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乾燥する冬は要注意!日常に潜む
「火災」のリスクと日頃の対策

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万が一、火災を起こしてしまったら?

どれだけ気を付けていても、100%起こらないとは言い切れない住宅火災。そのため、万が一自宅で出火してしまったときにはどうすればいいのかを知っておくことも必要です。おすすめの防災グッズとあわせて、岡部さんに教えていただきました。

「まず知っておいてもらいたいのが、自宅で火災が起こったときには、パニックになってしまう可能性が高いということ。火災のような災害や大きな事故などを目の当たりにしたときに思考力や判断力を失ってしまうことは、『凍り付き症候群』と呼ばれています。対策するのはなかなか難しいですが、『自宅で突然火が上がったらパニックになるかも』という心構えをもっておくことがまずは大切です。

そして、消火するときのアイテムとしてまず思い浮かぶのは消火器だと思います。しかし個人的にはあまりおすすめできません。なぜなら、消火器の扱いは慣れていない人にとっては難しく、その上パニック状態の中で使うのはさらにハードルが高いからです。そこでおすすめなのがワンアクションで簡単に初期消火ができるグッズ。さまざまな種類のものが販売されているので、用途に合わせて備えておくと良いと思います。ただし火災には下記の3種類があり、火災のタイプによって使える消火剤が異なるので、購入前に必ずチェックしておきましょう」

・普通火災(A火災)=木材、紙、繊維などが燃える火災
・油火災(B火災)=ガソリン、灯油、天ぷら油などが燃える火災
・電気火災(C火災)=通電中のコンセントが燃える火災

・火元に投げる消火用具「消える魔球」

メディプラン「消える魔球」
2,000円(税抜)
適応火災:普通火災、油火災(ただし天ぷら油火災は使用NG)

「火元に向かって投げるタイプの消火用具です。野球の硬式ボールと同じ大きさで約230gと軽いため、扱いやすいのも特徴。各部屋に備えておくと良いと思います。ただし天ぷら油火災には使用できないので注意! 使えるのは初期消火のみですが、炎が広がった時に足元の火を消して、逃げ道を確保するなどの使い方もできます」

・天ぷら油火災の消火に役立つ「火の用心棒」「消せる魔法の杖」

メディプラン「天ぷら油火災用 初期消火用具『火の用心棒』『消せる魔法の杖』」
各1,000円(税抜)
適応火災:天ぷら油火災

※どちらも用途・薬剤・容量は同じで、パッケージの素材のみ異なります。

「こちらは天ぷら油の火災のみに使える消火剤です。使い方も簡単で、燃えている鍋の中に袋のままそっと入れるだけでOK。台所に備えておくと良いでしょう」

「そのほか、片手で使える消火スプレーなどもおすすめです。ただしこれらが有効なのはあくまでも初期消火の段階。炎が天井くらいまで上がってしまったら、身を守るために諦めて避難しましょう。また、せっかく用意した消火剤も、取り出しにくい場所に置いてしまったら意味がありません。買って終わりではなく、設置場所をよく考えることも重要です」

最後に岡部さんはこう話してくださいました。「技術の進歩により、火災に対する備え方が変わってきています。昔から言われている防災の方法や古い情報にとらわれず、まずは『今、自分の家ではどのようなことに気を付けるべきなのか』を知ることが大切です。それから、日常生活の中で少し意識を変えたり、最新のグッズを活用したりしながら、火災を起こさないためにできることを始めてみましょう」

Profile

防災アドバイザー・防災士 / 岡部梨恵子

合同会社 BOUSAI LIFE MAP代表。防災士、ファイナンシャルプランナー、整理収納アドバイザーなど、多様な資格を活かして、防災グッズや備蓄品、被災後の食やお金の知識に関するセミナーや講演会を開催。メディアへの出演も多数。
HP

取材・文=土居りさ子(Playce)