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“2023年最強の開運アイテム”として話題!「パロサント」って何?
基礎知識と楽しみ方

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リラックスしたり、気分転換したりしたいときに手に取るアロマグッズは、すこやかさを保つための“お守り”のような存在。ここ数年、リモートワークや在宅時間が増えたことで、新たに取り入れた人も多かったのではないでしょうか?

アロマオイルやお香などさまざまな種類があるなかで、昨今YouTubeやSNSなどで見かけることが増えているのが、天然香木の「パロサント」。スペイン語で「聖なる木」と呼ばれ、豊かで甘い香りを放ちます。香りの高さと浄化力の強さから静かなブームを巻き起こし、ニトリなど取り扱う店舗も急増中だそう。そこで今回はパロサントの効果や楽しみ方、選び方のコツを、パロサントをいち早く日本に紹介し取り扱う興津理絵さんに伺いました。

“幻の香木”と呼ばれる
パロサントって何?

左がエクアドル産、右がペルー産のパロサント

「パロサント(Palo Santo)は、中南米の沿岸地域に自生する野生樹です。古くから、空間を浄化し幸福を呼び込むと信じられ、古代インカ帝国時代、ネイティブアメリカンからは『神の樹』と呼ばれていました。伝統的な治療や魔除け、シャーマンによる清めの儀式にもパロサントが使われていたそうです。
現在も教会のミサで焚かれる薫香や、瞑想の導入、空間浄化ツールなどとしてニューヨークをはじめさまざまな国で使用されています。

パロサントの魅力は、なんといってもその豊潤な香りです。自然倒木した木が長い時間をかけ、枯れていく過程で獲得する濃厚な香りは、香木の中でも特に香りの持続性が高いと言われています。

産地によって香りが異なるのも特徴で、エクアドル産は柑橘系の香りがほのかにするウッディーでバニラのような甘い香り、ペルー産はよりビターで落ち着きのあるワイルドな木の香りがします」(花学者・興津理絵さん、以下同)

国内で静かに巻き起こるパロサントブーム

花学者の興津理絵さん

「私が初めてパロサントを知ったのは、4年前に訪れたニューヨークでした。花や植物に抱いていた生命力やエネルギーの力強さと同じものをパロサントに感じ、『パロサントのエネルギーは必ず誰かに勇気を与える』という思いから、日本で広げたいと思いました」

それからほどなくして、興津さんはエクアドルの正規認定農家と契約し、パロサントを直接仕入れ、販売するようになったそう。

「輸入をはじめた当初、国内ではまだ一部の感度の高い方が買ってくださるだけでした。ところがコロナ禍で、家で過ごす時間が増えると、リラクゼーションアイテムのブームが再燃します。芸能人やYouTuberの方がおすすめのアロマとしてパロサントを紹介するたびに、少しずつ知られるようになりました。特に今年の年始、占い師の星ひとみさんが『2023年の最強開運アイテム』として紹介したことをきっかけに知名度は急上昇。パロサント人気は一過性のブームに留まらず、今や定着しつつある状況です」

パロサントには香り以外にもたくさんの魅力があるそうです。

「パロサントはワシントン条約により保護対象とされる大変希少な木です。自然倒木した木のみしか採取が認められず、現地の職人が1本1本手斧でカットし処理します。自然の流れに逆らわないサステナブルな生産背景にも魅力を感じますし、何の加工もされていない木そのものの手触りや、手作業によって生み出されるフォルムからはあたたかみが感じられます。

また、ただ良い香りがするからだけでなく、『自分で火をつけて香りを広げる』という行為を、自分自身と向き合う時間ととらえ、その体験に価値を見出す方が増えています。これもパロサントの魅力だと思います」

興津さんは普段、どんなシーンでパロサントを使うのでしょうか?

「私は起床後にスッキリしたい時や、就寝前のリラックスタイムに使っています。他にも、ヨガや瞑想、読書で集中力を高めたい時や、仕事でちょっと疲れた時の気分転換など、日常のあらゆるシーンで楽しむことができますよ」

パロサントってどうやって使えばいい?

