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丁寧に暮らしている暇はないけれど、自分らしく暮らしたい。“暮らしの編集者”が見た、
シンデレラガールの17㎡堅実暮らし

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現在、大学3年生。卒業後もモデルの仕事を続けていくのか聞いてみました。「一応、人前に出る業界にはいたいですね。だから、就職はせずにアルバイトでもしながら続けたいなと思っています」。

「人前に出る仕事」ってどんな仕事? とさらに聞いてみました。すると……。「女優さんとか、歌を歌うのも好きだから歌手とか……。最近、YouTubeなどで発信も始めようかなと思っているんです。ギターもこれからやってみようと思っていて……。今はSNSのフォロワーさんを増やそうと頑張っています。写真を丁寧に1枚1枚撮って、角度とかにもこだわって……。ヘアメイクもすべて自分でやるので、上京してから少しずつ上手になったかな。お金がかかるから、もらいもののメイクグッズとかでやっています(笑)。私より女子力が高い女の子が周りにいっぱいいるので、友達から教えてもらうことも多いですね」

(上)引き出しにはコスメがぎっしり! (下)これがいつも使っている一軍のラインナップ。
(上)引き出しにはコスメがぎっしり! (下)これがいつも使っている一軍のラインナップ。

コスメはもちろん洋服も、人の目に触れるからこそ、新たに買い足したりと、自分への投資にもお金がかかります。「でも、私はそういう機会でもないと、服を買いに行かないから逆に助かっていますね。それがおしゃれの実力をあげるレッスンって感じかなあ」と雪さん。家賃はご両親に出してもらい、今まで仕送りもしてもらってきましたが、今年20歳になったのを機に、金額を少し減らしたそう。

たくさん稼ぎたい!っていう気持ちはあるの?と聞いてみると。「今まではなかったですね。だからあまりお金に貪欲じゃなかったんです。でも、最近はやりたいことが増えてきたから、もうちょっと働いて稼ぎたいなって思っています」。

棚のなかには、ショーケースのようにイヤリングが並びます。ピアスの穴は開けていないのだとか。

棚のなかには、ショーケースのようにイヤリングが並びます。ピアスの穴は開けていないのだとか。

最近では、もう少し広い家に引っ越したくなっているそう。「友人が、一人暮らしを始めたんですが、ちょっと都心からは離れているんですけど、家賃がうちと同じぐらいなのに、ここより2~3倍の広さなんです。そうしたらお部屋が本当に可愛くて! しかもキッチンも広くてコンロが2~3口あって、クローゼットも大きくて。いいな〜って思ったんです」料理が好きという雪さん。しっかりと自炊をし、友達が遊びにくれば料理をしてもてなすそう。「カレー作ったり、定番の煮物を作ったり。ちょっと張り切るとローストビーフを作ったことも。祖母が料理をする人だったので、知らず知らずに覚えたのかな」。

暮らしもちゃんと楽しみたいし、音楽もやりたいし、モデルも続けたい……。雪さんの「これから」は、まだまだ真っ白で、そこにどんな絵を描いていかれるのかが楽しみです。「そんなふうに思うようになったのは、最近になってからですね。今までは、失敗するのが怖くて、やらないことが多かったので。もう大学3年生になったし、周りのともだちたちはもうみんな就活を考えているんですよね。でも、私は就職する気がまったくないから、何か別のことをやらなくちゃ、と思っていて……。それには、言われる仕事ばかりをやっていても、今までと何にも変わらないので、今、自分からいろんな人に声をかけて、新しいことをやってみようと考えているんです」。

今は知り合いのディレクターと一緒にYouTube用の動画を撮り始めているそう。「おしゃれなカフェを紹介してみたり、日常的な私の暮らしの風景を撮って、まずは私のことを知ってもらおうと思っています。アイドルに憧れてはいるけれど、今できることから、かな」。

これから何者になるか……。雪さんの考え方はとても自由でした。どんな会社に就職するかとか、どんな仕事をするか、とかそんな「外側」を先に決めて、自分をそれに合わせていくのではなく、まずは自分のまんまで、歩き出してみる。そして何かに出会った時に、そこで学び、考え、少しずつ自分を変えていく。そんな柔軟性こそ「イマドキ」の歩み方なのでしょうか?

