女性にとって永遠のテーマともいえる“美容”。年齢を重ねてお肌の悩みが深刻化する前に、早めにケアすることが大切です。とくにいまスキンケアの世界で注目なのが「朝ビタ夜レチ」というキーワード。人気の美容成分「ビタミンC」と「レチノール」を活用したスキンケアのことで、手頃な価格で人気の無印良品から高濃度配合製品が登場したことで話題となっています。
健康できれいなお肌作りは毎日のスキンケアから。ということで、今さら聞けないスキンケアの新常識「朝ビタ夜レチ」について、美容皮膚科医の本多釈人(ほんだおくと)先生に教えていただきました。おすすめの最新スキンケアとともに紹介します。
「朝ビタ夜レチ」って?
昨今耳にするようになった「朝ビタ夜レチ」。これはどういったスキンケア法なのでしょうか?
「朝にビタミンCを、そして夜にレチノールを肌に与えるスキンケア法のことです。とはいえ、朝にビタミンC、夜にレチノール“だけ”を使いましょう、というわけではありません。本来は、どちらも朝にも夜にも使えればお肌には良いものです。ですが最近は、どちらも“高濃度”で配合されている製品が増えており、高濃度のビタミンCと高濃度のレチノールを同時に使うと、お肌への刺激が強すぎるため、朝と夜で使い分けるのが主流になっています」(美容皮膚科医・本多釈人、以下同じ)
そもそも、ビタミンCとレチノールは、それぞれどういった効果をお肌に与えてくれるのでしょうか?
◾️ 朝ビタ=ビタミンC
「ビタミンCは“美肌の王様”と言われていて、お肌に良い作用をたくさんもたらす成分です。代表的なのは、抗酸化作用やメラニン色素の抑制、コラーゲン生成の促進、皮脂分泌の抑制など。シミ、くすみ、シワ、たるみなど、気にしている方が多いお肌悩みをひと通りケアできる成分とも言えます」
なかでも注目したいのは、抗酸化作用。
「お肌は、紫外線を浴びると酸化して炎症が起き、メラニンができてシミになります。その酸化を防いでくれるのが、抗酸化作用のあるビタミンCです」
◾️ 夜レチ=レチノール
「レチノールはビタミンAの一種で、シワの改善を期待できる成分が含まれています。レチノール自体はいろいろなスキンケア製品に入っていますが、高濃度でなければシワ改善効果はあまり期待できません。また、肌への刺激が強い成分なので、はじめて使う場合は毎日ではなく数日置きに使う、もしくは少量に抑えるなどする必要があります。お肌が慣れてきたら徐々に使用頻度や量を増やすのがおすすめです」
朝・夜で使い分ける理由は?
それぞれの美容効果がわかったところで、もう少し具体的に朝と夜の使い分けが必要な理由をみていきましょう。また、なぜビタミンCは朝で、レチノールが夜なのかもうかがいました。
・高濃度同士のかけあわせが刺激に
「どんな成分でも、高濃度になればなるほど、お肌への刺激は増えてしまいます。ピリつきを感じたり、ひどい場合には、赤みが出たり痒くなったりしてしまうことも。そのため、高濃度と高濃度を掛け合わせるのはあまりよろしくありません。1度のスキンケアで取り入れる美容成分は1種類に留めるのが基本。もしどうしても一度に複数の成分を取り入れたい場合は、複数の成分が1本にまとまっている製品を使うのがおすすめです」
・紫外線に対する特性が決め手
「ピュアレチノールは紫外線に当たると分解されて効果がなくなってしまうので、日中よりも夜に使うのが主流になっています。その一方で、お肌の酸化を防いでくれるビタミンCは、紫外線を浴びる前に塗るのが効果的。この2つの理由から、朝はビタミンC、夜はレチノールを取り入れたスキンケア習慣が定着してきています」
スキンケア化粧品選びのポイントと注意点
スキンケア製品の成分についてくわしく理解するのは、なかなか難しいもの。でも、日本の製品にはわかりやすく作られているものがたくさんあるそう。
「日本の製品は、パッケージにニキビ、乾燥、シミ、シワ、毛穴、くすみ、赤み、たるみといったお悩みキーワードや、アンチエイジングといった得られる効果が、記載されているものが多いので、それらを目印に選ぶのがおすすめです。また、よほど成分が強いものでない限り、日本の製品は万人が安全に使えるような成分量のものが一般的です。それに対し、海外の製品は少し注意が必要。海外の製品が悪いというわけではありませんが、薬事法により成分表記の仕方が日本の製品とは異なるので誤解しやすいことがあるということを理解しておきましょう」
また、化粧品の情報をSNSなどから得る際にも注意が必要です。
「 “流行っているもの”=“自分に合うスキンケア”ではないということを忘れないでください。
もちろん、流行っているものには流行っているなりに優れている理由があります。ですが製品を紹介している人の肌には合っても自分の肌には合わない、ということもあるので、情報を鵜呑みにしすぎないことが重要です」
医師おすすめの美容液 4選
「朝ビタ夜レチ」を取り入れるときの注意点までわかったところで、本多先生がおすすめする美容液を紹介します。
・無印良品
お手頃価格で万人におすすめ
肌の悩みに応じて選べるスキンケア
2024年6月に発売された、無印良品の「高濃度スキンケアシリーズ」。ビタミンC誘導体やレチノール誘導体、セラミドといった、今注目の成分を高配合(※)した美容液が揃うシリーズです。SNSなどでは、「低価格なのに優秀な美容液」として大きな話題となっています。
※高濃度・高配合=無印良品の商品との比較
保湿成分としてビタミンC誘導体を高配合(※)。毛穴やキメが気になる肌にうるおいを与え、透明感のあるなめらかな肌に導きます。
