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補給すべき栄養とNGな飲み物は?管理栄養士が教える
熱中症対策に効くドリンクレシピ

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近年は夏になると、猛暑を超えて“酷暑”と表現するにふさわしい日が続くようになりました。2024年も7月21日までの1週間で9000人もの人が熱中症で病院へ搬送される事態に。

この熱中症を予防するために欠かせないのが、水分補給・塩分補給・基礎体力・睡眠でしょう。なかでも“水分補給”は意識している人も多いのではないでしょうか。ところが、水分だけを補給することがかえって熱中症の発症へつながるおそれもあるとされています。

では、熱中症を防ぐためには何を・いつ飲んで水分補給すればいいのか、熱中症対策に有効なドリンクのレシピとともに、管理栄養士であり菓子・料理研究家として活躍するShieさんに教えていただきました。

熱中症対策の水分補給に
何をどう飲めばいい?

熱中症を予防するうえで水分補給が大切であることはよく知られています。具体的に、いつ、何を摂取すればよいのでしょうか?

「普通に生活しているだけで、人は尿、便、呼気、そして汗から1日に約2〜3.5リットルもの水分を失っています。とくに炎天下では汗をよくかきますよね。汗の99%が水分なので、水分補給はとても重要です。
ただし、この水分の摂り方にはコツがあります。身体が一度に吸収される水の量はコップ1杯程度と限度があります。喉が乾いたからと言って一気に摂るのではなく、こまめに摂ることが大切。具体的には、1日に200mlほど、グラスに8回程度に分けて飲むのがよいとされています。意識して計画的に飲むようにするといいでしょう」(管理栄養士・Shieさん、以下同)

体重50kgの女性に必要な水分量は1日1750ml程度

「生活スタイルによって個人差がありますが、たとえば健康な女性(30歳・体重50kg)の場合、1日に摂取すべき必要な水分量は1750mlほど。
飲料のみではなく食べ物からの水分量は5割程度を占めているとの報告がありますので(※1)、1日3食を食べると900ml弱の水分を食事で賄っていることになります。そのため、食事を抜いてしてしまうと、その分、必要な栄養素だけでなく水分も不足してしまうので、夏に食欲がなかったとしても3食しっかりとることが大切です」

水分と一緒に塩分も摂ったほうがいい?

水分補給だけを行うと、血液中の塩分やミネラル濃度が低くなってしまい、かえって熱中症になりやすいと聞きます。実際、水分と一緒に、塩分も摂ったほうがよいのでしょうか?

発汗によって、水だけではなくナトリウム等の電解質も失われます。ナトリウムは食塩の形で摂取されることが多く、食べ物の消化を助けたり、神経や筋肉の働きを調整してくれるミネラルです。そのため、たしかに熱中症対策には塩分補給は大切だと言えますし、大量発汗時には1リットルあたり1〜2g程度の食塩濃度で摂取するのがおすすめです。
とはいえ、厚生労働省によって推奨目標とされる1日の食塩摂取量は男性7.5g、女性6.5g未満とされており(※2)、直近の国民・健康栄養調査によると平均で1日に10g程度の塩分を摂取していると報告されています(※3)。つまり、日常の食生活の中ですでに食塩は十分に摂れていることが多いため、激しい運動や長時間の労働等での大量の発汗時でなければ塩分を追加で摂取することは気にしなくてもよいでしょう。とくに高血圧の方や腎臓に疾患のある人は過剰に摂取しないようにしましょう」

意識して摂取したい栄養素は「カリウム」

「汗をかくと失われるミネラルはナトリウムだけでなく、次いでカリウムも排泄されてしまいます。カリウムは私たちの体にとって大切なミネラルであり、神経伝達や筋肉の収縮・細胞間の浸透圧の調整などの働きがあります。カリウムを含む食材は、野菜やフルーツ。野菜では里芋・ほうれん草・じゃがいも、フルーツではバナナ・キウイ・ぶどうなどに多く含まれます。夏のフルーツの代表格であるスイカにも、多くのカリウムが含まれています。夏には積極的に摂りたい食材ですね。フルーツなら、ドリンクにも取り入れやすく簡単に摂取することができます」

食事から摂る栄養も大切に

「飲み物だけでなく、エネルギー源となる糖質や炭水化物、免疫機能を調整したり、抗酸化作用のあるビタミンCも熱中症になりにくい体づくりには欠かせません。とはいえ、どんな栄養素も歯車のように重なり合って体を整えるので、バランスよく食べることが大切です」

【POINT!】
熱中症対策には、水分・塩分・カリウムを意識しながらバランスの摂れた栄養素を摂取しましょう

熱中症対予防に適したドリンクと
意外と適さないドリンク

熱中症予防には、具体的にどのような飲み物が効果的なのでしょうか?

