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ワイングラスの老舗リーデルで体感!ワインのおいしさもグラス次第?

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「やっぱり、ワイングラスによってワインの味わいって違う……?」と、うすうす気づいていながら、これまでなんとなく自宅にあるグラスひとつで、どのワインも飲んでしまっていた人は多いのではないでしょうか?

著名な老舗ワイングラスカンパニー、リーデル社が、2018年4月に「リーデル銀座店」をオープンしました。銀座初出店となる新店では、実際にワインを飲みながら、まさに「グラスが変わればワインの味わいも変わる」という事実を体験できる「グラステイスティング・セミナー」が。さらに、同じフードとワインでもグラスによって味わいが変わることを体感できる銀座店オリジナルの企画「フードペアリング・エクスペリエンス」も実施しています。

ワイン選びにも並ぶほど奥深い、“グラス選び”の世界へ。さっそく飛び込んでみましょう。

 

ブドウ品種別にグラスをラインナップ

リーデルは、オーストリアに本社を構えるワイングラスカンパニーで、今年で創業262年を迎える老舗。創業当時は、バカラなど他のクリスタルガラスメーカーのように香水の瓶やシャンデリアなども製造していましたが、現在では「ザ・ワイングラスカンパニー」とロゴに冠するように、ワイングラス及びワイン関連商品に特化した専門メーカーとなっています。

ではなぜ、ワイングラス専門のメーカーになったのか?

JSA認定ワインエキスパートであり、リーデル社のワイングラス・エデュケイターを務める竹中信幸さんは、そのきっかけとなった出来事から、話してくれました。

「あるグラスで、フランス・ブルゴーニュ地方の造り手さんに自身のワインを飲んでもらったところ、絶賛されたのですが、同じグラスでボルドー地方の造り手さんとボルドーワインを飲んだら『私のワインには合わない』と言われてしまったそうなんです。その出来事をきっかけに、当時まだ誰も考えもしなかった”グラスとワインの相性”というものがあるのでは? という疑問を持ち始めました」

その後研究を重ね、1958年に世界で初めて“ワインのタイプ別”にグラスを作るメーカーとなり、新しいリーデル社の歴史がスタートしたのです。

「当時のワイングラスというものは、デザインやカットを楽しむものでした。そんな時代に大ぶりなボウル形状と曲線的なデザインで、香り、味わいを楽しむための“機能的な”ワイングラスを作り始めた、というのは画期的なことでした。それからリーデル社のワイングラスはすべて、原料としてワインを造る“ブドウ品種別”というのが、基本コンセプトとなっています」(竹中さん)

JSA認定ワインエキスパートであり、ワイングラス・エデュケイターの竹中信幸さん。「ワイングラス・エデュケイター」とは、リーデル社認定で、グラステイスティングによるワインとグラスの関わりを伝える役割を担う
JSA認定ワインエキスパートであり、ワイングラス・エデュケイターの竹中信幸さん。「ワイングラス・エデュケイター」とは、リーデル社認定で、グラステイスティングによるワインとグラスの関わりを伝える役割を担う

グラス作りは常に、造り手とともにある

ブドウ品種別、と言っても、その原料ブドウの個性がそのままワインへダイレクトに反映されるわけではありません。産地、気候、造り手などによってそれぞれに個性があるもの。それをロジカルにこのブドウだからこの形状のグラス、とメーカーだけの意見で決定するのは難しそうですが……?

「はい、おっしゃる通りです。ですから私どもは当初から、ワイングラスは常に造り手とともに作り上げてきたのです」(竹中さん)

形の異なるたくさんのグラスの中から、ワインの個性を最大限引き出せるボウル形状を、テイスティングを繰り返すことで探し出しているそう。そのプロセスをリーデル社では「ワークショップ」と呼んでいて、世界中のワインの造り手、ワイン専門家とこのワークショップを繰り返すことで、その品種に合った最終的なグラスのシェイプを決定していくのです。

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昨今のワイン事情といえば、めまぐるしく変わる世界の気候条件、それによる産地特性の変化、またオレンジワインブームや日本ワインの注目度の高さなど、ワインのトレンドは日々変化しています。そんな時代ごとの傾向にも敏感に対応できるよう、グラスメーカーとしては常に造り手に寄り添い、生の声と意見を大切にしているのだと言います。

一例として、世界中に広がっている日本酒人気に答えるべく、8年の歳月とのべ170人の蔵元や専門家の意見を集約したグラス「純米」が、今年完成しました。さらに現在は、日本ワインの造り手ともワークショップの機会を重ねているそうで、日本ワインならではの味わいを楽しむグラス、日本固有のブドウ品種用のグラスに出会えるかもしれません。

8年の月日をかけて純米酒に特化したグラス形状を開発した。「<エクストリーム シリーズ>純米」3240円
8年の月日をかけて純米酒に特化したグラス形状を開発した。「<エクストリーム シリーズ>純米」3240円

これさえ揃えればOK!そんな基本のワイングラスとは?

