マスクの着用が、個人の判断に委ねられるようになりました。多くが歓迎する一方で、「マスクを外すのが怖い」「たるんだ口元を見られるのが恥ずかしい」という人たちも少なくないようです。
そこで、過去にアットリビングに出演し大きな反響を呼んだ美顔づくりのプロフェッショナル、間々田佳子さんに、頬のたるみを解消しフェイスラインをくっきり見せるための「顔の筋トレ」方法を教えていただきました。
この3年でたるみ化が加速?
気になる“マスク下の顔”事情
マスク生活が続いた約3年の間に、私たちの顔はどのように変化したのでしょうか?
「実は顔には、喜怒哀楽を表現する約50個もの表情筋があります。表情筋は手や足のように骨に支えられているわけでなく、頭蓋骨の上に張りついているだけなので、使わなければどんどん衰え、地滑りを起こすように垂れてしまいます。
マスク生活が長く続いたことで、“顔が運動不足”状態の方が増えました。マスクによって口まわりの筋肉が抑えつけられ、会話中も顎より上が動いていなかったり、見られていない安心感から口元が緩んだり、頬を上げて笑わなくなったりなど、表情筋が使われない状態が続いたのです。
それが原因となり、この3年間で頬のたるみやほうれい線、毛穴の開きやシワの症状に悩まされている方が増えたのではないでしょうか」(表情筋研究家・間々田佳子さん、以下同)
“運動不足”の顔に効果的なのは?
マスクが影響する顔や肌の悩みを解消するために、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?
「大切なのは血行を良くすることです。温めたり、マッサージをするのも効果的ですが、外的アプローチは手間もかかります。また、薬や美容クリームはあくまで対症療法だと思ったほうがいいでしょう。
一方、顔の筋トレは、コツをつかめばいつでもどこでもできます。とくにマスク下のたるみ顔には、頬の筋肉の『大頬骨筋(だいきょうこつきん)』と『口角挙筋(こうかくきょきん)』の2つを意識的に動かすのが効果的です」
3万人が受講した
間々田式「コアフェイストレーニング」とは?
間々田さんはご自身のたるみ顔を改善した経験から、2020年に顔の筋トレメソッド「コアフェイストレーニング」を考案しました。
「コアフェイストレーニングは、顔の中心軸を意識しながら、左右バランスよく顔を動かす『顔の筋トレ』です。加齢や顔の運動不足で弱った表情筋を伸縮運動させることで、血行を良くし、リンパの滞りをなくして、よりフレッシュな顔の筋肉と表情筋を作っていきます。
トレーニングすることで顔の正しい動きを自分でコントロールできるようにもなり、ダイエットしなくても、キュッと引き締まった健康的な顔がつくれるようになります」
“顔”単体ではなく
“身体の軸”を意識して行うのがコツ
コアフェイストレーニングの要は、「体と顔を一体として考える」ことにあるそうです。
「長年、さまざまな顔のトレーニングを試しましたが、結局、顔だけ動かしても、本質的解決には至らないことが分かりました。重要なのは『身体の軸も意識する』こと。顔と身体はつながっているので、両面からバランスを整えていくことが大切です。
また、コアフェイストレーニングでは、単に顔の筋トレを行うのではなく、顔の悩みの根本的な原因に気づき、自力で修正していく方法を身につけます。顔の動きを変え、『理想の顔の使い方』を手に入れることで、見た目が変わるのはもちろん、自己肯定感の向上や前向きな思考につながります」
こんな希望の持てる話も。
「顔の筋肉はひとつひとつがとても小さいので、トレーニングの結果が短期間で出やすいです。毎日続ければ早くて一週間ほどで効果が実感できますよ」
今すぐ始められる
1回10秒でできる顔筋トレ
それではさっそくコアフェイストレーニングをはじめてみましょう。まずは、正しい姿勢の確認から。
「椅子に座り、体を起こして骨盤をしっかり立てます。この時、骨盤が前や後ろに傾かないようにしましょう。深く呼吸をして緊張をほぐしながら肩の力を抜きます。呼吸を繰り返しながら、顔や心の緊張も緩めましょう。
坐骨(ざこつ)から胸部・頭部まで1本の柱を立てるイメージで背筋を真っ直ぐ伸ばし、胸を張ります。顎を軽く引き、額から顎にかけてのラインが床と垂直になるようにしてください。エクササイズ中も呼吸を止めないように意識しましょう」
「こちらはNG例です。スマホやPCの見過ぎで普段から猫背になっていませんか?猫背だと、首、肩、背中の筋肉が凝り固まり脂肪がつきやすくなるばかりか、顔のたるみの原因になります。普段から正しい姿勢を心がけましょう」
