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Proなのに薄くて軽い…だけじゃない凄さを徹底解説。話題の新「iPad Pro」と
最新iPadOS 17を使いこなす方法

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2024年5月、Appleから新たなiPad Proが発売されました。「史上最高に薄いモデル」というインパクトのあるキャッチコピーで、多くの人が注目。ハイスペックであると同時に、高価格でもあるので、せっかく手にするなら機能を最大限に活用したいところです。

新しいiPad Proの特徴や活用法、さらにフル活用する上で欠かせないアプリを、執筆からイラスト制作、動画編集など、多岐にわたるクリエイティブな仕事をiPadでこなす「iPad Worker」の五藤晴菜さんに教えていただきました。

ハード面もソフト面も強力アップデート!
新しいiPad Proのポイント

Apple公式のニュースリリースでは「史上最大のアップデート」と謳われた新しいiPad Pro。11インチと13インチの2サイズが展開されており、従来のiPad Proと比べて最も薄く軽いデバイスであることM4チップにより処理効率が向上したことが今回のアップデートの目玉となっています。加えて、iPad Proに搭載されているiPadOS 17や、豊富なアプリが使用可能であるなど、機能面の向上も強みとして打ち出されています。

このように、さまざまな方向から性能・機能強化が行われたiPad Proですが、実際に使用しているユーザーの感想も気になります。そこで五藤さんからは、主に4つのポイントにフォーカスを当てて、iPad Proの特長を教えていただきました。

・薄くて軽いデバイス

「今回のアップデートでとにかく印象的だったのが、持った瞬間から分かるくらい薄くて軽かったところです。とくに13インチモデル(Wi-Fiモデル)は重量579g、厚さが5.1mmと、一世代前のモデルに比べて約100gの軽量化、1.3mmの薄型化が実現しています。
13インチモデルだとA4サイズのノートくらいの大きさになるので、外に持ち運ぶときには大きなバッグが必要ですが、家の中で使用する分には気にならないサイズ感です」(iPad Worker・五藤 晴菜さん、以下同)

・パワフルなデータ処理を支えるM4チップ

デバイスの軽量化・薄型化に寄与しているのが、今回のiPad Proで新たに搭載されたM4チップの存在です。3ナノメートルテクノロジーという技術で設計された超小型チップにより、デバイスの 軽量化・薄型化を叶えながら、高負荷のデータ処理にもパワフルに対応できるようになったそう。

「動画や書籍などのコンテンツももちろん快適に楽しめますが、M4チップの真価が発揮されるのは容量の大きいデータを取り扱うときです。とくに『iPad Proでイラストを描く』『動画を編集する』『たくさんの画像を用いて資料を制作する』といったクリエイティブな作業を行う場合の処理速度は、従来よりも向上している印象です」

・高解像度ディスプレイによる色鮮やかなグラフィック

「実際に操作してもう一つ印象的だったのが、画面がとても明るくきれいに見えるようになったところです。今回のiPad Proでは、バックライトがなくても自己発光するOLED(有機EL)パネルを2つ重ね合わせたディスプレイが採用されています。これにより、グラフィックが明るく映るだけでなく、一つひとつの色合いのコントラストがくっきりと映し出されます。映画で画面全体が暗くなるようなシーンでもくっきりとグラフィックが描写されて迫力ある映像が楽しめますよ」

写真提供=Apple

・iPadOS 17で機能面も向上

今回のiPad Proに搭載されているOSは、2023年9月にリリースされたiPadOS 17です。 ホーム画面やロック画面など、ユーザー個人が便利にカスタマイズできることが多くなり、快適な操作ができるそう。

なかでも五藤さんが便利だと感じた機能は「インタラクティブウィジェット」。五藤さんは普段それらの機能をどのように活用されているのでしょうか?

「インタラクティブウィジェットとは、ホーム画面やロック画面のままアプリを操作できる機能です

ロック画面の左端にあるのがインタラクティブウィジェット。この画面のままアプリの機能が操作できる。写真提供=Apple

「私はタイマーアプリをインタラクティブウィジェットで設定しています。アプリを開かなくても、ロック画面の状態のままタイマーのオンオフができるため、とても便利に使っています。インタラクティブウィジェットに対応したアプリをインストールすれば、画面上に配置するウィジェットを自分好みにカスタマイズできます」

