大人になったら、社会のマナーを身につけて、どんな場所でも堂々としていたいものです。ところが、場違いな格好をして、恥ずかしい思いをしていませんか?
「人は見た目が9割」と大ヒット本が教えてくれているように、着ているもので人の印象は大きく変わります。その場にふさわしいスタイリングを心がけるだけで、仕事も、プライベートもグッと上手くいくはず。大人の女性として、TPOをわきまえたファッションマナーを身につけましょう。
そこで、メディアでも大活躍のファッション・プロデューサー/服飾戦略家のしぎはらひろこさんに、プロトコール(国際儀礼:外務省がさだめる儀礼上のルール)も考慮した上での、シチュエーションごとに気をつけたいポイントを教えてもらいました。
お呼ばれやハレの日に着る服の
ルールとマナーを知って、良識ある大人に
シーン1. 彼の実家へ初めて行くとき
【ドレスコード】スマートカジュアル
「彼のご両親や目上の方、親族にお会いするときには、きちんとした“良識のあるお嬢さん”という印象に映るよう、流行に左右されずに個性を主張しすぎない、優しくて上品なものを選びましょう。ウエストをベルトで締めるなど、体のラインが出すぎずに、少しカジュアルさがあるもの、色は明るめのパステル系がいいですね。極端に丈が短いワンピースやタイトスカートは、座ったときに太ももが露出して下品な印象になるのでNGです。
アクセサリーもパールや小さめのプチジュエリーなどで、上品で清楚にしましょう。バッグは小さめのB5サイズくらいのものを選ぶといいですね。
タイツよりもナチュラルストッキングのほうが好感度が高いですが、素足に近い状態でお宅に上がることになるので、カバーソックスを持参するとエレガントに見えます。靴は5cmヒールくらいのプレーンのパンプスが上品です」
ワンピース2万9000円、ネックレス1万3000円、バッグ2万8000円、パンプス2万3000円(23区)
シーン2. ホテルの宴会場で夕方から始まる同窓会へ行くとき
【ドレスコード】セミフォーマル
「ホテルの宴会場は、カクテルドレスに該当する、やや華やかな装いがふさわしい場所です。パーティーシーンでの女性は、会場に花を添える意味があります。つい黒を選んでしまいがちですが、明るい、華やかな色がおすすめです。顔まわりにビーズやラインストーンの飾りがついた華やかなデザインのもの、素材は無地で光沢のある上質なものを選びましょう。
足元は3cm以上のヒールが付いたパンプスにしましょう。“フォーマル”とされる場では、素足はNG。ナチュラルストッキングが基本と覚えておきましょう。
バッグは、ティッシュやハンカチ、必要最低限のものが入るくらいの小ぶりな布製のものにしましょう。フォーマルなシーンでは殺生を連想させる革・爬虫類製品はNGです。
また、ファーのついた服で食事の席に着くのはNGです。フワフワのファーが抜けたり舞ったりして食事に入ってしまうかもしれません。また、洋服の袖がひらひらしたものは、袖が食べ物に触れ、不衛生になるので避けてください」
ワンピース4万2000円、バッグ1万9000円、パンプス2万4000円(グレースコンチネンタル)
シーン3. 会社の忘年会、新年会、慰労会に参加するとき
【ドレスコード】ビジネスアタイヤ
「会社帰りに向かうことになるので、オフィスにも対応できるようなワンピースがいいですね。ジャケットを着る前提のデザインのもので、ウエストに絞りがある、体に沿ったデザインのものを。とはいえビジネスの場ですから、襟ぐりの開きすぎない、肌を露出しすぎないデザインにしてくださいね。ご挨拶やお名刺交換の時に谷間が見えないものが鉄則です。黒のジャケットなどを選びがちですが、宴会場はライティングが暗くて、闇に紛れたようになってしまいます。明るめのグレーやベージュを選ぶのがコツです。
立食の場合は、上半身に華やかなポイントがあしらわれたものを選ぶといいでしょう。お座敷の場合は、座ったときに広げてひざにかける大きめなハンカチと、靴を脱いだときのベージュのストッキングカバーを持っていると上品に見えます。
会社帰りだと、大きなかばんになってしまうと思いますが、クロークなどに預け、会の間は中に忍ばせておいた小ぶりなバッグをかたわらに置きたいものです。
NGなのは、ニットワンピやヒョウ柄、ギラギラ光りすぎるものです。お食事の場では、ニットの毛が飛ぶ可能性があるので避けましょう」
ワンピース 3万4000円、ジャケット2万9000円、ネックレス6万500円(クードシャンス)
シーン4. 女友だちと昼間に高級レストランで食事するとき
【ドレスコード】スマートカジュアル
「食事の席ということを念頭に置いて、デザインを選びます。着席しても地味にならないように、顔まわりを明るく華やかにしましょう。ロングネックレスをつけるなど、ポイントを上半身に持ってくるとよいでしょう。ストンとしたデザインは、おなかが苦しくならないのでおすすめです。袖丈は、汚れがつきにくい七分が一番です。袖が広がったベルスリーブは、ほかの方のお皿を汚してしまうこともあるので避けてくださいね。
昼間なので、肩は出さずに、派手すぎないものを。バッグは小ぶりのもので、座席の後ろ、背もたれと自分の間に置ける大きさのものがスマートです。
食事がメインの場の場合、食べこぼしのシミなどの汚れが目立ちにくい黒や紺などを選びがちですが、暗い印象になってしまうことも。レース素材やジョーゼット、光沢のあるサテンや光を集めるラメ素材で顔まわりを華やかにしましょう。
高級レストランなのでタイツはNGです。ナチュラルストッキングを履いてください」
ワンピース2万5000円、バッグ8900円、パンプス1万9000円、ネックレス5900円(クードシャンス)、パンプス1万9000円(23区)