松山英樹選手がメジャーで快進撃を続ける、プロゴルフの世界。「私もちょっと始めてみようかな」と、ゴルフに関心を持ち始めた人も多いですよね。練習場やコースに行ってみると、たしかに女性ゴルファーは増えています。とはいえ、まずはどんな道具をそろえるのか、気軽に体験できるところはないか……わからないことだらけでしょう。そこで、これからゴルフを始めたい人に向けて、ゴルフコースデビューするまでの簡単な流れをお教えします。
コスプレ感覚で華やかなゴルフファッションを楽しんで
まずは、女性のためのゴルフファッション誌「Regina」(レジーナ)の編集者である松村佳織さんに、人気の背景とゴルフを楽しむ秘訣を聞きました。
「女性のゴルフブーム、そのきっかけのひとつが、先ごろ引退を表明した宮里藍選手でした。20代になったばかりの“藍ちゃん”の活躍に触発されて、同世代の女性ゴルファーが急増。ゴルフの面白さはもちろんですが、当時はゴルフならではの華やかなファッションも注目を集めました」(松村さん)
ゴルフウエアといえば厳しいドレスコードを思い浮かべますが、松村さんによると、名門といわれる一部のゴルフ場を除いて、最近では比較的制約は少なく自由度も高くなっているとか。そういった、ほかのスポーツに比べて自由におしゃれを楽しめる、という魅力もあります。
「普段の街中では着るのをためらうような華やかな色柄をあしらったアイテムのほうが、コースでは断然映えます。そのため、いわばコスプレ感覚でゴルフファッションを楽しんでいる方も。最近はゴルフウエアのブランドも増えていますが、いつも親しんでいるカジュアルなブランドを取り入れて、自分らしいコーディネートを楽しむこともできます。最近ではミニスカートの方もいれば、今年流行のガウチョパンツをミックスしたスタイルでプレーする方もいますね」(松村さん)
気分のリフレッシュに、人脈の広がりも!
その一方で、ストイックにスコアを追求するプレー重視の女性ゴルファーも目立ってきているそうで、「ブームから10年以上が経ち、スポーツとして完全に定着したんですね。本誌の企画でも、技術上達のための特集が好評です」(松村さん)
また、ファッションを楽しむこと、スコアを伸ばすこと以外にも、ゴルフにはメリットが多いとか。
「最大のメリットは、コミュニケーションの広がりではないでしょうか。会社のコンペなどに出ると1日中一緒にラウンドをしますから、上司や同僚、取引先の方など、それまであまり交流のなかった人とも仲良くなれます。誰でも参加できるオープンコンペなどに出場すれば、さらに人脈も広がっていきますよ。また、ほどよい運動にもなりますし、自然の中に出かけることでリフレッシュ効果も期待できます。ゴルフは年齢に関係なく楽しめるスポーツですから、長くプレーできるのも魅力ですね」(松村さん)
ルーチンワークの繰り返しの毎日にアクセントをつけたい方や、アウトドアで楽しめる新しい刺激を求めている女性にもピッタリです。
松村さんの話を聞いて「すぐにはじめたい!」という女性も多いと思います。しかし、広々としたコースでスカッとするプレーに憧れつつも、いざスタートしようとすると、どこで練習したらいい? どんな道具が必要? そもそもどういうタイミングでゴルフコースに出ればいい? などなど、わからないことだらけ。
そこで、コースデビューするまでの簡単な流れを、ゴルフ用品専門店のヴィクトリアゴルフで教えてもらいました。
1. 練習場でまずは打ってみよう
練習場とは一般に「打ちっぱなし」とも呼ばれる、周囲をネットで囲んだ練習施設のこと。スイングや、クラブにボールを当てる基礎的な練習を行います。入場料とボール代で1回1500円~3000円が目安。クラブはレンタルできますが、グローブだけは事前に用意するといいでしょう。
練習場へいきなりひとりで行くのは、少しハードルが高いかもしれません。いつも練習場に出かけている家族や友人がいれば、一緒に連れていってもらうのも手。ただし、経験者と出かけてアドバイスを受けると、初心者にとっては難易度の高すぎることを教えてくれる可能性も。それが気になる場合は、次項の、基礎から効率よく丁寧に教えてくれるスクールへ早めに通い始めるほうが、上達への近道です。
2. スクールで基礎を身につけよう
スクールではレッスンプロから、フォームのクセや打ち方のコツなど、ゴルフテクの基本をマンツーマンで学ぶことができます。インドアスクールなら都心にも数多くあるので、会社帰りに通うことも可能。プログラムによって予算は異なりますが、90分5000円が目安です。
3. ショートコースへ行ってみよう
4~9ホールのコンパクトなショートコースは、18ホールのゴルフ場にデビューする準備としてぴったり。芝でのプレー感覚やラウンド展開などを体感できるので、いきなりコースへ出ることに不安があればおすすめです。利用料金も、18ホールに比べるとお手頃に設定されています。
4. 道具を揃えよう
いよいよコースデビュー、となれば自分に合ったマイゴルフ道具が必要です。ゴルフクラブや、ゴルシューズ、マメを防ぐためのグローブ、日よけの帽子、ボールは必須。ボールの位置をマークするためのマーカー、打数をカウントするスコアカウンターもあると便利です。ちなみにウエアやシューズから道具までを一式揃えて、総額は約15万円が目安。決して安くはありませんが、いったん揃えてしまえば長く使用できますから、コスパは悪くないといえそうですね。