それでは具体的に、どういう品種個性を持つワインを、どのグラスで楽しんだらいいのか? 世界中のあらゆるワインを楽しむために、リーデル社は4脚の基本グラスをおすすめしています。

まずは白ワイン用のグラス2種。1.爽快ですっきりしたタイプの白ワインを楽しむグラスと、2.こってりまろやかなタイプの白ワインを楽しむグラスです。

1は、ブドウ品種では「リースリング」や「ソーヴィニヨン・ブラン」といった、酸味をキリッと感じるタイプのブドウ品種用。その特徴である酸味を、あまり過度に舌の上に広げることなくスーッと喉へと流すことで、心地よく爽快感を感じる形状だそう。また白ワインの中でも比較的低めの温度で楽しむタイプのワインに用いるため、口の中に長く留めて温度が上がってしまうことなく、冷たいままスピーディに、喉元へ流れ落ちる効果があるのだとか。

2は、見た目も対照的にぽってりとした形状で、やはり味わい的にも対照的な、しっかりと樽熟成した「シャルドネ」のような白ワインに。このグラスは口径が広いので、口の中へ入る際の液体の横幅が広くなり、舌の上全体にゆっくりじんわりと広がります。それによって、柔らかい酸やクリーミーな質感をしっかり感じることができるのだと言います。

グラスの形状にこだわる理由、それは液体が口内へ入る際の舌への広がり方、液量、スピード感などのバランスを調整するという役割によるものだったようです。

 

1.すっきりしたタイプの白ワインに

リースリングやソーヴィニヨン・ブランといった、キリッとした酸味を感じるタイプのブドウ品種におすすめ
リースリングやソーヴィニヨン・ブランといった、キリッとした酸味を感じるタイプのブドウ品種におすすめ

グラス=「<リーデル・ヴェリタス シリーズ>リースリング/ジンファンデル」4860円
ワイン=「ドメーヌ ツィント ウンブレヒト ピノ・グリ ロッシュカルケール 2015」4536円

 

2.しっかり樽熟成したタイプの白ワインに

樽熟成をしっかりした、シャルドネのような白ワインに用いたい
樽熟成をしっかりした、シャルドネのような白ワインに用いたい

グラス=「<リーデル・ヴェリタス シリーズ>オークド・シャルドネ」4860円
ワイン=「ジャン マリー ブーズロウ ムルソー 2015」7020円

 

続いて、赤ワイン用グラス2種について。こちらは竹中さんが実際にワインをグラスに注ぎ、デモストレーションを交えて解説してくれました。

赤ワイン用グラス2種はどちらも大きなボウル形状。2種の違いはなにかといえば、口径のすぼまり具合です。一方は、3.すぼまりが小さく金魚鉢のような曲線と丸みが特徴で、一般的に“ブルゴーニュ型”と呼ばれる形状。もう一方は4.口径が大きく、底から口元までの曲線が比較的緩やかな一般的にボルドー型と呼ばれる形状をしています。

どちらも注ぐワインの適量は、グラスの一番膨らんでいる位置より1cmほど下くらいまで。この量に留めると、グラスを横に倒した時、つまり口元へ運んだ時に理想的な舌への広がり方、液量、スピード感が得られるのだと言います。

注ぐワインの適量は、グラスの一番膨らんだ位置より1cmほど下程度までと、驚くほど少量だ
注ぐワインの適量は、グラスの一番膨らんだ位置より1cmほど下程度まで。これだけでも充分な量がある

口径のすぼまりが小さい前者3のグラスは、「ピノ・ノワール」という酸味が豊かなブドウ品種用としておすすめで、グラスを口元へ運んだ時に、口元に対してグラスが水平状態では液体がまだ口内へ流れて来ず、さらにもう少し頭を後傾する必要があります。そうすることで、液体の幅は細く、舌先から滑らかに喉元へ落ちるため、酸味の刺激を過度に感じにくくなるのだそうです。

もう一方の口径の大きなグラス4は、果実味やタンニンのしっかりした「カベルネ・ソーヴィニヨン」などのブドウ品種用としておすすめで、グラスが水平状態でも広い幅で液体が口内に広がるため、タンニンの豊かさや複雑味を舌全体で感じることができるのだと言います。

適量で注ぐと、グラスを横に倒した程度の角度になった際、つまり口元へ運んだ時に、理想的な舌への広がり方、液量、スピード感が得られるのだそう
適量で注ぐと、グラスを横に倒した程度の角度になった際、つまり口元へ運んだ時に、理想的な舌への広がり方、液量、スピード感が得られるのだそう
グラスの形状によって、ワインが口内へ入る角度が変わることで、味わいの印象も変わるのです
グラスの形状によって、ワインが口内へ入る角度が変わることで、味わいの印象も変わるのです

 