パロサントの使い方としてもっともオーソドックスなのが、スティック上の木片に火を燃やし、煙を立ち上げて香りを楽しむ方法です。

【パロサントの燃焼方法】

1.パロサントのスティックを45度に傾け、ライターなどで着火させます。
2.火をつけて煙が出たら手で扇ぐように火を消し、白い煙だけが出る状態にします。
3.持ち歩きながらお部屋に煙を行き渡らせます。

4.煙を行き渡らせたら、自然に煙が立たなくなるのを待ちます。
5.火が消えた後も、焚き火のように木の内部が燃え続ける場合がありますので、耐熱皿の上で火種をしっかり消しましょう。
6.香りを楽しんだ後は、部屋の窓を開けて十分換気をしてください。

パロサントは油分をたくさん含んでいるので比較的燃えやすいものの、環境によっては湿気を含み、燃えにくくなる場合があるそうです。

【燃えにくいと感じた時の対処方法】

1.日光が当たるところに数時間放置し、スティックを乾燥させましょう。水分が抜けることで燃焼しやすくなります。
2.スティックについた煤を払いましょう。炎は上に上がる性質があるので、下向きにして燃焼すると燃え広がりやすくなります。
3.保管はチャック付きの袋か、風通しの良いところで行いましょう。食品のパッケージに入っている乾燥剤と一緒に保管すると、より長期間保管できます。

「パロサントはお線香のように火や煙が出続けるものではなく、通常すぐに消えます。『燃やして煙を広げ、香りを楽しむ』その一回を楽しむものだと思ってください。季節によりますが、1本のパロサントで30回程度、繰り返し使うことができます」

他にもある! パロサントの楽しみ方

1.インテリアとして飾って楽しむ
「手斧でカットされた自然のままの風合いが魅力のパロサントは、お気に入りの受け皿にのせて、インテリアとして飾って楽しむのもおすすめです」

2.芳香剤として使用する
「樹脂を豊富に含むパロサントは、そのまま置いておくだけでも濃厚な香りを放ちます。玄関に置けば邪気払いとして、トイレに置けば芳香剤代わりに。香りが弱まってきたと感じたら、カッターで先端を少し削りましょう。再び香りが蘇ります。香りの持続力が高いので、数ヶ月で香りがなくなることはありません。長い間楽しめるのもパロサントの魅力です」

3.消臭剤として利用する
「スティックをカッターで刻むと、より香りが出ます。細かく刻んだパロサントを巾着に入れ、靴の中に入れれば消臭剤になります。また、パロサントは樹木には珍しく、柑橘類の皮に含まれる『リモネン』を多く含みます。これは虫の嫌う成分です。巾着を衣装ケースやクローゼットに置けば防虫剤代わりになります」

4.天然石の浄化に使用する

「パロサントの濃厚な甘い香りとその煙には強い浄化作用があるとされ、古来より清めの儀式で使われてきました。現在では、天然石などのアイテムの浄化にも使われています。煙を直接あてるのが一般的ですが、細かく刻んだパロサントの上に天然石や天然石アクセサリーをのせたり、天然石の上にパロサントの木片を置くだけでも一定の効果はあります」

どうやって選べばいい?
粗悪品の見分け方

黒い点や線が虫食いの跡。一見、B級品かと思ってしまいますが……?

需要の高まりに比例するように、ここ数年でパロサントを販売する店舗は増えているそうです。良質なパロサントを見分ける方法はあるのでしょうか?

「パロサントは自然倒木した木を長期間寝かせたまま乾燥させるため、虫に食われることも珍しくありません。そのため商品には、虫食いの痕が時々見られます。きれいな状態を好む方が多いかと思いますが、虫食いの痕こそ、本物のパロサントの証だと思ってほしいです。

また、パロサントは現在、生きた木の倒木が禁止されています。原産国は、国をあげて厳しく取り締まりをしているものの、世界的に高まる需要もあり、違法伐採も行われています。極端に真っ白だったり、工業製品のようにきれいすぎるもの、価格が安すぎるものは要注意です。

一方、認定契約農家と取引している正規ルートのパロサントは、現地で働く職人やその家族の雇用や生活を守るため、ファトレードの考え方が取り入れられています。そのような企業から商品を購入することは、途上国の人々を支援する取り組みにつながります。パロサントは選択次第で、『エシカルな買い物』にもなり得るのです」

