ここ数年のキャンプブームは、すでにブームの域を超え、完全にライフスタイルのひとつとして定着したといえます。ソロキャンパーが増え、真冬さえもキャンプシーズンと認識されるようになってきていますが、やはり多くの人にとっては、気候の良い季節に手ぶらでグランピングを楽しんだり、オートキャンプをグループでワイワイ楽しんだりするスタイルが定番ではないでしょうか。
そんななかで、テントを張るのが大変、地面に寝るのに抵抗がある、防犯が気になる、というビギナーやライトユーザーに提案したいのが、昨今注目されている「カーサイドタープ」や「カーサイドテント」「リアゲートテント」。スライド式ドアを装備したクルマのサイドや、SUVなどのリアハッチをオープンにした後部に、専用テントを接続して、自然を“土間”感覚でより気軽に楽しむスタイル。夜はクルマのフラットシートで寝れば寝心地も快適です。
昨年末にコールマンが新発売するなど、メジャーブランドからも登場しはじめた最新の流れを押さえつつ、どういったモデルがおすすめか、どのように使い、さらになにを組み合わせキャンプとして楽しめばいいのか、などを解説します。
10のステップで簡単にリビングスペースが作れる
カーサイドタープの張り方
使用したのは、ogawaの人気モデル「カーサイドタープAL-II」(2万6400円・税込)。総重量(付属品除く)約2.0kg、収納サイズは58×13×13cm、車高170〜200cm程度の車両に適しており、今回はスバルのフォレスターで試してみました。
内容は幕本体、ポール×2、タープ用吸盤×2、アンカーバッグ×2、ピン、収納袋という構成。クルマから降ろすとさっそく組み立て。所要時間は初回で10分、慣れれば5分くらいという手軽さです。
1.まずは幕を広げてスペース確保。天地や裏表もあるので、しっかりと確認しましょう。
2.続いて2本のポールを穴に差し込み、一直線に。サクサク作業をこなします。
3.つなげたポールを幕に通していきます。「カーサイドタープAL-II」の場合、2本がクロスするように通すことでタープの形状が保たれます。
4.通し終わったら、地面に接する足の部分にピンを差し込んで固定。
5.幕についているフックをポールに引っ掛ければ、ほぼ完了!
6.これでカーサイドタープの幕部分は出来上がり。あとはクルマとの連結です。
7.付属品の吸盤を取り出し、カーサイドタープに取り付けます。が、その前に設置場所を決めましょう。
8.吸盤はふたつなので、クルマの水平な場所を選び、そこに近いカーサイドタープのループへ固定。ペタッと貼り付け、ネジを回せばOK。
9.特に風の強い日は、必ず両足をペグダウンしておきましょう。周囲で焚き火をする際は、倒れると大変危険です。
10.以上で「カーサイドタープAL-II」の設置は完了。
日除けとしても活躍する、簡単なプライベートスペースが出来上がりました。さて、ここから何をして過ごせばいいのでしょうか?
カーサイドタープをたてたらリビングを作ろう!
とにかく手軽にアウトドアでゆったりできるのがカーサイドタープの魅力。クルマがあれば、どこでもリビングが作れます。そこで最低限、持っていきたいアイテムとして挙げるとすると「チェア」「テーブル」「グランドシート」でしょう。
チェアとテーブルを広げれば、自然のフィールドがそのまま土間として楽しめるし、グランドシートを敷けばお座敷スタイルも可能。急な天候の崩れでも多少は保ちます。テーブルを置いたら食事をするもよし、コーヒーを淹れるもよし、なんなら仕事をしてもいいかもしません。
空いた時間でサッとお出かけして、息抜きをして帰る。カーサイドタープがあれば、デイキャンプと呼ばれるライトなアウトドアの過ごし方ができるわけです。ただグランドシートでお座敷スタイルをするときは地面に注意。砂利が多い場所では、お尻や足裏が痛くなります。直に座る場合はクッションなども持っていくとベターでしょう。
もっと快適に過ごしたいならガジェット類を持ち込んで
さて、せっかく作ったリビングスペースをもっと活用したいなら、最近はガジェット類が充実しているのでオススメです。特に近年、ポータブル電源が大容量化したことで、かなりの家電製品をアウトドアで使えるようになりました。
「キャンプに来てまで家電を使うなんて邪道じゃない?」という声もときどき聞こえますが、それこそカーサイドタープで数時間を過ごすだけなら便利であるにこしたことはありません。ワーケーション用のノートパソコン、暑い時期ならポータブル扇風機、周囲に迷惑がかからないならスピーカーなどもいいでしょう。
またサイズ感さえ合えばソロテントをカンガルースタイルすることでソロキャンプもできたり、車中泊と組み合わせたりといったことも可能。自分のスタイルに合った自由な時間の使い方を考えてみてください。
ちなみに「カーサイドタープAL-II」は天井にカラビナなどを吊り下げられるループがあり、ここにLEDライトをつければ暗くなっても安心です。
つまりカーサイドタープがあると何が便利?
ここまでがカーサイドタープのたて方、使い方になりますが、そのメリットを振り返りましょう。
・クルマが停められてスペースが確保できれば、自由にリビングスペースを作れる
・本格的なテントより圧倒的に軽く、設営・撤収スピードが早い
・ソロキャンプにも適している
・荷物が少なくても楽しめるので気軽にアウトドアへ行ける
メリットがたくさんあるカーサイドタープ、とはいえデメリットをひとつ挙げるとすれば、設置後はクルマが動かせなくなること。ただ、それも種類によっては取り外しが簡単なタイプであれば問題ありません。
種類別のカーサイドタープ&テント 3選
カーサイドタープを選ぶときは開放型か密閉型か、また自分の車種に合っているか、などをしっかりと事前に調べる必要があります。どれも一長一短あり、用途によってもスタイルは変化します。ここでは特徴別に3つのカーサイドタープ(テント)をセレクトしたので、参考にしてみてください。
・本当に簡単! 開放感もあってエントリーにぴったり
ロゴス
neos Link Panel・PLR(142×200cm)
6210円
パネルを車体と連結し、ポールを立てるだけで完成するお手軽なタープ。別売りのPLR対応テントと組み合わせるとキャノピーとしても使えるなど、汎用性が高いのも魅力。開放性が高く、とにかくライトにアウトドアを始めるならおすすめのアイテムです。
・そのまま宿泊もできるファミリー向け
コールマン
カーサイドテント/3025
4万7900円
インナーテント付きで宿泊も可能な「カーサイドテント」。3面がメッシュになっており、オープンクローズドも自由自在。本体サイズは約330 x 325 x 210cmとかなり広々使えるためファミリーで宿泊用に、またもしものときの防災用としてトランクに積んでおいてもいいでしょう。
・リアゲートを利用したプライベート空間も作れる
MOGICS
CARSULE(カースル)
5万3200円
大きなメッシュの窓と、ポップなデザインが目を引くリアゲート用のキューブ型テント。その形状からデッドスペースが少なく、とても快適。車中泊、オートキャンプ、着替えのスペースなど、自由自在にアウトドアを楽しめます。
文=三宅 隆 撮影=泉山美代子