ベッドの横には、フィルムカメラで撮影した彼の写真がレイアウトされています。落ち着けるスポット。
ベッドの横には、フィルムカメラで撮影した彼の写真がレイアウトされています。落ち着けるスポット。

不安になったりすることはない? と聞いてみると……。「あります、あります。いっつも不安です」と雪さん。そんな時には大学の友達などに相談にのってもらうそう。「仕事では、人とつながるのが上手い人っていうか、人脈が広い人が、選ばれるんですよね。私が今こうしていられるのも、いろいろな人が紹介してくれたから。自分で努力して頑張って、何かを掴み取る! ということもあるかもしれないけれど、私の場合は、頑張っていれば運が巡ってくるのかなと思っています」。

今、1歳年上の彼氏がいるという雪さん。「彼には、もう少し自由に生きなよ、って言われるんです。たとえばアルバイトでも、誰かが予定ができて出られなくなったら、『じゃあ、私が代わりに出るよ』ってすぐ言っちゃう……。それはそれでいいんだけど、本当は出たくない日だってある……。だったら『出なくない』って言っちゃってもいいんじゃない? って。彼に出会ってから、もう少し自分を大切にしてあげようと思うようになりました」。

最近では、毎日日記を書いているそう。「携帯電話の日記のアプリがあって、そこに気ままに書いています。あと手帳も買ったので、そのカレンダーにも日記風なメモを書いていますね。書くと、自分のことを冷静にみられるし、『私、ちゃんと何かができている』って思えるんです。放っておくと、つい『自分はなんにもできていない』ってネガティブに思っちゃうけれど、手帳に書いているだけで、『あ! 今、私ちゃんと振り返りができているんだって思えて落ち着けるんです』。

予定は紙の手帳に、日記は「寝る前5分間日記帳」がコンセプトのアプリ「My日記」で。
予定は紙の手帳に、日記は「寝る前5分間日記帳」がコンセプトのアプリ「My日記」で。

「私、ネガティブだから」と何度も言っていた雪さん。でも、大学に通い、モデルの仕事をし、アルバイトをして……。そんな日々の楽しそうなこと! その姿を見ていると、「ネガティブだっていいじゃん!」と思えてきました。いろんな人に出会い、新しいことを知り、ネガティブをどんどんポジティブにひっくり返していけばいいだけ。今、雪さんは驚くほどのスピードで、明るく、強く、美しく、進化しているよう。

じっくり考え、慎重に選び、未来に備えるのではなく、やってくるものに鋭敏に反応し、照らされた光によって自分の輝きを変え、どんどん脱皮を続ける……。入射角を浅く、反射神経を鋭く。イマドキの進化の方法を私もちょっと真似してみたくなりました。

 

Column / 一田さんの暮らしのひと手間

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我が家のキッチンは、築50年の平屋の昔ながらの台所です。ここに「イケア」で買ったキッチンワゴンを組み合わせ、ジップロックコンテナから根菜類まで、必要なものをしまっています。

いつもきれいにしておきたいけれど、仕事がたてこんでくるとそんな暇はありません。そこでいちばん大事にしたのが、「汚れても、復活できるキッチン」にすること。調理道具や保存容器は、ステンレスかガラス製を選びました。プラスチックは、油汚れやホコリがつくと、どんどん汚くなっていきます。でも、ガラスやステンレスなら、お湯でぎゅっと絞ったふきんでふけばたちまちすっきり。

素っ気ないほどシンプルですが、多少掃除をサボっても安心! そんなおおらかさが気に入っています。

 

Profile

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編集者・ライター / 一田憲子

1964年京都府生まれ、兵庫県育ち。OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーランスとして女性誌、単行本の執筆などで活躍。企画から編集を手がける暮らしの情報誌『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社刊)は、独自の切り口と温かみのあるインタビューで多くのファンを獲得。日々の気づきからビジネスピープルへのインタビューまで、生きるヒントを届ける自身のサイト『外の音、内の香(そとのね、うちのか)』も主宰。
http://ichidanoriko.com/

モデル・インフルエンサー / 雪 七美

1999年新潟県生まれ、新潟県育ち。高校時代サロンモデルをしていた新潟の美容室の紹介で、雑誌merの読者スナップに掲載されたことをきっかけに、モデルオーディションを受ける。大学入学のため上京すると同時に、モデル・インフルエンサーの活動をスタート。さまざまな夢を追い邁進している大学3年生。
mer https://mer-web.jp/tag/yukinanami/
Instagram https://www.instagram.com/nanami_110v017/

撮影=真名子