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スイーツ全体の傾向を反映。スイーツなかのさんによる、
「クリスマスケーキ」の最新トレンド解説

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バスクチーズケーキにマリトッツォと、スイーツのトレンドは移り変わっていきますが、その傾向はクリスマスケーキにも。では、最新事情は? さまざまなメディアで活躍するスイーツ芸人、スイーツなかのさんに、近年、そして2022年のクリスマスケーキのトレンドを聞きました。

小型化とフォトジェニック化が顕著に

大前提として、「その年のスイーツトレンドがクリスマスケーキに反映される傾向がある」となかのさんは言います。例を挙げて教えてくれました。

“第四のチョコレート”として業界を驚かせた、ルビーチョコレートの発売は2018年(発表は2017年)。この年はルビーチョコレートを使ったクリスマスケーキが多かったですし、バスクチーズケーキが一世を風靡した2019年は、チーズタイプのクリスマスケーキが増えました」(スイーツなかのさん、以下同)

「ルビーカカオを原料とする、ピンク色のチョコレートがルビーチョコレートです」となかのさん。

なかのさんによると、年々存在感を増している素材がピスタチオ。もともと定番ではあったものの、近年はプチブレイクしていてクリスマスケーキにも多用されていると言います。また、長期的なトレンドでは、社会の変化がクリスマスケーキにも影響を及ぼしているとか。

「ひとつは小型化。これは家族形態の変化や少子化、おひとり様の増加、数種類を少しずつ食べたいというニーズが増えたことなどが関係しています。ほかには、お取り寄せグルメの浸透によって、クリスマスケーキを手掛けるプレイヤーが増え、バラエティ豊かになったことも挙げられます。とくに2020年以降はコロナ禍によって、お取り寄せスイーツが急増しました。あとは映えのトレンド。『インスタ映え』が流行語大賞に選ばれたのは2017年ですが、SNSもより進化していますし、年々華美になっていると感じますね」

フォトジェニック化が進む一方、クラシカルなスイーツにも脚光が当たっているとなかのさん。近年のカヌレドーナツブームは、定番スイーツのリバイバルといえる現象。ケーキでいえば、いちごのミルフィーユであるナポレオンパイに注目しているとのこと。

「定番スイーツのリバイバルには、古典喫茶のプリンアラモードやクリームソーダが注目されるなど、レトロ回帰のトレンドも関係していると思います。なかでもナポレオンパイは、いちごをふんだんに使ったラグジュアリーなルックスも魅力。専門店を新規オープンする動きも見られますし、目が離せないスイーツといえるでしょう」

余談ですが、なかのさんのアイコンであるパンケーキハット。上から見せてもらうと……上にもフルーツがぎっしり!

2022年の最新トレンドはエンタメ感の最大化

では、2022年のクリスマスケーキにおけるトレンドは? そこで、ケーキとスイーツの専門通販サイト「Cake.jp」の代表的な最新商品を例に、特徴を教えていただきましょう。

1.“映え”重視の豪華ケーキ

アルノー・ラエール パリ「Bonnet de premier(ボネ・ド・プルミエ)」1万4000円(税込)

フォトジェニック化については前述しましたが、ただ映えるだけでなく、斬新かつ繊細なデザインの高級ケーキに人気が集まっているのがひとつの傾向。なかのさんは、「高級品種を使ったスイーツも、ここ最近でとくに増えたと感じます」と言います。

「品種は、いちごなら『あまおう』や『とちおとめ』、ぶどうなら『シャインマスカット』など。街のパティスリーやホテル以外のコンビニスイーツなどでも、こうした高級フルーツを使ったケーキを見る機会が増えました。スイーツの芸術性を高めた存在としては、今年『アジアの最優秀女性シェフ賞』に輝いた『été(エテ)』の庄司夏子さんが革命を起こしたと思います」

2.動画映えするケーキ

blanctigre~due~(ブランティーグル~ドゥ~)「お菓子が飛び出す!ギミッククリスマスショートケーキ 5号」6500円(税込)
※オーナメントが写真のものとは変更されています。

“映え”を求めるムーブメントは、フォトジェニックからムービージェニック(動画映え)へ。「TikTok」を筆頭に動画のSNSが台頭するなか、動きを楽しめるクリスマスケーキの人気が高まっているのだとか。

