インテリアの世界で、昨今「ジャパンディ」というスタイルが人気。日本発ではない、ジャパニーズスタイルを取り入れた世界観は、SDGsの観点からも注目されているといいます。実際、どんなスタイルのこと? “和モダンとはどう違う? インテリアトータルプロデューサーのMAKOさんに教えていただきました。
海外から見た“和”が新鮮!
「ジャパンディ」とは?
ここ数年、おしゃれなインテリアスタイルとして人気が高まっているジャパンディ。
「ジャパンディ(Japandi)」とは、JapaneseとScandinavianをミックスしたインテリアスタイルを表す造語。日本と北欧のインテリアスタイルを融合させもので、海外で話題となり、日本には数年前に逆輸入の形で入ってきました。和モダンとは異なり、“海外から見た日本らしいテイスト”を取り入れたスタイル、というのが特徴です。
「ジャパンディには、明確な定義づけがあるわけではありませんが、北欧要素が8割、日本要素が2割くらいのバランスというイメージです。そして、この2割の日本要素については、照明や窓周り、ポイントとなるような大物の家具ではない部分に和風のアイテムを取り入れる、そんなインテリアスタイルです」(インテリアトータルプロデューサー・MAKOさん、以下同)
具体的にどのような特徴があるのでしょうか?
「主な特徴としては、部屋の内装は白やグレーなどのニュアンスカラー。家具はアースカラーや自然素材のものでスタイリッシュなタイプ。室内のものは最小限にまとめる。ラタンのような自然素材や植物を入れる。カーテンやスクリーンで和テイストを表現。フロアスタンドやペンダントライトを多めに入れて、部屋の雰囲気を作る、ローテーブルや低めの家具を取り入れ、部屋の余白を多めに作る、などが挙げられます」
いつ頃から流行り始めたのでしょうか?
「海外で流行し始めたのは2020年くらいからだと思います。インテリアの雰囲気も大きく変えることなく、家具もなるべく買い替えず長く使い続けられる、というSDGsの考え方にマッチしたインテリアといえます。職人の手によるこだわりの家具を取り入れ、色味を控えめにしてすっきりとさせ、そして飽きのこない洗練された雰囲気を作っていく上で、日本っぽさがしっくりきたのだと思います。ジャパンディスタイルという世界観が北欧を中心に広まっていくなかで、日本にも逆輸入の形で広まってきたように感じます」
「ジャパンディ」のポイント
・部屋の内装材は白やグレーのニュアンスカラー
・家具はアースカラーや自然素材のものでスタイリッシュに
・室内は物を最小限にする
・ラタンなどの自然素材、植物を取り入れる
・カーテンで和柄やスクリーンを演出
・フロアスタンドやペンダントライトを多めに入れる
・家具はロータイプを選び、部屋の余白を多めにする
“和”を取り入れるさじ加減がポイント!
ジャパンディスタイルのインテリア実例
では、実際のインテリアを見せていただきながら、ジャパンディスタイルのポイントをチェックしていきましょう。
「上の写真は、ジャパンディを少し意識したインテリアの実例です。まず、窓際のロールスクリーンや白ベースのリネンのカーテンは、北欧発の和アイテムで、和紙を連想させます。テレビの横にあるフロアライトも、麻の混じった折笠シェードが和テイストと言えます。ほかには、少し大きめの観葉植物ですね。鉢を黒一色にすることで洗練された雰囲気を演出しており、どこか“侘び寂び(わびさび)”の雰囲気も出ていると思います。
全体的に色味は抑え、余計なものが目立たないすっきりした空間にしています。ソファの脚が細いことで、いっそうすっきりとした雰囲気になります」
窓際のロールスクリーンは、北欧製。
「素材がペーパーヤーンという紙からできていて、ジャパンディが流行する前から、北欧らしいデザインとして浸透しています。布製だとややしなってしまうものですが、これはパリッとした張りが特徴。この直線感が空間をシャープにして、和の雰囲気を演出してくれます。
床に敷くラグなどを和テイストのものや畳を思わせる素材にすると、部屋の雰囲気が和モダンに偏りがちに。ジャパンディは、あくまで和要素を2割以内に留めたいので、窓際や壁、照明などで取り入れる方がそれらしくまとまります」
こちらは、寝室の例です。
「色味は白と黒をベースに、空間に余計なものを置かないすっきりとした状態がジャパンディスタイル。ベッドフレームの木目や花器、ペンダントライトがジャパンテイストになっています。ベッドの脚が細いことでスタイリッシュさを演出。床がオフホワイトの木目で、北欧らしい雰囲気にまとまっています。また、壁紙をアースカラーにすることで、部屋全体はやさしい雰囲気になりつつも落ち着いたトーンで飽きのこない空間になっています」
ジャパンディを取り入れるならここから!
