そろそろ年末の大掃除に取り掛からなければ、という時期になりました。「どうしてウチのリビング&ダイニングは、片付けても片付けても、スッキリが長続きしないんだろう……」と悩んでいる人もいるでしょう。
今回参考にさせていただいた、さいとうきいさん(以下、keyさん)宅は、人気ブログとなった「SMALL SPACES」に登場する59㎡のマンション。間取りはリビング・ダイニングと書斎を兼ねた夫婦のベッドルーム、小さなお子さん用の3畳未満のキッズルームに、家族3人+犬2匹という暮らし。独身のときに3回、結婚してから5回の引越しを経験し、そのほとんどが60㎡未満の小さなおうちばかりを選んで暮らしてきたといいます。
自らを「スモールスペース愛好家」と呼ぶkeyさんにとって、家選びの第一条件は「立地」。その分、広さが限られても、むしろ、スモールスペースを最大限に活用して、スッキリ片づいた暮らしを楽しみたいという考えなのです。
その経験を生かすべく、子どもが0歳のときにライフオーガナイザーの資格を取得。片づけ収納、動線計画、インテリアの提案や、思考・行動・時間の整理を通して、狭くても、ものが多くても、小さい子どもやペットがいても、快適に暮らしたい人をサポートしています。
「私たち家族は、持ちたい物は持ちながら、それが小さい家にきちんと収まるよう、全体でバランスをとりながら暮らすスタイルを選びました」というkeyさんですから、必ずしも極端に物が少ないという訳ではないのに、スッキリと暮らしている印象です。
今回はリビング&ダイニングからスッキリが続く収納、片づけ、掃除のヒントを見つけていきましょう。
散らかってもすぐ片づく仕組みづくり
面積の大きい場所の整理だけで部屋はスッキリ
片づけ、収納に関しては、極力ムダを省くことがkeyさんの主義。家事に割く時間と気力が減れば、その分余裕が生まれ、自分が本当にしたいことに目を向けることができる、というのも合理的な考え方です。
そんなkeyさん宅のリビングで、収納のキーアイテムになっているのがオープンシェルフ。扉や引き出し付きの収納家具でなく、センスのいいオープンシェルフですから、この部屋に合わせて選んだものかと思ったら、意外にも……。
「こちらのシェルフは、もともと書斎で本棚として使用していたものです。子どもが生まれ、新たに収納用品を購入するのではなく、自宅にある家具を再利用できないかと考えて、この収納家具を移動して使うことにしました。スモールスペース暮らしの経験から、家具選びで学んだことは、大きめの収納家具をひとつ置き、生活の仕方が変わっても収まるだけのものを持つよう工夫すること。そのほうが、スッキリとした印象を保ちやすいように感じます」とkeyさん。
ライフオーガナイザーとして活躍していますが、本人は決してまめに片付けるタイプではないと言います。それでも家が片づいて見えるのは、楽な方法を試行錯誤しながら考えた結果だそう。
「散らかっても片づけやすい仕組みづくり、汚れても掃除しやすい仕組みづくりを心がけているからかもしれませんね。とくに狭い部屋では、見える平面が多ければ多いほど、『スッキリしている』と感じられるように思います。子どもが小さいうちは、床全面をいつも片づいた状態に保つのはむずかしいですが、テーブルの上だけならコントロールできる、と考えました」
そこで取り入れたのが、前出のオープンシェルフ。
「子どもが生まれてから、ダイニングテーブルの周りに細々とした物が増えました。そこで、ダイニングテーブルの近くにシェルフを置いて、収納場所にすることにしたんです。そうしたら、物を出すのも戻すのも簡単。結果的に散らかりづらい仕組みが出来上がりました。面積の大きなダイニングテーブルの上だけでもスッキリしていると、ほかが多少乱雑になっていても、部屋全体が片づいて見えるから効果絶大です」
一方、掃除のようなルーチンワークが苦手で、ラクしたがりだというkeyさん。仕事柄多い急な来客には、リビング&ダイニングを力技で片づけて見せることも。
「どの部屋にも、そこに立ち入った瞬間、目につく場所“フォーカルポイント”というものがあります。部屋全体を片づける時間がない場合、そこにあるものだけでも元の場所に戻してスッキリさせられると、部屋全体の印象が良くなると思います。部屋を掃除する時間がないなら、窓を全開にしてさっとほこりをはらい、フローリングワイパーをかけるだけでも十分です」
子どもに触ってほしくない物は
シェルフ上段の手の届かない場所に
さらにここからは、収納について具体的に見せていただきましょう。
オープンシェルフの上段には、ボックスやチェストを利用して、日常使うものを用途に合わせて整理しています。例えば、毎朝使う体温計とボールペンは、シェルフに入れた浅い引き出しの中へ。子どもが持ち帰った連絡帳は、読んだらすぐに同じ引き出しへ。まとめる際は蓋つきの書類ケースへと、keyさんが把握しやすい整理のしかたで収納しています。
「油性ペンやハサミ、医薬品といった、子どもひとりで触ってほしくないものは、高い場所へ収納するようにしました。子どもが危険なものに触れないかとハラハラしたり、子どもの行動をいちいち制止したりしなくていいので、お互いにストレスなく過ごせるように思います」