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おいしさも栄養価も段違い!疲労回復・風邪予防に食べたい
「寒しじみ」のレシピ

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しじみは通年出回る食材ですが、夏と冬の2回、旬が訪れます。なかでも1〜2月に旬を迎える「寒しじみ」は、厳しい寒さを越すために栄養をたっぷりと蓄え、おいしさも格別。

この寒しじみの旨みと栄養を活かしたレシピを、食材のおいしさを引き出す料理が得意な料理家、松島由恵さんに教えていただきました。

貧血予防、不足しがちなカルシウム摂取にも
しじみの栄養とは?

しじみには、たんぱく質、ビタミンB12、鉄、銅、亜鉛、カルシウムなど豊富な栄養素が含まれており、良質なたんぱく源。また、ビタミンB12、鉄、銅など、血液を作るのに役立つ栄養素も多いので、貧血予防にも役立ちます。さらに、日本人に不足しがちなカルシウムは、牛乳の約2倍なのだとか!

「しじみは、貧血予防やカルシウムの摂取が期待できるため、女性にうってつけの食材ともいえます。しじみは、身が小さいので出汁代わりにして、身を食べないという方も多いかもしれません。しかし、“寒しじみ”は、厳しい冬を超えるために土壌深くまで潜り栄養を蓄え、また寒水にさらされているため身が締まり、この時期ならではのおいしさがあります。おいしさと豊富な栄養を摂取するためにも、ぜひ身も残さず食べましょう」(料理家・松島由恵さん、以下同)

疲労回復、風邪予防にも。
オルニチン含有量はトップクラス

さらにしじみは、肝臓の疲労を回復させる「オルニチン」の含有量がトップクラスです。代謝を司る肝臓が回復すると、全身疲労の回復にも役立つうえ、免疫を高める効果もあるため、しじみ料理は冬の風邪予防にもぴったりなのです。さらに、しじみを冷凍することでオルニチンが8倍に増えるという研究結果があります(※日本食品科学工学会誌「しじみの冷凍処理によるエキス成分の変化」より)。

「年の始まりに食べすぎや飲みすぎで疲れた肝臓を元気にし、免疫を高めてくれる寒しじみは、この時期に適した食材です。しじみは砂出しをした後、冷凍保存できます。また、冷凍することでしじみの細胞壁が壊れ、旨み成分が流出するため、おいしさもアップ! しじみがたくさん手に入ったときには、砂抜きし、まとめて冷凍しておくとよいでしょう」

実はとても簡単!
しじみの下ごしらえと保存方法

しじみをまとめて砂抜きして冷凍すれば、冷凍あさりと同じように、味噌汁に、スパゲッティの具に、と使い勝手のよい食材に早変わり。ぜひ、試してみましょう。

1.砂抜きする

「生きたしじみを購入したら、すぐに砂抜きをしましょう。しじみの砂抜きは、とても簡単です。しじみを重ならないようバッドに並べ、5%の食塩水(水100mlに対して塩5g)につけておくだけ。新聞紙やザルをかぶせて、冬場は常温、夏場は冷蔵庫に入れ、5〜6時間ほど待つとよいでしょう。しじみ同士が重なると、しじみが吐き出した砂をほかのしじみが吸ってしまう可能性があるため、重ならないように並べるのがポイントです」

2.貝表面の汚れやぬめりを洗う

「砂抜きが終わったら、塩水を切り、貝の表面の汚れやぬめりを取るように貝同士をすり合わせて洗いましょう」

3.冷蔵保存は、保存容器に入れ1〜2日。冷凍保存は、保存袋に入れ2〜3週間

「冷蔵保存する場合は、容器にしじみを入れ呼吸ができるようふんわりとラップをかけます。2日ほど保存が可能ですが、鮮度が落ちていくため、なるべく早めに食べるようにしましょう。すぐに食べきれない場合は、冷凍保存がおすすめです。2〜3週間ほど保存できます。しじみの水気をキッチンペーパーなどで押さえたあと、保存袋に入れて、空気を抜いて冷凍してください。冷凍後は、解凍せず、そのまま料理に使えるので便利です」