熱中症予防に適した飲み物は?

・麦茶
「熱中症予防として冷たい飲み物は体を冷まし、水分補給をするのに役立ちます。利尿作用のあるカフェインも含まれていないので量を心配せずに飲める点もいいですね。ただ、発汗時に失った塩分はほぼ含まれていないため、大量に汗をかいた場合は、別途、少量の食塩等で電解質を補うように心がけましょう」

・スポーツドリンク
「激しい運動をして多くの汗を流したときの水分補給に適しています。エネルギーとなる糖質を適度に含み、かつ塩分も入っているため、腸管で効率よく水分を吸収します。糖質量は経口補水液等より高めな傾向があり、その量はスポーツドリンクごとに異なるため、肥満や血糖値を気にする場合は、表示の炭水化物(≒糖質)の含有量を確認することをおすすめします。1時間以上の運動をする場合、食塩0.1〜0.2%(100ml中ナトリウムが40〜80mg、糖質4〜8%程度のものが、疲労回復に加え、水分補給効果にも役立つとされています。※4)」

・水
「水分を補給することは、熱中症予防のため、非常に重要ですので、積極的に回数を分けて摂るようにしましょう。一方で注意したいのが、大量の発汗時です。水分だけを大量に摂取すると、体内のナトリウム濃度が薄まることにより、体がイオンバランスを保とうと水分を尿として排出。かえって脱水症状を起こしやすくなることがあります(※5)。喉は潤うものの、水分だけを補給するとかえって熱中症の発症へつながってしまうこともあるので、合わせて少量の塩分も補給するようにしましょう」

熱中症予防に適さない飲み物は?

・コーヒー・紅茶・緑茶などカフェインを多く含むドリンク
「カフェイン入りのドリンクは利尿作用があり、水分を体内から排出してしまうので、おすすめしません。外出先のカフェなどで飲むことも多いと思いますので、あまり神経質になることはありませんが、熱中症予防の観点からは、控えた方が良いでしょう」

熱中症の症状が現れたときに摂取する飲み物は?

・経口補水液
「熱中症予防よりも、熱中症の症状が見られたタイミングで摂るのが望ましいです。経口補水液は電解質となるナトリウムやブドウ糖が1:1の割合で含まれるなど、下痢や嘔吐、頭痛などの際にも体内への吸収効率が高くなるよう適切な濃度で作られています。塩分を多く含んでいるため、常用して飲むと塩分過多になることもあり注意が必要です」

冷たい飲み物のほうがいい?

ドリンクの温度は5〜10℃がよいとされています。飲み物の温度が冷たい方が、胃に滞在する時間が短く吸収が早いことが分かっています(※6)。また、外気温や激しい運動により高まった体温を下げるには、冷たい飲み物の方が深部体温の上昇を抑制し作業の持久力を向上させるのに効果的です。
ただ氷のたくさん入ったドリンク等、冷たすぎる場合は胃腸への負担がかかる恐れもあり、逆に温かいドリンクでは、さらに体温を上げてしまうこともあります。温度に関しても意識して摂りましょう」

参考=
(※1)Tani Y, Asakura K, Sasaki S, et al. The influence of season and air temperature on water intake by food groups in a sample of free-living Japanese adults. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 907-13.
(※2)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版).1−7 ミネラル
(※3)厚生労働省.国民健康・栄養調査(令和元年).令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
(※4)公益財団法人 日本スポーツ協会. スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック nechusho_yobou_guidebook_2018.pdf (japan-sports.or.jp)
(※5)日本救急医学会.熱中症診療ガイドライン2015
(※6)独立行政法人 日本スポーツ振興センター. 競技者のための猛暑対策ガイドブック 第5章

続いてShieさんに、熱中症対策に有効なドリンクのオリジナルレシピを教えていただきます。見た目にも夏らしく、“熱中症対策”としてかまえずにおいしく飲める2品です。