「高濃度美容液ビタミンC誘導体配合」30ml 2,290円(税込)
保湿成分としてレチノール誘導体を高配合(※)。乾燥などのエイジングサインが気になる肌に、ハリと弾力を与えます。
「高濃度美容液レチノール誘導体配合」30ml 2,290円(税込)
保湿成分としてセラミドを高配合(※)。乾燥や肌荒れが気になる肌にうるおいを与え、透明感のある肌に導きます。
「高濃度美容液セラミド配合」30ml 2,290円(税込)
問い合わせ=無印良品 銀座 03-3538-1311
・エリクシール
本格的な夜レチを体感するならコレ
日本で唯一、シワを改善する純粋レチノール
資生堂が展開するエイジングケアブランド「エリクシール」の「レチノパワー リンクルクリーム」。2017年の誕生以来、数々のコスメランキングで殿堂入りしています。レチノール類において日本で唯一、シワ改善効果が認められた薬用有効成分「純粋レチノール」を配合した商品です。
このリンクルクリームが、2023年9月に9年ぶりのリニューアル。純粋レチノールを取り入れることで肌自らヒアルロン酸を生み出し、水分量を増やすことで柔軟な肌へ導きます。
「レチノパワー リンクルクリーム L」22g 8,690円(税込)
「レチノパワー リンクルクリーム S」15g 6,490円(税込)
問い合わせ=エリクシール(エリクシールお客さま窓口)0120-770-933
・エンビロン
オクト先生も長年愛用のC-クエンスシリーズをはじめ
エイジングケアに特化した製品が揃う
「エンビロン」は、サンケア先進国の南アフリカ共和国で誕生したドクターズコスメです。現在は世界70ヵ国以上で愛用され、日本国内でも多くのクリニックやサロンなどで取り扱いがあります。ビタミンAが配合されている製品には、独自の「ステップアップシステム」が採用されていて、肌の状態にあわせて濃度を選べるようになっています。
高浸透のビタミンCが高濃度に配合されたクリーム美容液。くすみ、つや不足、乾燥によるカサつきが気になる方におすすめです。
「C-ブーストクリーム」25ml 6,930円(税込)
リニューアルしてパワーアップした上級者向け美容液。レチノールをはじめとする3種類のビタミンAを高濃度に配合しています。
「A-ブーストセラム」30ml 10,450円(税込)
「A-ブーストセラムインテンス」30ml 11,550円(税込)
プロピオン酸レチノールなどのレチノール誘導体(※)やペプチドなど、多彩な美容成分を贅沢に配合した1本。夜だけでなく、朝も使用できるセラムです。
「C-クエンスセラム」135ml 18,040円(税込)
※レチノール誘導体とは…
レチノールに別の物質を組み合わせて安定化させたもので、肌の中でレチノールに変換される。パルミチン酸レチノールなど、種類によっては紫外線から皮膚を保護する働きを持ち、朝晩使用することができる。
問い合わせ=エンビロン(プロンティア・ジャパン)
・クオリティファースト
価格以上に期待できる高濃度成分
最高コスパの身近なスキンケア
種類豊富なシートマスクで有名な「クオリティファースト」。手に取りやすい価格帯で、全国のドラッグストアで購入できます。さらっとしたテクスチャーでベタつきが少なく、伸びが良いので、美容液初心者の方にもおすすめです。
レーザー美容発想の集中ケアシリーズ「ダーマレーザー」のエイジングケア美容液。シリーズ最高濃度のレチノールをナノカプセルに配合した美容液です。
「ダーマレーザー* ウルセラR」30ml 2,200円(税込)
シリーズ最高峰の毛穴ケア美容液。4種の高濃度ビタミンCとナイアシンアミド25%を配合。全方位の毛穴悩みに対応した、集中毛穴美容液です。
「ダーマレーザー* ウルセラC」30ml 2,200円(税込)
問い合わせ=クオリティファースト
「大切なのは日々お肌と会話をすること」
日々お肌の観察をすることが、美肌習慣の第一歩。
「お肌は、年齢はもちろん、季節や体調によっても変わります。その変化にできるだけ早く気がつくためにも、お肌を触って状態をチェックする習慣を付けましょう。余裕があれば、額やあごなど、お顔の部位別にチェックをしてあげるのがベスト。そうやって今の肌の状態をしっかり認識して、それに合うスキンケア製品を選ぶことが大切です。
お肌のターンオーバーは通常28~30日周期と言われているので、新しいスキンケアを使うときはとりあえず約1ヵ月試してみてから評価をするのがオススメ。とはいえ、赤みや痒みが出るなど、お肌に異常が現れた場合はすぐに使用を中止することも忘れずに」
人のお肌も十人十色。相性を見極めるのが、憧れ美肌への近道です。
「化粧品は、自分との相性はもちろん、季節や体調などそのときの“状態”との相性、さらにはメイク用品や日焼け止めなどとの相性もあります。そういったことを日々研究していくことが重要です。大切なのは日々お肌と会話をすること。そうして自分自身に合った製品を見つけて、美肌習慣を見つけてください」
Profile
美容皮膚科医 / 本多釈人(ほんだ・おくと)
日々進歩する美容医療の世界で、一人一人の美の価値観に寄り添った医療を提案。産婦人科医・ドラァグクイーンとしての経験も活かし、女性の悩みを解決するお手伝いを行っている。肌や美容についての話を、メンズという立場から面白く楽しく発信するためにYouTubeも配信中。現在はアンジークリニックと表参道スキンクリニックに勤務している。
「Dr.オクト」
「ANGIE | アンジークリニック」
「表参道スキンクリニック」
取材・文=鈴木まゆ 撮影=鈴木謙介