大手筆記具メーカーの三菱鉛筆が、2021年にオンデマンド型のオンラインレッスン配信サービスの提供をスタート。サイトで好きな講座を選んで決済すると、必要な道具がまとまったキットが自宅のポストに届き、それを使って動画を視聴しながらレッスンを楽しむというものです。レタリングやチョークアート、デッサン、ドットアート、さらには刺繍などさまざまですが、どれもプロを目指して絵を学ぶというより、巣ごもり生活でできた暇な時間に趣味としてはじめてみたい、という人向けだそう。
どういったサービスなのか、実際に“受講”を楽しみながらレポートしていきます。
“書く・描く”を自宅で楽しめるオンラインレッスン「Lakit」
「Lakit(ラキット)」は、「クリエイティブを楽しむためのキット付きオンラインレッスン」がコンセプト。そのレッスン内容は、「書く・描く」を中心とした1レッスン完結型のもの。講師はSNSを中心に人気を集めるクリエイターが務めています。
レッスンで使用する道具は、各レッスンの講師が選定済み。道具選びに悩むことなく始められるうえ、希望者にはレッスンに使用する道具をキットとして自宅まで配送してくれるサービスもあるので、街に道具を買いに行く手間も省けるのは魅力的です。
「書く・描く」ことが好きな人、そのものを楽しみながら受講できることに重きをおいた、1レッスンで完結する作りになっています。
では、さっそく実践してみましょう。
手帳を華やかに! イラストレッスン受講レポ
「Lakit」のレッスンラインナップの中から、今回は書籍、広告などのイラストを制作するほか、イラスト講師としても活動をするイラストレーターのカモさんによる『毎日の予定が楽しくなる! 手帳イラストのいろいろ』を受講してみることにします。実際のレッスンを写真で追っていきます。
1. 郵便ポストに届く
「Lakit」のレッスンを購入後、レッスン動画はすぐに視聴できるように。キット付きレッスンを受講の場合は、通常は購入後翌営業日にキットが発送され、その後、営業日基準2〜4日でポストに投函されます。
2. レッスンに必要な道具がまとめて届く
キットを開けてみると、今回のレッスンに使う水性サインペン「EMOTT」と水性サインペン「PURE COLOR」5色、練習用の文庫サイズのノートがセットに。これらの道具は、講師を務めるカモさんが裏移りのしにくさや、描き心地にこだわってセレクトしたもの。手帳への描きやすさや、レッスン後の持ち運びなども考慮されています。
3. PCやスマホで好きな時間に動画を再生
キットが到着したら、「Lakit」の会員ページにログインしレッスンを受講します。ライブではないため、自分の都合に合わせ、好きなタイミングで受講し、ストップ/リスタートも自在です。
今回のレッスンでは、最初に道具の使い方を習った上で、アイコンと飾りを描く練習を開始。最後には手帳イラストの枠を超えて、ノートの活用方法やメッセージカードの作成などのアレンジ例まで学びました。
まずは、さまざまなシーンで使えるアイコンを描きます。円の書き方、そこへの表情の乗せ方を、ポイントを捉えながら丁寧に教えてくれました。
円の次は、手帳の予定に出てくることが多い天気や予定を表すアイコンを描くのに挑戦。見よう見まねでは難しいマークも、ポイントを抑えながら描くことで、良い感じになります。
描くだけで映える飾りにも挑戦。EMOTTとPURE COLOR、2つのサインペンを適切に使い分けることで、かわいく描けました。
矢印や、吹き出しも我流で書いていた時よりも、心なしかかわいい印象。自分でルールを決めれば、手帳が見やすくなりそうです。
比率を間違えたら、かわいくなりきれない棒人間もこの通り!先生曰く「丸く描くとかわいくなる」とのことでした。
レッスンの最後には、今回練習したアイコンのアレンジ方法や使うシーンを紹介。動画は約60分で終了しました。せっかくなので、習ったアイコンや、文字とイラストを自分の手帳に書いてみたところ、見ているだけで楽しい1ページになりました。
気になる文房具も試せる!? 使う道具もさまざま
今回受講したレッスン以外にも、さまざまなレッスンがあるのが「Lakit」の魅力。それぞれ使う=届く道具も異なり、文房具ファンにはモノ視点での楽しみも!
