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乾燥する冬は要注意!日常に潜む
「火災」のリスクと日頃の対策

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空気が乾燥し始める時期から特に気を付けたい火災。火災のリスクが潜んでいるのは火の元だけではありません。電気製品の使い方や火を扱うときの衣服などにも注意が必要です。

防災アドバイザーの岡部梨恵子さんに、日常に潜む火災のリスクと対策、万が一出火した場合にはどうすればいいのかを教えていただきました。

住宅火災のリスクや対策は、
住環境によって異なる

大前提として、「住宅火災」とひとことで言っても、そもそも住んでいる家によってリスクや対策の仕方は大きく異なります。そのため防災の方法においても「『これが正解』と一概に言えないことも多い」と岡部さん。まずは自分の家のつくりや設備について知り、その上で備えることが大切なんだそう。

「最近の住宅は、壁や壁紙が燃えにくい素材でできていたり、燃えても有害な物質が出ないようになっていたりと、さまざまな形で火災への対策がなされています。また、住宅火災の原因をデータで見たときに上位に挙がるのがコンロの火です。しかし最近のコンロも、大きな揺れが来たり高熱を検知したりすると自動で火が消えるようになっています。

このように考えると、設備が古い住宅と、最新設備が整った新築とでは、火災への備え方は違ってくることが分かると思います。火災に限ったことではありませんが防災を考えるときには、昔から言われている防災の方法やメディアからの情報を鵜呑みにすることなく、まず『自分の家はどうなのか』を知ることが大切です。それを知ることで、むやみに怖がることなく、適切な防災ができたり、災害時の行動も変わってくると思います」(防災アドバイザー・岡部梨恵子さん、以下同)

「例えば皆さん、高熱の油を使って料理をしているときに大地震が来たらまず何をしますか? おそらく『急いで火を止める』と答える人が多く、実際にそう言われることも多いのですが、防災の世界では最近この考えを疑問視する声も上がっています。なぜなら、コンロの火が自動で消えるなら、固定されていない鍋に近づくほうが危険とも言えるからです。どちらが正解とは一概に言えません。

しかし『自宅のコンロに自動で火が止まる機能がある』と知っていれば、万が一のことがあっても衝動的に動くのではなく、命を守るための最善の行動を自分で考え、選択することができるのではないでしょうか」

火災を起こさないために、
日々の生活で気を付けることは?

自分の住む家のつくりや設備が最新だったとしても、もちろんそれだけで火災への対策が万全というわけではありません。では、火災を起こさないために日常生活でどのようなことに気を付ければいいのでしょうか? 具体的に教えていただきました。

1.キャンドルやタバコなどの“裸火”の扱いに気を付ける

「火災の原因として少なくないのがタバコの火です。火を消したつもりでも完全に消火できていないことがあるため、吸殻を片付けようと安易にゴミ箱に入れるのはとても危険。ゴミ箱の中に油を吸った紙などが入っていると火災を引き起こすことがあります。そのためタバコの火は、灰皿で消してからしばらく置いておき、半日~1日くらい経ってから捨てるようにしてください。捨てる前にさらに水に浸すとより安心です。寝たばこはとても危険なので絶対にNG!

タバコだけでなくキャンドルも、覆いがないむき出しの火(=裸火)なので、使用するときには注意が必要です。例えば、寝る前のリラックスタイムにアロマキャンドルをつけて、そのまま眠ってしまう……というのはとても危険。特に夜は疲れていて注意力が散漫になっていることも多いので、使用するときは『火災になるリスクがある』と意識した上で、確実に火を消してから就寝するようにしてください」

2.壊れた家電や古い家電は使わず、必ず使用方法を守る

「住宅火災が起こる原因は、火の元だけではありません。コンセントとプラグの間にホコリや塵がたまり、そこに湿気が加わることで発火につながる『トラッキング現象』による火災もあります。

トラッキング現象は、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、テレビといった普段あまりプラグを抜き差ししない場所や、結露がたまりやすい場所や水槽の裏などの湿気がある場所で特に注意が必要です。また、コンロの近くにあるコンセントも、油が跳ねてべとつきやすくなっているとホコリがくっつきやすくなるので気を付けましょう。

対策としては、ホコリや塵がたまらないように定期的に掃除をすること。とはいえ、家にあるコンセントを毎日掃除するのは難しいので、大掃除の時期などに定期的にきれいにするのが良いと思います。そのほか、あらかじめコンセントにカバーをつけておくのもおすすめ。数百円の手頃な価格で買えるので、ぜひ活用してみてください。

また、電気火災でもう一つ気を付けたいのが、古い家電や劣化した家電を『もったいないから』と使い続けてしまうこと。今の時代、ものを長く使うことが良しとされる価値観がありますが、電気製品に関してはおすすめできません。説明書を読んで使用方法を守ることはもちろん、異音がしたり煙が出たり、少しでもおかしいと感じたらすぐに使用をやめてください。自宅で火災が起こると、自分だけでなく他人にも被害を及ぼす可能性があります。常にそのことを念頭に置いて、電気製品に関しては『もったいない』という考えは捨て、常に安全なものを使うようにしましょう」

3.意外と見落としがち? リチウムイオン電池と衣類乾燥機の使い方に注意

「近年、増加傾向にあるのが『リチウムイオン電池』が原因の火災。特にスマートフォンやモバイルバッテリーは使う機会も多いと思いますが、内蔵されているリチウムイオン電池が劣化すると発火につながる可能性があるので注意が必要です。バッテリーが異様に熱くなったり、落として中身が見える状態や壊れた状態のまま使用し続けるのはやめましょう。

また火災のリスクとして意外と知られていないのが衣類乾燥機です。洗濯後の服やタオルなどに残っている油分が乾燥による熱風で酸化して発熱し、自然発火する可能性があります。特にアロマオイルなどを日常的に使っている方は注意してください。油分が付いた服やタオルは自然乾燥させる、または乾燥機に入れる前に油分をしっかり落とすようにしましょう」

4.身に付ける衣服の素材にも注意を払う

「電気代が高騰している昨今、暖房代の節約のために室内でもダウンジャケットを着たりマフラーをしたりして過ごしている人もいるかもしれません。しかし、とくにナイロン製の服は火が付くと一瞬で燃え広がってしまうため、台所などではとくに注意が必要です。マフラーや袖口が広がっている服なども、無意識のうちにコンロの火に触れてしまいかねません。台所は作業場だと考え、『調理をするときには割烹着に着替える』など自分でルールを決めたりして、服装にも注意を払うことが大切です。

また室内以外でも、ポリエステル素材の浴衣で花火をしたり、ナイロン製のダウンジャケットを着てキャンプで火を起こしたりするときには注意。もちろん『着てはいけない』というわけではなく、燃えやすい素材であることをきちんと理解した上で、火を扱うようにしましょう」

どれだけ気を付けていても、100%起こらないとは言い切れない住宅火災。もしも自宅で出火してしまったときにはどうすればいい? 次のページで、対処法や常備しておくグッズなどを解説していただきます。