おすすめのアイテムは?
大々的に模様替えをするのではなく、無理なく気軽にジャパンディスタイルを楽しみたい。そんなときにまず取り入れたい5アイテムをピックアップしていただきました。
1.ペンダントライト
レ・クリント「ペンダントライト <ラメラシリーズ>」9万1300円(税込)〜
「紙を規則的に折り上げて手作りで作り出したシェードで、美しいフォルムとやさしい光が特徴のデンマークのブランド。居心地のいい空間を表すデンマーク語の『ヒュッゲ(Hygge)』を象徴するフロアライトです」
2.観葉植物
アンドプランツ「ドラセナ・コンシンネ M」 1万2850円(税込)
「観葉植物の種類はお好みのものを選べば大丈夫です。葉の形状や高さは変えつつも、グリーンの色味は揃えて複数置きをすると、こなれた雰囲気に仕上がります」
3.ペーパーヤーン(紙糸)のロールスクリーン
ウッドノーツ「ロールスクリーン 1800×2000」2万4530円(税込)(販売店=REZONANCE)
「ウッドノーツはフィンランドのテキスタイルカンパニーで、フィンランド産のパルプを原料にしたペーパーヤーンを開発し、ロールスクリーンやラグなどの製品化をしています。シンプルで美しいフォルムはジャパンディスタイルでもかなり人気の高いアイテムです」
4.チェア
フライミー「ノル アトム チェア」2万4200円(税込)
「深みのあるアッシュ材の背もたれにスチール脚をミニマルなバランスで組み合わせたチェア。北欧スタイルのモダンなチェアの象徴的なデザインです。造形的なカーブの美しさと繊細さ、座り心地の良さを追求した職人によるチェアを取り入れるとジャパンディスタイルらしい雰囲気になります」
5.剥がせる壁紙
NLXL「MRV-20」(販売店=壁紙屋本舗)3万5200円(税込)/1ロール
こちらはラタンデザインの剥がせる壁紙。「壁全体ではなく、一部をジャパンディスタイルにすれば、部屋の雰囲気が簡単に変えられます。わたしはインテリアをアレンジするときに、この壁紙のアクセントクロスを導入するのが好きですね。ラタンタイプ以外にもテラコッタ色などもジャパンデイスタイルに合います」
洗練された美しさと居心地のよさ、飽きのこないインテリアが楽しめるジャパンディ。最近は北欧ブランドのECサイトから購入しても数週間もあれば届くので、個人輸入でジャパンディスタイルの家具やアイテムを買い付ける方も増えているそう。居心地がよくおしゃれなジャパンディスタイルを、“本家”である日本でも、積極的に取り入れたいですね。
Profile
インテリアトータルプロデューサー / MAKO
Laugh style代表。モデルハウスやサロン、オフィス、ホテル、個人宅のインテリアコーディネート・スタイリングをベースに、近年では法人企業とコラボレーションして商品や店舗のプロデュースを行う。日テレ『ヒルナンデス』、TBS『Nスタ』、フジテレビ『めざましテレビ』他、ラジオ・雑誌・WEB等数多くのメディアに出演。また、大手住宅メーカーでのセミナーや、日本経済新聞など活字メディアへの寄稿など、幅広く活動中。
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取材・文=今井美由紀(Neem Tree)