毎年6月10日は「時の記念日」。西暦660年に日本で初めて時計を使って時の知らせが行われた日に由来しているそう。「時刻を守ることで生活の改善・合理化を図ること」や「時間の大切さを改めて考える」という目的で1920年に制定されました。
今やスマホですぐに正確な時刻が確認できる時代ですが、昨今自宅で過ごす時間が増えたこともあり、あらためて室内に設置する掛け時計や置き時計が注目されています。そこで今こそ、自宅の時計の選び方やおすすめの製品を見直してみましょう。
教えていただいたのはインテリアコーディネーターやライターとして活躍し、自身も時計のデザインを手がける土橋陽子さんです。
時計を選ぶ時、どんなところに注目すべき?
時計を買い替えたいと思った時、どのような点に注意するといいのでしょうか? まずは選び方のポイントを教えていただきました。
・素材
「どんなインテリアにも調和しやすいのは、木などの天然素材を使った時計です。これは一般的に部屋で大きな面積を占めている床が、木や畳、大理石などの天然素材でできているから。もちろん、プラスチックなどの化学素材にしか出せない色合いもあるので、ご自分のイメージとお部屋の雰囲気に合ったアイテムを見つけてみてください」(インテリアコーディネーター・土橋陽子さん、以下同)
・取り付け
「賃貸物件の場合、掛け時計は壁を傷つけてしまうのではないか心配だという方もいらっしゃいますよね。基本的によほど大きな穴や損傷でなければ退去時に修繕費を請求されることは少ないと考えられます。それでもやはり不安だという方は、画鋲よりも針が細い、ホッチキスで留められる壁掛けフックなどを利用するといいでしょう」
・設置する場所など
「時計は単に時間を確認するためだけの道具ではありません。同じ空間にいる人たちが、同じ方向を見て、同じ時を共有するためのツールです。したがって時計を選ぶ時には、その空間で誰と、どのように過ごしたいかを考えてみましょう」
部屋別に考える、時計選びのポイント
部屋やシーンに合わせて、時計を選ぶ時のポイントや注意点も教えていただきました。
・寝室
「就寝の際、カチカチという秒針の音が気になって眠れないという人もいらっしゃるのではないでしょうか? そのような方は『スイープセコンド』という、秒針の動きが滑らかなものを選ぶといいでしょう。また最近は、スマートフォンのアラームではすっきり目覚められないという人に、昔ながらのベル式の目覚まし時計が人気だそうですよ」
・リビング
「私たちは普段なんとなく、短針と長針の位置を見て時間を把握しています。つまり数字の形よりも針の間隔や角度を認識するという習慣があるのです。したがって、リビングにはデジタルタイプよりも、ふと視界の端に時計が見えたときに時間を把握しやすいアナログタイプがおすすめです。ただ、文字盤のデザインが抽象的だったり、凝りすぎた数字のフォントを使っていたりする場合は、小さな子どもにとって混乱や不安の原因になるといわれているため注意が必要です」
・玄関
「玄関の時計は、出かける前などに時刻を正確に知る目的で置いておくという方が多いのではないでしょうか。そのため、一目で時刻がわかるようなはっきりとした文字盤のものや、デジタルタイプの時計がおすすめです」
インテリアコーディネーターが選ぶ、注目の時計 7選
それでは具体的に、おすすめの時計を注目ポイントともに紹介していただきます。
1.曖昧な時の気配を感じる
Makoto Koizumi kehai
1万1000円(税込)
「まるでオブジェのような小さな掛け時計。あえて明確な時間がわからないよう、半透明のガラス越しに針が見えるデザインです。普段時間に追われているからこそ、リラックスタイムは曖昧でゆったりとした『時』を感じたいですよね」
2.本の形をした小さな鳩時計
Bockoo ホワイト(GF17-04 WH)
1万6500円(税込)
デザインは後藤史明氏によるもの。「コンパクトサイズで掛け時計にも置時計にもなります。ブックエンドとしても使える優れもので、優しい鳩の鳴き声が時刻を知らせてくれます。集中してついつい時間を忘れてしまいがちな方へ、書斎におすすめのアイテムです」
3.時間と分数が一目でわかる
fun pun clock Lサイズ(YD14-08 L)
1万3200円(税込)
こちらが、土橋さんがデザインした時計。「文字盤には見やすく正しい数字で、内側に12進法、外側に60進法が書かれています。これは小さな子どもに、時間や時刻の理解を促す狙いがあります。どんなインテリアにもなじみやすいアイテムです」
4.立体的でシンプルなデザイン
Edge Clock アルミニウム(AZ-0115 AL)
3万3000円(税込)
デザインはAZUMI氏によるもの。「富山県高岡市の地場産業として発達した砂型鋳造という技術を使ったアルミ製の時計。立体的でスタイリッシュなデザインが特徴的で、コンクリート打ちっぱなしなどの、無機質な壁にもよく映えます」
5.これ一つでラグジュアリーな空間に
Quaint 斑紋ガス青銅色(AZ15-06 GN)
5万5000円(税込)
安積伸氏がデザイン。「古い時計塔の文字盤をイメージしたアイテム。富山県高岡市の伝統産業である真鍮鋳物が醸し出す、ゴージャスで品のある風合いが魅力です。シャンパンゴールドや、深く鮮やかなターコイズブルーなどの高級感あるカラーにも注目。空間の質をワンランクアップしてくれます」鋳物師=林 晴彦、伝統工芸士=折井 宏司
6.小さくても存在感は抜群
JIJI alarm シルバー(AWA13-04 SL)
8800円(税込)
「アルミの塊感が可愛い、イチ押しの置き時計。ずっしりとしたマッシブな質感がどんなインテリアにもよく合い、空間をぐっと引き締めてくれるアイテムです」デザイン=AWATSUJI design
7.天然鉱物の複雑な色合いを楽しむ
はなもっこ 置時計シリーズ 群緑(ぐんろく)
1万5950円(税込)※刻印ありは1万6830円(税込)
「文字盤に鉱物を砕いた粉末(岩絵具)を施した、自然の複雑な彩りが美しい商品。ケヤキでできたフレームには、石川県のろくろ引きという伝統技術を用いており、丸くて可愛らしい形に仕上がっています。裏のカバーに刻印ができるので、プレゼントや記念品にもおすすめです」
最後に、著名なデザイナーがデザインした、後世に残したい壁掛け時計をピックアップしていただきました。それひとつで空間の調和をとれるだけの存在感をもつ名作とは?