形状はガンタイプで速乾性が重視され、ハイエンドモデルにはヘアケア機能を付加……ドライヤーはそんな近年のスタンダードから、さらに次のステップへ進みつつあります。今回は、家電大賞を主催する雑誌『GetNavi』の家電担当で副編集長の青木宏彰さんに、ドライヤーの最新トレンドと注目モデルを解説していただきました。
速乾、美髪だけじゃない!
ドライヤーの最新トレンド
2016年に発売された「Dyson Supersonic ヘアドライヤー」の、吹き出し口が空洞になったデザインはセンセーショナルでした。また、高速かつ狙いを定めやすい風と過度の熱ダメージから髪を守る設計も話題に。速乾かつ美髪効果のあるドライヤーは、新たなスタンダードとなりました。速乾性を追求し続けてきたかつてのドライヤーを第1世代とするなら、ヘッドが空洞のダイソンや美髪機能を強化したパナソニックに代表されるドライヤーは第2世代。
そこへ今、第3世代ともいうべきエポックなモデルが次々と生まれているといいます。
「最近のドライヤーのデザインや機能は、ジェンダーや年齢に関係なく使用できる点が重視されている」と、青木さん。
「色使いや重量、フォルムなど、より幅広いユーザーに親しまれるようになりました。そのなかで注目されているのが、cado(カドー)の『baton(バトン)』に代表されるスティック型のドライヤーです。実際に使用しましたが、軽いうえにこの形ならではの扱いやすさが大きな特徴で、価格も比較的手頃なため、非常にユーザーのニーズに合った商品であると感じました。スリムなフォルムは場所を取らず、コンパクトに収納しやすいといった点もポイントですね。ミニマムになりながらも風量や乾かす速さを犠牲にしていないのが、時代を牽引するドライヤーの実力といえます」(GetNavi副編集長・青木宏彰さん、以下同)
ドライヤー選びで押さえるべき
3つの“レス”トレンド
続いて、今からドライヤーを購入するときに押さえておきたいポイントを青木さんに聞きました。
1.【ダメージ・レス】髪へダメージを与えにくいこと
「速乾や美髪効果のあるドライヤーは、値段の高いものというイメージがあると思いますが、最近は変わりつつあります。2005年に美髪効果を謳ったドライヤーの先駆けとして、パナソニックの『ナノケア』が登場し、美髪効果はスタンダードになりました。そして2019年に登場したのが、『Dyson Supersonic lonicヘアードライヤー』です。マイナスイオンを放出して静電気を抑制して髪の広がりを抑えるだけでなく、パワフルな風量で髪を早く乾かすという点からも過度な熱によるダメージを防ぎます。まさに速乾と美髪の両方を叶えた夢のドライヤーであったわけです。そこから、速乾と美髪はドライヤーのスタンダードとなっていきました。
髪へのダメージを軽減するうえでも速乾は美髪機能と並んでマストです。新たにドライヤーを購入する上でも、押さえたいポイントですね」
2.【ウェイト・レス】持ちやすく操作しやすいこと
「スティック型ドライヤーの持ちやすさはいうまでもありませんが、スティック型でなくても風の吹き出し口にあたるノーズ(鼻)部分をなくすことで軽量化されていたり、グリップ形状で握りやすくなっていたりと、持ちやすさの工夫も重視したいポイントです。
操作性の高さで言えば、ハンズフリーのドライヤーは便利ですね。何かをしながら髪を乾かせるのは、時短の意味でも魅力です。両手がフリーになるので、両手で髪をとかしたりケア剤をつけたり、メイクしたり……。お子さんやペットがいる家庭ではより重宝するのではないでしょうか」
3.【ジェンダー・レス】インテリアに溶け込むデザインであること
「以前はボディカラーもピンクなど、女性向けの商品が多くありました。最近は男女問わず使用できるようなカラバリやデザインが増えてきて、美容家電は女性だけのものではなくなってきましたね。パートナーと一緒に使えるジェンダーレスなデザインのものや、おしゃれなスキンケアアイテムと一緒に並べても違和感のない、シンプルで洗練されたデザインのものは、誰もが心地よく使えるのがいいですね。
最近は機能性とインテリア性を兼ね備えた商品がスタンダードになっているので、ドライヤーを置くスペースをイメージしながら最もマッチするものを選ぶといいと思います」
家電のプロがオススメする最新ドライヤー 7選
以上のポイントをふまえて、いま選ぶべき最新ドライヤーを7点、リストアップしていただきました。
1.毛髪美容に徹して20年。マイナスイオン発生で“サロン級”のうるおい
パナソニック「ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0J」