・デッサン
デッサン講師センザキリョウスケさんによる『鉛筆のいろいろな表現を楽しもう』は、デッサン用の鉛筆の削り方から、球体の書き方を解説してもらった後、身近なモチーフである立体物の描き方が学べる講座。モチーフの色や模様、明るさなどを鉛筆で表現することを学べて、はじめての方はもちろん、経験者も新たな発見が見つかる講座です。
『チョークアートを描いて、ようこそ! の瞬間を飾ろう』は、ぼかしや混色などチョークアート特有の表現を楽しみながら、ウェルカムボードをつくるレッスン。チョークでお花や飾りを描く方法はもちろん、筆記体を描くコツや図案をトレースする方法など準備段階から習えるので初心者の方も無理なく楽しめる内容です。
キットには、チョークパステルや、ブラックボードポスカに加え、講師の若井美鈴さんが今回のレッスンのために作った図案シートも。マネして描けるので、初心者の人でも安心して楽しめます。
・水彩画
美術家・大谷尚哉さんによる『三色の絵の具で広がる、美しい空の水彩画』は、水彩絵の具の3色だけで空の表情を表現する方法が学べる講座。空の鮮やかさを表現する方法や、雲の描き方を学べます。
水彩画というと、なんとなくハードルを高く感じてしまいがちですが使用する道具は至ってシンプル。コンパクトで場所をとらないというのも講師のこだわりです。
絵やコラージュの表現を通して、いろいろなかたちを何かに例える『見立てアート』は、大人だけでなく、想像力豊かなお子さんと一緒に楽しむのにもおすすめな講座。カラーペンで描いた図が何に見えるかを想像し作り上げていきます。
キットは、色画用紙やはがきサイズのカード、イラストボード、色鉛筆などの豪華セット。たくさんの道具を使って、いろんな色や形を楽しめます。
ほかにもこんなレッスンを体験できる!
さらに身近なツールで、ちょっと変わった趣向のイラストを学び、楽しめる講座もいろいろと用意されています。
・にほんごハンドレタリング
『エレガント文字で大切な人に言葉を贈ろう』は、雑貨デザイナーであり、ゆる文字プランナーの宇田川一美さんから、にほんごハンドレタリングを学べる講座。普段、書く文字とは一味違う文字は、品があり華やかなため、大切な人へお祝いやお礼を伝えるシーンで活躍すること間違いなし。流れるようなラインとループを練習し、エレガント文字をマスターできます。
・パンイラスト
フードイラストレーター・まるやまひとみさんによる「パンを描いて、おいしいを記録しよう」は、色鉛筆などを使って、おいしいパンの描き方を学べる講座。パンの描き方だけでなく、焼き色、光沢感・立体感の表現方法まで丁寧に教えてくれます。パンの焦げまで表現!
・ステンドグラス風マンダラ
「ステンドグラス風マンダラで、こころ落ち着くひとときを」小さな丸い紙に色鮮やかなマンダラを描くレッスン。ステンドグラスのような美しい作品は、ゆっくり丁寧に模様を描くので、心が落ち着くひとときが過ごせるのも特長です。
・人生の物語
「描き出して考えよう!人生の物語と今の自分」は、自分の人生を物語にたとえて、扉絵をデザインするように今の状態を可視化できるというもの。色鉛筆と、A5サイズの紙という身近なツールで楽しめます。作品を完成させる楽しさだけでなく、普段意識していなかった内面に気づいたり、挑戦したいことが見つかったりするのも、この講座のポイントです。自分の人生に向き合うきっかけにもなりそうです。
気軽に自分のペースで楽しめる! 実感した5つのメリット
今回、「Lakit」のレッスンを受講して気づいたメリットは、大きく分けて5つあります。
1. 道具をそろえる手間がない
「やってみたい!」とは思うものの、近所に買いに行ける場所がなかったり、何か一つだけ道具が見つからないと「やっぱりいいや」と思ってしまうもの。『Lakit』の場合は、講座を購入時に使用する道具が一式送られてくるキット付きレッスンがあるので、その心配がありません。
また、家にあるもので賄える方や、気軽に手に入れる手段がある方は、レッスンのみを購入することもできるので、不必要に家に物があるという状況を防ぐこともできます。
2. 使ったことのなかった文房具を試せる
気になる文房具を試すきっかけになるとのメリットもあります。レッスンの中で、クリエイターがおすすめする使用方法で楽しめるので、「どういう使い心地かがわからない」「買ったけど、使わなかったらどうしよう」という人にもおすすめです。
3. 好きな時間に好きなだけ楽しめる
オンラインで受けられるということもあり、時間や場所を問わずに学べるのは、普段なにかと忙しい現代人にとって魅力的。さらに、一度買った講座には視聴期限がなく、何度も見ることができるため、繰り返したり、一時停止しながら自分のペースで心ゆくまで学べるのもうれしいポイントです。
4. いろいろなジャンル、クリエイターを試せる
講座のジャンルが豊富なだけでなく、それぞれの講座を担当するクリエイターが、その道のプロなのも特長です。習いたい内容から選ぶだけのはもちろん、かねてからファンだったクリエイターの講座を申し込み制限などなく選ぶのもよいでしょう。
5. 普段の暮らしのなかで活かせる
多くのレッスンの場合、講座の最後には受講した内容の応用例や、活用シーンを紹介してくれます。習ったことを日常生活の中で実践すれば、いつもよりもちょっぴり楽しい毎日になりそうです。
「何か趣味がほしい」「新しいことを始めたい」「でも、忙しい」という人は、おうちで過ごす時間が多い今こそチャンス。このLakitをはじめ、最近はたくさんのオンライン講座が登場しています。気になるレッスンとちょっとした時間があれば、試しにいろいろと受講してみてはいかがでしょうか。
取材・文=於 ありさ 撮影=真名子