しじみの旨みがたっぷり!
絶品レシピ3

「寒しじみのおいしさは、なんといっても出汁にあります。旨み成分が濃いので、しじみから出た出汁を丸ごと使って調理する料理方法がおすすめです。また、しじみに多く含まれるビタミンB12は、水溶性のビタミンのため、汁に溶け出ます。栄養を逃さず食べるならば、汁ごと食べられるレシピがおすすめ。紹介する3つのレシピは、工程も簡単なので、ぜひ気軽に挑戦してみてください」

しじみそのもののおいしさを味わえる
基本の「しじみ汁」

「寒しじみのおいしさをダイレクトに味わえる、基本のしじみ汁です。昆布としじみで出汁をとり、味付けは塩とお酒のみ。白く透き通ったスープから貝類ならではのおいしさが伝わってくるようです。寒しじみを手に入れたら、最初に作っていただきたい1品です」

【材料(作りやすい分量・約2人分)】

・しじみ(砂抜きしておく)……200g
・昆布……約5×7cm 1枚
・塩……小さじ1/2
・酒……大さじ2
・水……400ml
・三つ葉(無ければ浅葱でもOK)……5〜6本

【作り方】

1.しじみは砂抜きし洗っておく。鍋にしじみと水、昆布を入れて中火にかける。

「昆布の旨みも引きだせるよう、強火ではなく、中火で火をゆっくり通していきます」

2.沸騰したら昆布を取り出し、酒、塩を入れ、アクを取り除く。

「昆布は沸騰すると、昆布のぬめりが出はじめ風味が悪くなってしまうので、ボコボコと沸騰しはじめる前に取り出しましょう」

3.再度沸騰後、しじみの口が開いたら、弱火に落として1〜2分煮て火を止める。器に汁をよそい、3〜4cm幅に切った三つ葉を散らす。

「しじみは水からいれて、じっくりと火を通したほうが旨みがしっかり出ます。身が硬くなる前に火を止めれば、身もプリっとおいしくいただけます。三つ葉は生のまま、シャキシャキっとした食感を楽しみましょう」

しみじみ、上品な味わい!
しょうが香る「しじみの炊き込みごはん」

「しじみの旨みをたっぷり吸ったつややかなごはんです。湯気の立ったごはんに大葉をのせると、大葉の爽やかな香りが広がり食欲をそそります。旨みあるごはんと、キレのある辛味のしょうが、清涼感のある大葉はよく合います。私は、大葉とごまをたっぷりかけて食べるのが大好きです」

【材料(2合分)】

・しじみ(砂抜きしておく)……200g
・米(浸水しておく)……2合
・水……2合分(360ml)
・生姜……1片
・塩……小さじ1
・醤油……大さじ1
・酒……大さじ1
・大葉……3〜4枚
・白ごま……お好みで

【作り方】

1.米は研いで1時間以上水につけておく。しじみは砂抜きし洗っておく。

2.しじみと水を鍋に入れ、中火にかけて沸騰したら、酒、塩、醤油を入れる。しじみの口が開いて1〜2分ほど弱火で煮たら火を止め、バッドなどに移し、しじみの粗熱を取る。