3万1680円(税込)
美髪ドライヤーの代名詞、パナソニック「ヘアードライヤーナノケア」の最新モデル。水分発生量が大幅にアップした“高浸透ナノイー”がキューティクルのわずかなすき間に浸透し、毛先までうるおいを与えます。また、強弱差のある風を生み出す速乾ノズルを内蔵し、ぬれた毛束をほぐしやすくスピーディに乾かします。仕上げのツヤ出しには「温冷リズムモード」、約60 ℃の温風で地肌ケアができる「スカルプモード」など、5モードを搭載。美髪と速乾を同時に叶えます。
「ナノケアシリーズは、毛髪美容をコンセプトに展開。乾かすだけで美髪が叶うヘアドライヤーとして、人気を不動のものにしてきました。うるおいの秘密は、水分発生量が従来の18倍になった“高浸透ナノイー”。乾かすだけで広がりやクセなどを抑え、しっとりまとまりのある髪にするだけでなく、“ミネラルマイナスイオン”搭載で、UVケア効果が期待できたり、ヘアカラーの退色を防いで髪色をキープするという点も驚きです」
【Item Data】
・カラー=ディープネイビー、モイストピンク、ウォームホワイト
・製品重量=約550g
・風量=1.6m3/分(風量【強】の時)
・サイズ=221×148×74mm
2.アイコニックなデザインで「美髪」と「大風量」を叶える
ダイソン「Dyson Supersonic Ionicヘアドライヤー HD08」
4万5760円(税込)
“コアンダ効果”と呼ばれる、高速・高圧の気流が物体の側面に沿って流れる作用を用いて、髪表面の浮き毛を抑え、ツヤのあるなめらか髪に導きます。また、風量も従来の製品と比べ大幅にアップ。数千万ものマイナスイオンを高速の風で髪に届けることで静電気を抑制し、髪の広がりを抑えます。スタイリングに合わせて選べるアタッチメントは5つ。細い髪やデリケートな頭皮にやさしい設計で、高温による髪の色落ちを防ぎます。
「同社の『羽根のない扇風機』でもおなじみの空洞デザインは、男性もドライヤーにこだわりを持つというトレンドをつくりました。軽量でコンパクトなのにパワフルな風速と風量で、髪をすばやく乾かします。もちろん速乾だけでなく、美髪効果も文句なし。また、ドライ・ブロー方法が12通りあって、好みの風速や風温で乾かせるのもいいですね」
【Item Data】
・カラー=ニッケル(ダークブルー)コッパー、ピンカブルーロゼ、ブラックニッケル、アイアンフューシャ、ブルーゴールド、トパーズオレンジ
・製品重量=853.5g
・風量=2.4m3/分
・サイズ=78×245×97mm
3.風量最高レベルなのにお手頃プライス!“モンスター級”の速乾性が強み
MONSTER(モンスター)「ダブルファンドライヤー KHD-W905」
1万3420円(税込)
特許取得のダブルファン構造で、大風量2.2m3/分のパワフルな風で速乾を実現。2つのファンは風を強く押し出す独自形状で、髪をより美しく、やさしく乾燥させます。また、一定の間隔で温風と冷風が切り替わる「温冷自動切替モード」搭載で、過乾燥による熱ダメージから髪を守り、髪のまとまりとツヤ感がアップします。マイナスイオン発生部は5か所。マイナスイオンを髪全体に行き渡らせます。
「この商品の最大のポイントは、やはり風量です。窓から見えるように搭載された2つのファンによって、風量はトップクラス。また、風量だけでなく、髪と頭皮のことを考えた機能も満載なので、美しく乾かすことも同時に叶えてくれます。手に取りやすい価格で、手軽に速乾と美髪を実感できるのが魅力です」
【Item Data】
・カラー=レッド、ブラック
・製品重量=約680g(集風器付)
・風量=2.2m3/分
・サイズ=約253×95×280mm(集風器付、使用時)
4.これがドライヤー!? 使う人を選ばず扱いやすい驚きのスティック型
cado(カドー)「スティック型ヘアドライヤー baton(バトン) BD-S1」
2万9920円(税込)
「空気をデザインする」をコンセプトとする同社が、5年以上の歳月を費やして開発したドライヤー。「ゼロ・グラビティ」を目指して軽量化したボディは、腕をあげたまま使っていても疲れにくく、快適なヘアドライを叶えます。徹底的に無駄を省くことで約298gの軽さまで絞り込んだボディは、その名の通りリレー競技用バトンから着想を得たそう。独自のスティック形状で、頭頂部から毛先まで効率的に風を届けます。温度調節は4段階。最高温度は85℃に設定することで、髪へのダメージと過乾燥を防ぎます。
「アルミ合金のボディは手になじみやすく、見た目も機能性も秀逸です。スティック型なので、乾かしたい部分に吹き出し口を当てやすいですし、軽いので乾かすのが本当にラク! 毎日使うものだからこそ、この操作性の高さはうれしいですね。シンプルで場所を取らないので、狭い洗面所でも使いやすいです」
