頑固ものがちょっと打ち解けた⁉︎ 限定品や他ブランドへの水平展開も!
60年間頑固なまでに初志を貫き、静かに何もせず様子を見ていたという様相の野帳ですが、SNSによってユーザーが一気に広がったことで、その展開に変化が訪れます。
「ようやく、野帳をコクヨの定番として広げていこうという動きがありました。これまでは、この事務的で“おじさんっぽい”感じの表紙こそが野帳のアイデンティティであり、見た目の変化をさせたくないという頑固な考えがあったのですが、還暦を迎えて考えた方もやや柔軟になり、ちょっとカドが取れた感じですね(笑)」(竹本さん)
そのひとつが前出の、60周年を記念し、表紙にポケットを持つ動物(有袋類)をモチーフにした箔押しをあしらった限定品の登場です。また、コクヨのデザイン文具ブランド「トライストラムス」でも、おしゃれなデザインの野帳を発売しています。
知ってた? ジブンヤチョーが作れるってこと
公式では60周年モデル以外に限定版はありませんが、街では見たことのない野帳に遭遇することがあるかもしれません。実はそれ、オリジナルの野帳をカスタムでつくることができる「コクヨ カスタムファクトリー」のオーダーメイド商品かもしれません。
「会社や団体、個人も記念品やノベルティーとしてオーダーできます。私たちが見たこともない野帳をSNSなどで見つけると、うれしいですね」(竹本さん)
オーダーは100冊からで、定番の測量野帳と同じ表紙クロス+箔押し加工タイプで、オリジナルデザインに対応しています。
測量野帳の“セカンドキャリア”はどうなる?
誕生60周年をきっかけに、さらに人気が上昇している野帳。開発部署では今後の展開をどのように考えているのでしょうか?
「60周年記念として、野帳用ブックバンドや、野帳の罫線に合わせて数字やアイコンを簡単に描けるテンプレートなどグッズも販売しました。限定販売でしたが、みなさんの評判がよかったので、ほかにも広げていける可能性はあると思います」(竹本さん)
また、野帳自体の新しい広がりを提案することも重要だといいます。
「フリーアドレスやリモートワーク、ノマドなど、仕事のスタイルが変化したことで、ノートもより薄く、軽く、持ち運びやすくなるものが選ばれると感じています。胸ポケットに入るというのは普遍的なサイズであり、耐久性を含め野帳の強みが、これからの時代にもそのまま活かされるので、ビジネスシーンでも使っていただける商品になるよう、商品の提案を続けていきたいと思います」(竹本さん)
また、今年の2月には、定番の新たな枝葉として、旅行に連れていく野帳「旅する野帳」も発売されます。
「Wi-Fiが使えない場所や、スマホの充電が切れても見られる紙の地図が欲しいとか、旅のチケットを貼りたい、というような使い方をしているヤチョラーの方からヒントをもらったのが、『旅する野帳』です。「旅する野帳」は専用のシールやふせんを使い、旅を始める前の“旅のしおり”から作れるものです。測量野帳を旅行に使っている方もいらっしゃいますが、旅専用にすることでもっと使いやすくなっているんですよ」(竹本さん)
測量野帳<旅する野帳>
380円(税別)
旅専用の測量野帳。表紙には「TRIP BOOK」と印字されている。中ページは、字もイラストも描きやすく、スクラップも自在なドット方眼罫。
レトロブング 野帳柄 ポチ袋/ミニ紙袋
250円/480円(税別)
創業から100年を超えるコクヨの歴代定番商品をミニ文具にアレンジしたシリーズにも、野帳バージョンが登場。写真のポチ袋やミニ紙袋のほか、付箋(400円)など、すべて手乗りサイズのかわいらしさ。
すでに人気の野帳ですが、まだまだ伸びしろは無限! 新商品とともに、ヤチョラーデビューをしてみてはいかがでしょうか?
取材・文ー=安藤政弘、@Living編集部 撮影=我妻慶一 写真提供=コクヨ