・ゴルフクラブ
最初に揃えたいのが、もっとも基本となるゴルフクラブ。ゴルフではコースの場所によって用いるクラブが異なります。大きく分けると、以下の4種類。
・一打目に使う飛距離を出すための「ドライバー」
・芝を短く整えたフェアウェイで使用する「フェアウェイウッド」
・芝の伸びたラフなど条件が悪いところでも使える「ユーティリティ」
・狙ったところにボールを運ぶための「アイアン」
また、同じ種類のクラブでも番手によって飛距離が異なる(番手=数字が大きいほど短距離用)ため、フルセットを揃えると全部で10本から14本にもなります。ただ女性ビギナーは番手まで気にすることはなく、7-8本のハーフセットで充分プレーができます。
「1本ずつ買い揃えることもできますが、はじめはハーフセットを買った方がお得です。慣れてきたら必要なクラブを買い足すといいでしょう」と話すのは、ヴィクトリアゴルフ マネージャー兼ゴルフアドバイザーの平澤義道さんです。クラブの選び方のポイントはクラブの振りやすさ。最近のゴルフクラブはデザインや色も豊富ですが、見た目だけで選ぶのは避けたほうがいいと言います。
「店頭には試打クラブがありますので、振りやすさを確認されてから選ぶことをおすすめします。例えば、軽量モデルの方がラクで打ちやすいと思っている方も多いと思いますが、実際に振ってみると重い方が上手く振れ、ボールに当てやすいため、安定したスコアが得られる場合もあります。店頭では、実際に長さの違うクラブを振ってみていただいてアドバイスもさせていただいています」(平澤さん)
キャロウェイ Solaireセット
(右上から、ドライバー、フェアウェイウッド 5W/6H、アイアン 7番/9番、ウェッジ PW/SW、パター)
6万9800円
・グローブ
マメ予防として、グローブは欠かせません。ゆるいとズレてしまうため、ちょっとキツイぐらいがベスト。ふつうは右打ちの場合、左手だけにグローブをつけますが、女性ビギナーは両手につけたほうがショットの際にパワーが出ます。デザインだけではなく、UVカット対応やネイル対応など、機能面でも充実しています。
クランク 両手ナノグローブ
3240円
・ウエア/シューズ
コースではエリ付きシャツが必須。短パンの場合にはハイソックス着用がマナーになっているコースもありますが、それ以外は比較的自由におしゃれを楽しめます。でも、夏のコースはビーチ以上に日焼けをするとも。シャツの下に着用する長袖のインナーもあると重宝します。また、芝の上を歩くコースでは安全面を考慮してもゴルフシューズを用意しましょう。スパイク付き、スパイクレス、どちらでもOK。防水タイプであれば、雨が降っても安心です。
・サングラス/キャップ・サンバイザー
夏の日差しよけとして、サングラスやキャップ・サンバイザーがあると便利。マストではないので、冬にはニット帽をかぶってプレーすることもできます。
・ボール/ティー
慣れないうちは1日に1ダース(12個)以上なくしてしまうことも。コースで使用するボールは持参するのが基本です。
飛距離を稼げるディスタンスタイプ、グリーン上で止まりやすいスピンタイプ、両者のいいとこ取りをしたディスタンス&コントロールタイプに分類されます。女性の間ではカラフルなカラーボールが人気。色だけでなく、絵柄も入った華やかなものが増えています。芝の深いラフに入ると見つけにくいというデメリットはありますが、好きな色柄を選ぶことでモチベーションが高まったり、ほかのプレーヤーのボールと見分けがつきやすくなったりというメリットもあります。
・マーカー
ボールが止まった場所に、目印としてマーキングするアイテム。ゴルフ場でも提供されますが、同じマーカーだとほかのプレーヤーと見分けがつきにくいことから、マイマーカーを持っていく人が増えています。こちらも、女性にうれしいラインストーン入りやキャラクターものがたくさんラインナップ。
5 いよいよコースデビュー!
はじめは会社のコンペに参加したり、ゴルフ経験のある友人と連れていってもらったりするのがベスト。ホールは全18ホールあり、ラウンド時間は約5時間程度です。1ラウンドの料金は5000円~1万円が目安になります。
「コースに出るタイミングは人それぞれですが、いくら練習をしても、コースに出てプレーに慣れないことには距離感もつかめず、上達は難しいと思います。怖がらずにコースに出てしまった方がいいですね。マナーさえ心得ていれば、ビギナーでも周囲は温かい目で見守ってくれますよ。体感で距離感をつかんでしまえば、上達が早いと思います」(松村さん)
Shop Data
ヴィクトリアゴルフ 五反田店
東京都品川区西五反田1-1-8
TEL 03-5435-8790
営業時間 10:30〜20:30
定休日 無休
JR五反田駅のすぐ前にある好立地。2フロア構成で、道具からウエアまでのゴルフ用品が一式揃う専門店で、アイテム数も多くさまざまなブランドを取り扱う。道具選びをアシストしてくれるアドバイザーが常駐しているので、安心して選べる。3階にはレッスンのカリキュラムが選べる「ヴィクトリアゴルフスクール五反田店」も併設。
取材・文=安藤政弘 撮影=真名子