自分用から贈り物まで
花学者がおすすめするパロサント5選

Palo Santo sticks
オープン価格(実勢価格1200円前後・税込)

「認定農家から直接取引したフェアトレードのパロサント。チャック袋の中には、エクアドル産のスティックが5本入っています。手頃な価格で手に取りやすく、初めてパロサントを試してみたい方におすすめです。スティックの長さは約10cm。季節によりますが、1本で約30回使えます。パロサントの中でも珍しいエクアドル産は、リモネンの含有量が他の産地のものに比べて多く、より『パロサントらしい豊かな香り』を楽しめますよ」

サイズ:パロサント 約100mm(パッケージサイズ 110×20×170mm)
販売店舗:公式サイト、ニトリ(一部店舗)他取扱店

Palo Santo Plate
4290円(税込)

「エクアドル産のパロサント4本が入ったセットアイテムです。プレート付きなので届いたらすぐに楽しめます。銅製のプレートは、インドの職人の手仕事で作られた一点もの。シンプルかつ部屋のアクセントになるミニマルなデザインはどんな部屋にも馴染み、老若男女問わずおすすめのアイテムです」

サイズ:パロサント 約100mm
専用プレート(銅製) φ100mm

Palo Santo Flower Bottle
3960円(税込)

「ハーブやドライフラワー、パロサントを試薬瓶に詰めたフラワーボトルは、キャップを開けてアロマやポプリとして香りを楽しむのはもちろん、そのまま飾ってインテリアとしても楽しんでいただけます。キャップはパロサントホルダーとして使用できる2way仕様。母の日やクリスマスなど、季節ごとの限定品もあり、自分用はもちろん、ギフトにもぴったりです」

セット内容:ドライフラワー 、パロサント(3本)
サイズ:試薬瓶ボトル φ70xH135mm(パッケージ 155x90x95mm)
素材:ガラス瓶、ドライフラワー
※付属のドライフラワーは時期により変更になる場合があります

Palo Santo Holder
1100円〜(税込)

「パロサントは斜めに立てかけることで煙が立ち上がりやすくなるので、ホルダーとの併用がおすすめです。このアイテムは、陶器のような艶と質感を持ち、体や環境に有害なVOCや有機溶剤を使わずに作られています。一点一点が手作りで、色も模様も異なります。中にはロスフラワー(廃棄花)の花弁が埋め込まれたものも。値段も1000円程度〜と手頃なので、形や色違いで揃えたり、同じ材質のプレートとセットで組み合わせて飾るのも楽しいと思います」

Reed Diffuser set Brown marble
8470円(税込)

「エクアドル産パロサントの香りのリードディフューザー。試験管3本分ほどが入っており、香りは約半年もちます。容器は『Palo Santo Holder』と同じ素材で、大地をイメージした色味と柄、ひとつひとつが手作り品です。手軽に香りを楽しみたい方におすすめのアイテムです」

セット内容:ディフューザーベース、リードスティック3本、 試験管、フレグランスオイル(30ml)、パンパスグラス(ドライフラワー)
サイズ:25cmx12cmx3.5cm (パッケージサイズ24cmx6.5cmx15cm)
素材:アクリル樹脂、ガラス、ラタン、ドライフラワー
香りの持続期間:約6ヶ月 (環境によって若干異なります)

はるか昔から人々を魅了し続けてきたパロサントには、自然の持つエネルギーがたっぷりと詰まっています。その力強い生命力や神秘的な魅力を、香りとともに味わってみてはいかがでしょうか。

Profile

花学者 / 興津理絵

株式会社Greenery 代表取締役、花学者(カガクシャ)。慶應義塾大学医学部研究員として脳の研究に携わる傍ら、本物の花を水中で長期保存させるフラワーアート「フラワリウム」を開発。水に花や植物を浮かべ癒しの空間を演出するフラワーアートの第一人者。現在はフラワリウムのみに留まらず、世界中から集めた植物や五感で感じる暮らしのアイテムを多数展開。国内だけでなくヨーロッパでも販売を行うなど、植物のもつ生命の力で身も心も健やかな暮らしを生み出すことに多方面から挑戦し続けている。

取材・文=井上あいみ 撮影=真名子 編集協力=Neem Tree