なお、iPad OSは今のところ、偶数の代で大幅なアップデートが加わる傾向にあるそう。2024年秋頃にリリースされる予定のiPadOS 18では、主にオプションアイテムであるApple Pencilを用いた機能のアップデートが行われることが予告されており、ますます目が離せません。

iPad Proをフル活用するための注意点

ハイスペックかつ利便性に富んだデバイスである一方で、やはり高価格であることは無視できません。サイズやストレージ容量、オプションアイテムの有無などにもよりますが、Appleの公式オンラインショップでの購入価格は16万8800円~46万4600円(税込)と、お手頃とは言えない価格帯です。

せっかく購入したのに使いこなせなかったということにならないよう、iPadの特性を理解しておくことが大切です。

「iPad Proは手書きや手描きのアプリが豊富にあり、そうした操作に特化した性能を持っています。そのため、仕事でもプライベートでも日常的にノート類に文章を書いたり、絵を描いたりする活動をしていて、作業をデジタルに置き換えたいと考えている方だと、iPad Proの機能やアプリをフルに活用できると思います。
一方で、パソコンと同じように使いたいと考えているなら注意が必要です。パソコンソフトと互換性があるアプリでも同じ機能が使用できるとは限りません。iPad Proを購入する前に、自分はiPad Proをどういう用途で使いたいのか、使用したい機能やアプリはあるかなどを、事前に確認しておくことをおすすめします」

加えて、上記のような機能やアプリを使いこなすうえで、ぜひセットで購入してほしいアイテムがあるとか。

「手書きの作業をiPad Proで行うために、Apple Pencil Proはマストで購入したいアイテムです」

写真提供=Apple

「Apple Pencil ProはこれまでのAppleペンシルにはない機能も搭載されています。たとえば、ペンを強く握るとメニューやツールが開く『スクイーズ』ペンで何かしらのアクションを起こすと軽く振動して反応する『触感フィードバック』などの機能で、直感的なペン操作をサポートしてくれます。
ちなみに、ディスプレイはつるつるとしているので、ペン先が滑って書き心地が良くないかもしれません。amazonなどのネットストアで購入できるペーパーライクフィルムなどで着脱可能なフィルムを貼る、Apple Pencil Proのペン先を自分が使いやすいと思うものに交換するといったことをすると、書き心地が改善すると思います」

五藤さんがおすすめするのは透明なペン先。画面との接地面が分かりやすくなるため、Apple Pencilを初めて使う方でも使いやすそう。エレコム株式会社「Apple Pencil 交換ペン先」 オープン(実勢1780円前後・税込)

Apple Pencil Proはオプションアイテムですが、使用することで、iPad Proの機能を十二分に活用できそうです。

iPad Proの機能を最大限に活用!
インストールしたいおすすめアプリ

OSに標準搭載されているアプリは豊富ですが、それ以外にApp Storeでダウンロード可能なアプリの量はなんと100万以上にも上ります。

「かなり昔のiPadだと、iPadでしか使用できないアプリしかなかったので、アプリ数も少なく利便性が悪い印象があったかもしれません。しかし、2019年にiPad OSが誕生 してからというもの、iPadだけでなく、iPhoneやMacと互換性のあるアプリが開発されるようになり、iPadで使用できるアプリが急増しました。今や毎日チェックしても追いつかないほど、新しいアプリが続々とリリースされている状況です」

種類豊富なアプリが揃う中、五藤さんがおすすめするアプリを教えていただきました。

1.便利な機能が満載!OS標準搭載アプリ

・リマインダー

「タスクの処理などを忘れないようにするためのアプリです。私の場合、このアプリの“買い物リスト”という機能を日常的に使用しています。iPhoneとデータを同期できるだけでなく、家族ともデータを共有できます。iPadでリストを作り、外出先ではiPhoneで家族とリストをチェックしながら、過不足なく買い物ができるように活用しています。
なお、買い物リストにはAIにより自動で項目立てをし、自動分類するという機能も付いています。例えば買い物リストをリマインダーで作成する場合、パン・野菜・お肉といったカテゴリを自動で生成したうえで、にんじんとじゃがいもは野菜に自動で振り分けるといったこともしてくれます」

フリーボード

「無限大に広がるホワイトボードのようなアプリです。自分の考えを無限に書き足していくことができます。ワードやエクセル、PDF、画像データの添付も可能ですし、ふせんなどの機能でメモを別枠に貼付することもできます。
私は、セミナーなどで話すことを整理したり、スライドレイアウトのアイデアを作るときに活用しています。イラストを描くこともできるので、何かのデザインをするときのアイデアを書き留めて、制作上の相談などをするときにも使っています」