1.フェイスラインをシャープに!「口角舌筋ストレッチ」
「口角挙筋を引き上げることで口角が綺麗に上がり、自然で魅力的な笑顔を作り出すストレッチです。口角が上がるのはもちろん、フェイスラインがシャープになり、(口角から顎にかけてまっすぐにおりる)マリオネットラインも薄くなってきます」
目をパッチリと開き、舌を前に突き出して上下の歯で軽く挟みます。
舌を挟んだまま、笑顔を作るように、口角と頬をキュッと真上に持ち上げます。この時、上の歯8本を見せ、口角の左右に隙間を作った状態で口が逆三角形になるよう意識します。目を大きく見開いたまま5〜10秒キープ。これを3〜5回繰り返します。
【Point!】目は細めず大きく見開きます。口角は真横に引っ張らないよう気をつけましょう。
2.口周りのたるみを解消!「ウートレ」
「頬の肉がたるみ、口角の横に肉が垂れ下がった、いわゆる『ブルドッグ顔』をすっきりさせるエクササイズです。使う筋肉は口輪筋と頬筋。口をすぼめる動きは、口の『半開き』の改善にも有効です」
人差し指を頬に当て、外側に引きます。
唇を「ウー」とすぼめて前に突き出し、口のまわりと頬が引っ張り合うことを確認しながら5〜10秒キープします。この時、唇は左右の口角をくっつけるイメージで行いましょう。
指を離して頬が硬くなっていることを確認し、さらに5〜10秒キープします。これを3〜5セット繰り返します。
【Point!】口をすぼめた時、頬がぽよぽよにならないようにしましょう。顎も前に出ないようにします。
3.たるんだ頬を引き上げる!「頬のVトレ」
「口角からこめかみまでの大頬骨筋を鍛えるストレッチです。のっぺりとした顔に凹凸を出し、頬をキュッと持ち上げる小顔効果と、ほうれい線を目立たなくさせる効果があります」
目を大きく開いて、上の歯を8本見せてにっこり笑います。
親指と人差し指をV字形に開き、頬の無駄なお肉を全部上に持ち上げるイメージで頬骨の下まで持っていきます。頬を高い位置に上げて記憶させ、このまま5秒キープしましょう。
手をはなし、頬は上げたまま5〜10秒キープします。3〜5セット繰り返しましょう。
【Point!】目は細めず大きく見開き、笑う時は口角を横に引かないように意識します。顎が前に出ないように首の後ろを伸ばしましょう。
4.首周りのたるみを改善し、顔のむくみ対策に!「対角線ストレッチwith舌筋」
「舌筋は喉の筋肉とつながっていて、鍛えているか否かで、首のラインが大きく変わります。横顔をきれいに見せたいなら舌筋をしっかり鍛えましょう」
両手を下に伸ばし思いっきり肩を落とします。
ゆっくりと顔を左に45度回し、顎と目線を少し下げます。この状態で、鼻から息を吸い、吐きながら舌を真下に突き出して5秒間キープ。3〜5回繰り返したら右側も同様に行います。これを1〜3セット行いましょう。
【Point!】首をすくめたり、猫背になったりしないようにしましょう。
最後は笑顔のチェックです。
「鏡を見ながらパッチリと目を開き、頬と口角を上げます。上の歯を8本見せて、キリリと引き締まった笑顔をつくりましょう」
「こちらはNG例です。口角を横に引き、あごに力を入れて笑う『あご笑い』は、口角から下に向かってシワが出やすくなり、デカ顔に見えてしまう傾向があります。顎の力は抜いて、頬に力を入れる『頬笑い』を意識しましょう」
「コアフェイストレーニングは何歳からでも始められ、正しく続ければ必ず結果が出ます」と間々田さん。さらに、老け顔の改善に「手遅れなんてない」とも。長年かけてついてしまった「表情の癖」が邪魔をして、はじめは思うようにできないかもしれません。鏡を見ながらゆっくりと自分の顔と向き合ってみましょう。写真だと分かりづらいという方は、間々田さんのInstagramもおすすめです。
Profile
表情筋研究家 / 間々田佳子
顔ヨガ講師を経て、表情筋研究家に。2020年、顔の最強メソッド「コアフェイストレーニング(間々田式顔筋トレ)」を考案。自身のたるみ・老け顔を改善した経験をふまえた表情筋トレーニング法がメディアで話題に。受講者は3万人を超える。現在は、イベント、企業研修、顔の筋肉・表情・印象に関連するアドバイザー、執筆、雑誌やTV出演等など幅広い分野で活躍。顔の学校「MYメソッドアカデミー」主宰。
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取材・文=井上あいみ 撮影=真名子 編集協力=Neem Tree