「『Cake.jp』では、カットすると中から粒状のチョコレートが出てくるケーキが注目されています。クラシカルなスイーツではフォンダンショコラが近しい特徴を持っていますが、こうしたサプライズ感のあるスイーツは、SNSでの発信はもちろん、パーティーを盛り上げる意味でも重宝されているんでしょうね」

3.ひと手間かけるラストワンマイルケーキ

Milkymoco「くまちゃんサンタのセンイルケーキ」6792円(税込)

パティスリーラヴィアンレーヴ「みんなで飾ろう!ピスタチオクリームのクリスマスツリーケーキ」4500円(税込)

動画映えケーキに関連するトレンドが、仕上げのデコレーションを楽しめるケーキ。付属の粉砂糖を粉雪に見立てて振りかけたり、オーナメントの形をしたトッピングでクリスマスツリーのように飾ったり。こうした商品も「Cake.jp」では脚光を浴びているといいます。

「ケーキにプラスするエンタメ要素といえば、昔はロウソクやケーキ用花火が定番でしたが、作り手の工夫は進化しています。とくにこちらは、数人で一緒に楽しむ要素が強いですよね。その点、小さいお子さんがいるファミリーに重宝されるのではないかと。前述した動きがあるスイーツもしかりですが、遊び心をもったクリスマスケーキは、今後より増えていくと思います」

4.個食に対応するミニサイズケーキ

Cake.jp ORIGINAL「10 Mineets White Christmas Cake」3800円(税込)(左)

最後はミニサイズのクリスマスケーキ。こちらは家族形態の変化おひとりさま需要だけでなく、嗜好の多様化も関係しています。たとえば、家族のなかでも好みが分かれる場合、小さなケーキのアソートタイプを選ぶことで個々のニーズにフィット。また、ひとりで数種のケーキを楽しみたいという需要にも、ミニサイズのアソートはマッチしています。

ホールケーキは小型化が進んでおり、2人用や3人用サイズも近年多く見かけるようになりました。クリスマスには大きなホールサイズの代わりに、こうした小型のケーキを2つ以上買うというケースも少なくありません。また1人用は昔からありましたが、小型のスイーツ数個をアソートにしたタイプは増加傾向にあります。嗜好に合わせてスイーツも多様化し、バラエティー豊かになったことを感じますね」

Cake.jpにはほかにも、会話がはずみそうな楽しいクリスマスケーキがたくさん。

2022年を象徴するスイーツは「生ドーナツ」!

最後に、クリスマスとは別に2022年を象徴するスイーツと、イチオシのスイーツ店を教えていただきました。

「トレンドでいえば、やはり『生ドーナツ』でしょうね。福岡発のベーカリー『アマムダコタン』とその姉妹店『アイムドーナツ』が火付け役です。前者は2021年10月に東京進出。後者は1号店を2022年3月に中目黒へ、5月に2号店を渋谷へオープンし、どこも大行列の人気店となりました」

そして、なかのさんが2022年オープンでもっとも印象的だった新店は、1月に開業した東小金井の「パティスリー ブーランジェリー アルタナティブ」だそう。

「こちらは保谷『アルカション』のスーシェフを経て、自由が丘の『パリ・セヴェイユ』など名パティスリーを渡り歩いた方の独立店です。渡仏経験もあり、本場仕込みの力強い焼き加減や味わいといった、フランス伝統菓子の良さを感じられ、そこにシェフの独創性あふれるセンスがプラス。都心からやや離れた東小金井にあって、開店前から行列ができるうえに閉店時間前に完売することも珍しくないという、実力派のニューフェイスです。行くなら午前中がオススメですよ」

クリスマスケーキを中心に、さまざまなスイーツトレンドを紹介しました。人気の商品は本番数日前に予約が終了してしまうこともあるので、早めにチェックすることをおすすめします。ぜひ思い出に残るクリスマスパーティーを楽しんでください。

Profile

スイーツ芸人 / スイーツなかの

東京都立川市生まれ。早稲田大学卒業後に芸人の道へ進み、子どもの頃から好きだったお菓子を独学で勉強。特注のパンケーキハットをトレードマークに、唯一無二のスイーツ芸人として活動をはじめる。老舗からコンビニまで多ジャンルの和洋菓子を1万種類以上食べ歩き、その確かな知識で多数メディアに出演。イベントの企画や商品監修なども行う。合言葉は「よろスィーツ!」
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取材・文=中山秀明 撮影=真名子