3.酸味が豊かな赤ワインに

「ピノ・ノワール」といった酸味が豊かなブドウ品種に向いている
「ピノ・ノワール」といった酸味が豊かなブドウ品種に向いている

グラス=「<リーデル・ヴェリタス シリーズ>オールドワールド・ピノ・ノワール」4860円
ワイン=「デュジャック F&P モレサンドニ 2015」8640円

 

4.果実味やタンニンが豊かな赤ワインに

果実味やタンニンのしっかりした「カベルネ・ソーヴィニヨン」などのブドウ品種におすすめ。
果実味やタンニンのしっかりした「カベルネ・ソーヴィニヨン」などのブドウ品種におすすめ。

グラス=「<リーデル・ヴェリタス シリーズ>カベルネ/メルロ」4860円
ワイン=「スタッグスリープ ハンズ・オブ・タイム レッド 2014」5400円

 

「これらのロジックは、科学的にというより、やはり多くの造り手さんたちとワークショップを重ねた結果によるものが大きいですね。経験的な事実として、このグラスで飲んだ時のこの感覚で自分たちのワインを楽しんで欲しいという、いわば”造り手のメッセージを伝える道具”でありたいと、私たちは考えています」(竹中さん)

 

今イチオシ、第三世代のシャンパーニュグラス

この4つの基本グラス以外に、今リーデル社がおすすめするシャンパーニュグラスがあると、竹中さんが教えてくれました。シャンパンやスパークリングワインを飲むシャンパーニュグラスといえば、“フルート”と呼ばれる細長い形状のものを想像する方も多いはず。しかしおすすめされたのは、 5.卵型のややふくらみのあるタイプのシャンパーニュグラスでした。

シャンパーニュグラスの形状のトレンド変遷を見てみると、リーデル社ではこの卵型のものを“第三世代”と位置付けているとのこと。第一世代は、社交界に集う貴婦人が片手に持っているようなイメージの“クープ”と呼ばれるお椀型のグラス。そして細長いフルートグラスが第二世代。ここまでは、グラス自体の見た目や雰囲気、泡の立ち方などに重点をおかれる傾向がありましたが、第三世代は味わい、香りをより引き出すという観点で、造り手と考えた結果なのだそうです。

シャンパーニュグラスもトレンドが変遷してきた。左から第一世代のクープ型、第二世代のフルート型。そして今おすすめの第三世代は、卵型のややふくらみのあるタイプだ
シャンパーニュグラスもトレンドが変遷してきた。左から第一世代のクープ型、第二世代のフルート型。そして今おすすめの第三世代は、卵型のややふくらみのあるタイプだ
第二世代に位置付けられたお馴染みのフルート型の場合、頭はやや下向きで液体をすすってしまうので、過度な泡立ちが口内に広がる。それがおすすめの第三世代グラスなら、頭を後傾することで、シャンパーニュがしっかりと舌先から滑るように喉元まで流れていく
第二世代に位置付けられたお馴染みのフルート型の場合、頭はやや下向きで液体をすすってしまうので、過度な泡立ちが口内に広がる。それがおすすめの第三世代グラスなら、頭を後傾することで、シャンパーニュがしっかりと舌先から滑るように喉元まで流れていく

 

5.シャンパンやスパークリングワインに

第三世代は味わい、香りをより引き出すという観点で、造り手とワークショップを重ねたどり着いた卵型の形状だ
第三世代は味わい、香りをより引き出すという観点で、造り手とワークショップを重ねたどり着いた卵型の形状だ

グラス=「<リーデル・ヴェリタス シリーズ>シャンパーニュ・ワイン・グラス」4860円
ワイン=「モエ・エ・シャンドン ブリュットアンペリアル NV」6480円

 

そこに存在感がないこと。それがいい道具の証

最後に、ハンドメイドグラスの魅力について竹中さんは語ってくれました。

「ハンドメイドグラスの最大の魅力はやはり軽さ、そして薄さです。手に持った時、口元に触れた時、なんのストレスもなくワインを口内へ運ぶことができる。良い道具とは、まるで存在を感じないことだと思うんです。まるでワインと直に触れているような感覚になれるグラスが理想ですね」。

 

“この品種だから、このグラスを選ばなければいけない”ではなく、むしろときにはその存在感すら消し去りながら、ブドウ本来の味わい、造り手の届けたい味わいに、より近しい状態を再現してくれる役割を担うのが、理想のワイングラス。

加えて、味わいの感じ方や好みは人それぞれです。畑からのメッセージとあなたの好みというスパイスを加えた“あなただけの理想の1脚”を、探してみてはいかがでしょうか?

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Shop Data

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リーデル銀座店

所在地=東京都中央区銀座6-2-1 Daiwa銀座ビル1F
電話番号=03-6264-6128
営業時間=火曜〜金曜12:00〜21:00、土・日曜・祝日11:00〜20:00
定休日=月曜

 

※価格はすべて税込です

 

取材・文/山田マミ 撮影/@Living編集部