ここ数年、インバウンドの急増で、地図を手にした外国人観光客から英語で道先案内を求められる機会も多くなってきました。でも、日本語でなら簡単に教えられるのに、いざ英語で答えようとすると、とっさに言葉が出てこない……。2020年の東京オリンピック開催時にはより多くの外国人旅行者が訪日するはずですから、専門的な英語はさておき、海外旅行にも役立つ日常会話ができるぐらいの英語はマスターしておきたいものですよね。どうすれば英会話力を効率よく上達させることができるのか。多忙な社会人でも家で気軽に学べる学習法を、数多くのベストセラー英語学習本の著者で、英語学校「エートゥーゼット」代表のデイビッド・セインさんに教えてもらいました。
Q.英語教育に関心の高い多くの日本人が“英語が苦手”なのは、なぜでしょう?
A.日本人は英語が苦手なわけじゃない!
学習時間が足りないだけです
「中高6年間も英語を学んだのに、うまく英語がしゃべれません……」という悩みをよく耳にします。そんな時はいつも「では、その6年間で何時間ぐらい英語の授業を受けたと思いますか?」と逆に問いかけます。何時間かおわかりですか? 平日に1日1時間勉強したとして、1560時間程度です。でも、授業は日本語で進めますから、本当に英語と向き合っているのは1000時間ほどでしょう。しかも、英語の4技能である「聞く」(リスニング)、「話す」(スピーキング)、「読む」(リーディング)、「書く」(ライティング)のうち大半がリーディングとリスニングにあてられるため、ライティングとスピーキングの学習時間はさらに短くなります。一般的に基礎英会話の習得には3000時間が必要といわれていますから、学校教育を受けるだけでは、明らかに学習時間が少ないですよね。
Q.日常会話レベルの英会話は、どの程度の英語力があればできるのでしょうか?
A.中学3年生までの
英語教育レベルでOKです
中学3年生までの英語教育レベルで大丈夫。それに日本人の英語力が劣っているわけではありません。受験勉強を通じて「読み/書き」の能力に優れ、文法についてはネイティブ以上に知識も豊富です。ただ英会話のためのインプットはさほどしていませんから、そもそも英会話ができなくて当然なのです。例えばテニスを始めようとして、机の上で必至に歴史やルールを学んでも、テニスの練習をしなければまったく上達しないのと同じことです。英会話が苦手と決めつけず、もっと練習時間を増やすことで確実にスキルアップしていきます。
Q.英会話のレベルをあげるには4技能の中でどれを重点的にすべきですか?
A.まずはリーディング=読む
から始めてみましょう
今日からすぐにスタートできるのが、リーディングの学習です。小説でも英字新聞の記事でも自分の関心のあるものをテキストに、わからない単語や熟語に丸をつけ辞書でひくというシンプルな方法で結構です。辞書は紙の辞書でも電子辞書でもいいですが、電子辞書はひとつの単語を何度検索したかがわかるので、覚えにくい単語をマスターするにはとても便利ですね。大事なのは、辞書で調べる前に意味を推測すること。正しければ喜び、間違っていれば悔しがるという使い方をすれば、記憶にも定着させやすくなります。逆に無表情で淡々と調べるだけでは身につきにくのです。また、読みながら”What’s”など相槌を打つことも、リーディング学習にはプラスになります。
カシオ「EX-word(エクスワード)XD-G4800」
/カシオ計算機 オープン価格
単熟語などの基礎から、リスニングや長文読解などの応用まで、英語力を総合的に強化できる電子辞書。英検、TOEIC、TOEFLなど目標レベルに合わせたコンテンツも充実している。高校生の受験用として、英語を含め全6教科をサポートしているが、社会人の英語学習用としても十分に役立つ。
Q.長く続けるコツはありますか?