「酒と醤油の風味を活かすため、調味料は沸騰したあとに加えます」

3.浸水させた米をザルにあけ、水を切る。米の水を切っている間に、しじみの粗熱が取れたら身を取りだし、出汁と分けておく。

「浸水後の米はザルにあけ、水をしっかり切ります。削除しじみの身は、身離れがよく簡単に取れます。手で取りにくい場合にはようじを使うと良いでしょう」

4.炊飯器に3の米と出汁を入れる。出汁が炊飯器の2合のメモリまで足りなかったら、水を加える。上に、しじみの身、千切りした生姜をのせ、炊飯する。

「米の水分は、具を入れる前に炊飯器のメモリの分量と合わせてください。足りなかったら水を足します」

5.炊きあがったら、ごはんをほぐしながら、しじみの身と生姜を混ぜ合わせる。大葉を千切りにし、白ごまとお好みの量をかける。

「具が偏ってしまっているので、ごはんをほぐしながら混ぜ合わせます。ごはんをほぐすと余分な水分も抜けるため、艶も出て食感もよくなります。大葉を千切りするときは、何枚か重ねて巻き、厚みを持たせてから切ると切りやすいです」

酸味と濃い出汁がクセになる!
「しじみの酒蒸し和え麺」

「しじみの出汁が、ナンプラーとレモンと合わさることで、“酸っぱ辛い”エスニックな味わいに。レモンの酸味が食欲をそそります。そうめんが、しじみの出汁とよく絡んでやみつきになるおいしさ。つるつると何杯でも食べたくなるレシピです」

【材料(2人分)】

・しじみ(砂抜きしておく)……200g
・そうめん……150g(3束)
・にんにく(みじん切り)……1片
・浅葱(小口切り)……1本
・唐辛子(半分に割って種を出す)……1本
・塩……小さじ1/2
・酒……大さじ4
・ごま油……大さじ1
・ナンプラー……大さじ1
・レモン……1/2個

【作り方】

1.しじみは砂抜きし洗っておく。にんにくはみじん切り、浅葱(あさぎ)は小口切り、唐辛子は、半分に割って種を出す。蓋付きの鍋に、みじん切りにしたにんにく、砂抜きしたしじみと酒、半分に割った唐辛子を入れたら、上から塩をふり、蓋をして中火にかける。

「酒を入れて蓋をし酒蒸しすることで、しじみ特有の臭みも取り除きます。酒蒸しは、貝類をシンプルにおいしく食べるにはぴったりの調理法。酒の代わりに、紹興酒で蒸すのもよいでしょう」

2. しじみの口が開いたら、弱火に落として1〜2分煮て火を止める。

「しじみの出汁に、にんにくの香味と酒の旨みが加わって、濃厚な出汁ができあがります」

3.沸騰したお湯でそうめんを茹でる。茹で上がったらザルにあげしっかり水を切ったら、ごま油をかけて絡める。

「ごま油を絡めることで、そうめん同士がくっついてしまうのを防ぎます」

4.ボールに、2、3、とナンプラーを入れ和える。

「しじみとにんにくから出た出汁とナンプラーを、そうめん全体に絡めるようによく混ぜます。ナンプラーは魚を発酵させて作る調味料のため、魚介類ともよく合います。ナンプラーと醤油では、味がまったくことなるので、ぜひナンプラーを使用してください」

5.器に盛り付け、小口切りにした浅葱をかけて、お好みでレモンを絞って食べる。

「よりエスニック感を出したい場合には、浅葱の代わりに、パクチーを入れてもおいしいです」

寒さが厳しい中、食べたくなるのは湯気の立ったほっとやさしい料理。さらに、疲れた体を癒し風邪予防に効果があれば、言うことなしでしょう。そんな冬の季節にぴったりの食材が寒しじみ。この時期にしか味わえない、旬のしじみを食べて冬を乗り越えましょう。

Profile

料理家 / 松島由恵

DoraTheFood主宰。建築業界で長く働いたのち、フレンチレストランでアルバイトをしながら料理家の道へ。雑誌の撮影現場やアパレル企業へのケータリングやお弁当の宅配をはじめたところ人気が集まり、現在ではレシピ開発・スタイリングをメインに活動している。著書に『きのこのレシピ帖』(PARCO出版)、『エキゾチック薬膳』(家の光協会)などがある。

取材・文=加賀美明子(Neem Tree) 撮影=鈴木謙介