【Item Data】
・カラー=シルバー、ホワイト
・製品重量=約298g(電源コード、カールブラシを除く)
・風量=約2.0m3/分
・サイズ=約277×約385mm
5.圧倒的操作性、業界随一の軽量性ながらパワフルでストレスフリー
A-Stage「Re・De(リデ)Hairdry DR01A」
2万9700円(税込)
たった255gという軽量でスリムな本体形状ながら、優れた速乾性の高さをキープ。大風速で広範囲の風の流れを作り、スリムな筒型と独自のノズル形状で風を髪の根元まですばやく届けます。このため、熱負担を最低限にしながら、髪を傷めずスピーディーに乾かすことが可能に。マイナスイオン搭載で、静電気を抑えながら髪の潤いをキープ。季節や年齢に合わせて最適な風を送れる5つのモードで、健康的な髪と頭皮に導きます。
「無駄のない、スリムなボディは、りんごひとつ分とほぼ同じという、業界トップクラスの軽さです。それなのに大風速なので、手元にかかる負担を最小限に抑えながら、ラクに髪を乾かせます。2つに折りたたむことができるので、付属のトラベルポーチに入れて、旅行やジムにも持って行ける点もいいですね。また、付属のスタンドを使用すれば、ハンズフリーで髪を乾かすこともできます」
【Item Data】
・カラー=ホワイト、ブラック、ヒュッゲグレー
・製品重量=約255g (ノズル・ケーブル含まず)
・風量=3.6m3/分
・サイズ=38×185×170mm
6.ドライヤーが美顔器に!? 温感リフトと頭皮スパでおうちエステも
ヤーマン「リフトドライヤー HC-20」
5万5000円 (税込)
「FACEモード」「SCALPモード」「HAIRモード」の3種類のモードを兼ね備えた多機能ドライヤー。FACEモードは表情筋を約39℃で温めながら、毎分約6000回の音波タッピングで刺激。肌の保湿をサポートしながらリフトケアします。SCALPモードは根元を乾かしながら、硬くなりがちな頭皮を柔らかく整えます。HAIRモードは約60℃と低温速乾で髪の根元から乾かし、立ち上がりのある仕上がりに。また、従来品よりも約30%乾燥時間が短縮され、髪を乾燥から守ります。
「頭周りのトータルケアで、美髪だけでなく美肌も叶えるドライヤーです。ドライヤーに美顔器機能を搭載する発想は、40年以上、肌と向き合い続けてきた美顔器メーカーならでは。忙しい日々の中、スキンケアやリフトケアをする時間まで手が回らない方でも、速乾ドライで髪を素早く乾かして浮いた時間を肌・頭皮ケアに充てられそうです」
【Item Data】
・カラー=ゴールド、ホワイト、グレー
・製品重量=約414g(本体・電源コード含まず)
・風量=2.2m3/分
・サイズ=約58×201×183mm
7.サロンでの使用率約70%! プロの仕上がりを自宅でも
Nobby by TESCOM「プロフェッショナル プロテクトイオン ヘアードライヤー NIB500A」
2万4200円(税込)
Nobby by TESCOMは、サロンシェアNo.1(※2022年2-3月株式会社セイファースト調べ)のプロ用ブランド Nobby をベースに、プロのテクニックを自分で再現しやすい機能・デザインを採用したヘアケア家電ブランド。プロフェッショナル プロテクトイオン ヘアードライヤー NIB500Aは、プロ用のヘアードライヤーと同じ モーターと遠心ファンを採用。プロ仕様のパワフルな速乾力で、地肌から素早く乾かし、サロンのような仕上がりの美しい髪へと導きます。
「サロンで使用されている業務用のものを市販にというトレンドを作ったのが、この商品です。サロンでの使用率70%(※2022年2-3月株式会社セイファースト調べ)というNobbyを一般向けにしているので、信頼性はお墨付き。温風と冷風の自動切り替えで、髪のツヤを出すなど、簡単にサロンクオリティを再現する機能付きがいいですね。付属のスタンドを使えば、両手で快適に乾かすことができます」
【Item Data】
・カラー=ホワイトアッシュ、スモーキーグレー、ブラック
・製品重量=620g(本体のみ)
・サイズ=226×245×81mm(本体のみ)
Profile
家電コーディネーター / 青木宏彰
モノトレンド情報誌『GetNavi』の副編集長で制作編集長を務める。生活家電全般を担当し、調理系から掃除機、空調アイテムまで幅広いジャンルの家電製品を、機能とデザインの両面からレビュー。「家電コーディネーター Basic」の資格も保持し市場動向にも詳しい。
GetNavi
取材・文=田中敦也 編集協力=Neem Tree