A.英語だけに集中せず
内容を楽しむようにすること
最初は苦労すると思いますが、読み進めてあるレベルに達すると、勉強のためではなく、純粋に次の展開が気になって先へと進みたくなる瞬間がやってきます。私が日本語を覚えた時は、星新一さんのショートショートをテキストに使いました。内容がおもしろく、オチを予測しながら読んでいったので上達にとても役立ちましたね。リーディングに慣れたら、英語をリスニングしながら、同時に同じ文章を読んでいくと効果的です。読んで理解できても、会話になると理解できないというのは処理スピードの違いです。1分間に150単語が読めるようになるまでスピードアップすれば、普通に英語でコミュニケーションが取れるようになります。リーディングの力がリスニングの力となり、最終的にスピーキングのレベルも押し上げてくれるのです。
『3分で泣ける。英語でショートショート』
デイビッド・セイン/秀和システム 1512円
入試問題にもよく取り上げられる、セインさんの最新著書。ひと駅で読める心温まる30話を収録。音声を聞きながら学習ができるので、止まることなくどんどん英語が読めるようになります。
Q.効果的なメソッドはありますか?
A. 1日10分でも大丈夫!
継続こそが力になります
どれがいいとか悪いとか一概にはいえません。相性もあるでしょうし、当然本人の英語のレベルによっても向き・不向きはあります。1度は投げ出したテキストも、上達すると役立つこともあります。むしろ自分に合うものを見つけるために、いろいろなメソッドにトライした方がいいですね。向いていないとわかったら別の勉強法に切り替え新しい気持ちでやればいいじゃないですか。個々のメソッドは三日坊主だったとしても続けることが大切です。1日10分でも毎日継続すれば知らず知らずのうちに身につくものです。週に1回スクールに通うより、毎日10分の方がためになります。
Q.具体的におすすめのツールがあれば教えてください。
A.インターネット上の動画サイトを
有効活用しましょう
「アメリカの国営放送局ニュースサイト「VOA」(ボイス・オブ・アメリカ)が配信している英語学習者向けサイトと、英語字幕・日本語字幕が付いたプレゼンテーション動画「TED」はよく出来ています。英語レベルは高いですが、どちらも無料で、スマホアプリも用意されています。身近なところではYouTubeのCC機能を使い英語字幕を見ながら動画を見ることも勉強になりますよ。
Q.海外旅行に出かけてうまくしゃべるコツはありますか?
A.英語力が整ったら
あとはひたすらしゃべること!
あとは英語でひたすらしゃべることのみです。下手でもいいので、相手から言葉をかけられたら、すぐに返すことを習慣づけましょう。何か問いかけられて、主語や文法だと考え始めたら会話になりませんよね。英語に標準語はありませんから、たどたどしい発音でも決してひどいと思うことはありません。むしろ相手と英語でコミュニケーションがとれることを喜んでくれます。わからなければ「I don’t know」「Again Please」「What’s?」「Pardon?」と聞き返せばいい。肩の力を抜いて気楽にしゃべってみてください。
Profile
デイビッド・セイン
アメリカ出身。20数年前に来日し、英語学校「エートゥーゼット」を運営しながら、翻訳、通訳、執筆など幅広い活動を行う人気セミナー講師。長年の豊富な英語教育経験を生かし、英語関連書籍では数多くのベストセラーを輩出している。
エートゥゼット
http://www.atozenglish.jp
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「和カルチャー英語」
デイビッド・セインさんが監修をつとめる、日本文化の良さを英語で紹介するオンライン英語学習サイト。基本的な文法を使い、シンプルな表現方法を数多く習得できるように工夫された多彩なプログラムで学習し、習得後には、選択問題、穴埋め問題、英作文などのオンライン・テストでスキルアップをすることもできます。日本の文化以外にも、英検(3級)・TOEIC・一般ビジネス英語 ・サービス業の英語、・買い物の英語など、自分が勉強したいトピックスを選べるのも特徴です。受講料は年額6200円。
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取材・文=安藤政弘