Apple Pencil Proを用いて手書きをする場合、えんぴつ・水彩・マーカーなど、ブラシのタイプや色もある程度の選択ができる。

2.最初にダウンロードしたい日々の暮らしに役立つアプリ

Bloom Built Inc「Day One Journal: プライベートな日記」※iPhone・iPad・Apple Watchに対応
無料 ※アプリ内課金あり

「こちらは日記アプリです。このアプリ自体は10年くらい前から存在していて、iPad OSの進化とともに機能もアップグレードしています。過去のデータの振り返りが得意なアプリなので、私は子どもの成長日記として活用しています。1年前のこの日は……といった思い出を簡単に振り返ることができますよ。アプリは無料でも使えますが、手書きでメモを付け加えたり、画像を複数枚挿入したりする機能は有料版で使用可能になります」

Time Base Technology Limited「Goodnotes 6」※Mac・iPhone・iPadに対応
無料
 ※アプリ内課金あり

「こちらはノートアプリです。日記という用途だけにとどまらず、手書きで何かをメモしたいときに便利なアプリです。このアプリの最大の特長は、手書きの文字を認識し、テキストデータとして検索できるところ。過去の手書きメモも検索できますよ。OSに標準搭載されているメモアプリでも同じことができるのですが、文字認識の精度はこちらのアプリのほうが格段に優れている印象です」

五藤さんが実際に活用しているGoodnotes 6の画面。現在はベータ版での提供となるが、画像のような形でAIに質問をすると、AIが手書きメモのテキスト検索を行い、回答をするチャット機能もある。五藤さんは家計簿として、過去にメモした支出内容を確認するといった活用をしているそう。写真提供=五藤晴菜さん

OpenAI「ChatGPT」※iPhone・iPadに対応
無料
 ※アプリ内課金あり

「今やビジネスパーソンで知らない人はいない生成AIの代表格・ChatGPTも、iPad Proにはぜひインストールしたいアプリです。単純な調べものだけでなく、文章を執筆したときの校正や、表現方法の候補を提示してもらう、会議の文字おこし、文章の要約、タスクの整理を行うなど、あらゆるシーンで私たちをサポートしてくれます」

「小学生でもわかるように」とユーザーの対象年齢を指定すると、対象年齢別に分かりやすい単語選択を行って出力する。写真提供=五藤晴菜さん

3.クリエイティブに挑戦したい人におすすめのiPad専用の画像・動画制作アプリ

Savage Interactive Pty Ltd「Procreate」※iPad専用
2000円(税込)

「こちらはiPad専用の有料のお絵描きアプリです。プロのイラストレーターも活用しているアプリで、水彩やクレヨンなどのあらゆるブラシが使えるところが特長です。ゼロからイラストを描いてもよいですし、線画を取り込んで塗り絵を楽しむのも良いと思います。Apple Pencil Proがあれば、お子さんでも操作ができるくらい簡単に使えるので、これからイラスト制作を楽しんでみたい方にもおすすめです」

写真提供=Savage Interactive Pty Ltd

Luma Touch LLC「LumaFusion」※iPad・iPhoneに対応
4500円(税込)
 ※アプリ内課金あり

「こちらは動画編集アプリです。有料アプリではありますが、パソコンの動画編集ソフトよりも安いだけでなく、それと同じような機能を持った高性能なアプリです。活用するには基礎知識が必要にはなるものの、チュートリアルやガイドに沿って操作できるため、初めて操作する方にとってもハードルは高くないのではと感じます」

写真提供=Luma Touch LLC

上記以外にも、便利に活用できるアプリはこれからも続々と発表されていくことでしょう。OSのアップデートなどでますます利便性が高まっていくiPad Pro。普段は手書き派でも、これを機に作業をデジタル化したいと思っているなら、手放せないアイテムになるはずです。

Profile

iPad Worker / 五藤 晴菜

執筆、デザイン、イラスト、動画編集など、多岐にわたる仕事をiPadでこなすクリエイター。仕事だけでなく、子育てや生活、学習など、あらゆる場面で役立つiPadの活用アイデアを発信。iPadの魅力をより多くの人に伝えるため、ニュースレターやYouTubeチャンネルの運営、各地でiPadセミナーを開催など、幅広い活動を展開。著書に『はたらくiPad』(インプレス)、『iPadの引き出し』(SBクリエイティブ)など。
HP

取材・文=棚橋千秋(Playce)