夏にかけておいしさが増していくヤリイカは、和食にも洋食にも合う使い勝手のいい魚介。「イカは捨てるところがない」と言われ、すべてをおいしくいただけますから、さばき方をマスターしておくと、料理の幅も広がります。
今回は、ホテルオークラやロブションを経て、ビストロ「Grand Arbre(ゴンアルブル)」でシェフを務めるモナコ育ちの小寺 優さんに、イカの正しいさばき方とおいしい食べ方を教えていただきます。
イカを選ぶときは「目の色」をチェック!
魚介類は、鮮度の良さが料理のおいしさに直結します。新鮮なものを選び、購入したらなるべく早く下処理を始めましょう。
「イカを買うときは、目の色を確かめてみてください。膜が張ったように灰色っぽく濁っているものは、釣ってから時間が経ってしまっているもの。目が黒くて濁っていないものは鮮度が良く、ぬめりが少なくてサクサクとした歯切れのよい食感です。墨が出てしまっているものや、体に艶がないものも避けましょう」(Grand Arbre・シェフ/小寺 優さん、以下同)
ほぼ捨てる部位なし! イカのさばき方
それではヤリイカを使って、イカのさばき方を教えていただきましょう。今回はヤリイカを使いましたが、スルメイカでも同じようにさばくことができます。また、刺身にするときや、皮の食感を残したくないときには皮をむきますが、今回は皮つきのまま調理します。
1. 胴の中に指を入れてゲソを外す
イカの胴の中に指を差し込んでワタを持ち、捻るようにして胴とゲソ(足の部分)を外します。「ワタが切れてしまわないよう、力をかけながらもゆっくり引っ張りましょう」
2. 胴の中の軟骨を外す
胴の中に細長い軟骨がついているので、引っ張って外します。「この軟骨は食べられないので、捨ててしまいます。ここまで終わったら、胴は中をよく洗っておきましょう」
3.ゲソから軟骨を外す
続いて、ゲソの方を処理していきましょう。片手でゲソをしっかりと持って目元を押さえ、もう片方の手で、軟骨を引っ張って剥がします。「目玉とワタの間を触ると硬い部分があるので、そこが軟骨です。ワタの方に向かって引くと、するっと取れますよ」
4. くちばしを外す
今度は、軟骨がついていたところの裏側にある、水を出すくちばしを取ります。「こちらもくちばしをつまんで引っ張ると、簡単に外れますよ」
5. ゲソからワタと墨袋を取る
ゲソからワタを引き剥がし、今度はワタについている墨袋をそっと持って、引っ張って取ります。墨袋が破けてしまうと、汚れたり料理に使えなくなってしまったりするので、丁寧に外しましょう。「墨袋はイカスミパスタにも使えます。とても小さく見えますが、1杯分の墨袋で2人前のパスタを作れるんですよ」
6. ゲソから目を取り除く
目玉の根元に包丁の刃を入れて、両目をそぎ取るように落としていきます。「目玉が潰れてしまうことがあるので、ボウルなどを用意しておき、その上で取るといいでしょう」
7. ゲソから口を外す
足を放射線状にひらいたところに口があるので、指で押し出すようにして包丁で切り取ります。「口は、足の間に埋もれているので、強く押し出してみてください。イカ一杯から口はひとつしか取れないのですが、唐揚げにするとおいしいんですよ」
8. 下処理の完了
左上が胴、その右下にあるものがいちばん最後に取った口、その下がゲソ。右側のいちばん上はくちばしで、中央が軟骨、右下はワタです。「くちばしや軟骨は揚げ物にするのがオススメ。コリコリとした食感がおいしいので、捨てないでください。ワタは、袋を破かずに塩をしてお酒に漬け込んで裏ごしし、胴やゲソと混ぜると塩辛になります」
イカがきれいにさばけたところで、おいしいいただき方を引き続き小寺シェフに教えていただきましょう。キリっと冷えたワインに合う、南仏風のおつまみです。