピを高橋さんに教えていただきましょう。今回紹介していただくのは、基本のブリ大根から、大根を混ぜ込んだ肉団子鍋、大根おろしをアクセントにしたパスタの3品です。

1. きのこの入ったブリ大根
2. しょうが香る肉団子と春雨煮
3. 柚子風味のカニカマおろしパスタ

 

1. やっぱり煮物!体の芯まで温まる「きのこの入ったブリ大根」

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一品目に教えていただいたのは、分厚く切った大根を使ったブリ大根。中までしっかり味が染みていて、どなたにも喜ばれる料理です。栄養価が高く、香りと旨みのあるきのこを入れ、さらにおいしく仕上げていただきました。

「煮物は、薄口で上品な味わいや、こってりとした鍋底大根のようなものなど、さまざまな味がありますが、今回はご家庭でごはんと一緒に食べるおかずとしておいしい味に仕上げました」

 

【材料(2人分)】
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・大根…1/3本(500~600g)
・ブリのあら(切り身でもよい)…300g
・まいたけ…1袋(120g)
・エリンギ…中2本
(・お好みで白髪ねぎ…適量)

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・水…600ml
・昆布…1枚(5cm×5cm)
・しょうが(輪切り)…5枚
・しょうゆ…50ml
・みりん…50ml
・砂糖…50g

 

大根の下処理のし方

1. 大根は5cmくらいに切る
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厚めに切ることで、形がしっかり残って煮崩れしにくく、食べ応えのある煮物に仕上がります。煮ていくうちに少し小さくなることも加味して、ちょっと大きいかな、と思うくらいのサイズにカットしましょう」

2. 皮を厚めにむく
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筋が残らず口当たりのよい煮物に仕上げるために、皮を分厚くむきます。切った皮は、漬物にしたりお味噌汁の具に使ったりすれば、無駄がありません」

3. “面取り”する
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「煮物が崩れてしまう原因のひとつには、角が鍋肌や他の食材とぶつかることにあります。大根の切り口の角をなくす“面取り”をしておくと、崩れにくくなりますよ。煮崩れると、食べづらいばかりでなく、煮汁が濁ってしまうんです。ピーラーで切ってもOKです」

4. 片面だけに“隠し包丁”を入れる
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「大根の片側の面にだけ、1/3くらいの厚さまで十字に包丁を入れます。こうすることで早く煮えて、中まで味もしみやすいんですよ

5. 30分ほど煮る
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「鍋に大根とひたひたになるくらいの水を入れたら、キッチンペーパーなどで落とし蓋をしてからさらに蓋をして、30分ほど煮ていきます。ここでも煮崩れを防ぐために、火加減は“弱火でコトコト”が基本です」

6. 水で一度冷やす
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「竹串がスッと入るくらいまで煮えたら、一度流水でよく洗ってから水に浸け、芯まで熱をとりましょう。熱いまま煮てしまうと、調味料が中まで浸透していかないので、手間ではありますが、一度しっかり熱を取るのが重要です。冷えたら、半分に切っておきましょう」

 

大根の下処理ができたら、ブリ大根を作っていきましょう。

 

【作り方】

1. ブリのあらに熱湯をかけて血合いを掃除する

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ブリのあらは、そのまま煮ると生臭さがあるので、熱湯をかけます。血合いもきれいに取っておきましょう。切り身でもかまいませんが、やはり旨みはあらの方が強いので、食べるのは切り身にしても、だしを取る用にあらも入れるのがおすすめです。また、切り身だけで作る場合も、熱湯をかけて下処理した方が雑味がなく、おいしく仕上がります」

2. まいたけはほぐし、エリンギは縦4つに切る
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「きのこはどんなものでもかまいませんが、煮汁を濁らせたくないので、バラバラしてしまうしめじのようなものより、エリンギのような形が変わらないものがおすすめです。まいたけもちょっと大きめにほぐします」

3. 鍋にAを入れてひと煮立ちさせたらブリと大根を入れる
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「調味料が沸いたら、ブリと大根を入れましょう。その上からキッチンペーパーなどで落とし蓋をして、弱火でだいたい20分くらい煮ていきます。落とし蓋をするのは、調味料の上に具が出てしまわないようにすることと、煮汁がフツフツとしていても具材が中で暴れないよう、押さえる役割もあるんですよ。また、煮物は60~80度のときに食材に味が入っていくので、この温度帯を長く保てると、味が染み込みやすくなります。冷めにくい鋳物の鍋を使うと、加熱するときの温度の上がり方も冷ますときの下がり方もゆっくりで、じんわり味が染み込んでいきます」

4. 大根とブリの間にきのこを入れる
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「煮汁がやや少なくなってきていますが、大根とブリの間にぎゅっと押し込むようにしてきのこを入れていきます。きのこはすぐに煮えますから、2~3分加熱すれば大丈夫。あとは火を止めて20分ほど置いておきましょう」

【完成】
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「煮たあとに一度冷ますことで、さらに味が中まで入っていきますから、グツグツ煮続けるのではなく、余熱調理をうまく活用することがおいしく仕上げるコツです

 

続く大根レシピは、シャキシャキした食感がおいしさを引き立てる、さっぱり味の「しょうが香る肉団子と春雨煮」です。