自分と同じような感覚を持った人たちと、
暮らしと家をシェアするという選択
2017年10月末に帰国して以来、ここ最近は東京を中心に日本国内に滞在中。といっても相変わらず住所不定な彼女は、国内でもAirbnbを利用しながら仕事を続け、ゆるゆると家探しをしています。このインタビュー時点では、部屋はもちろん住む街さえもまだ未定。
「仕事仲間も友だちもたくさんいるので、まずは東京に拠点を持つのがよさそうだなと思っています。当初はひとりでの賃貸契約を考えていましたが、少し前に同じく世界を旅しながらライターをしている古性のちさんという女性と、タイのバンコクや東京で、ホテルやAirbnbの部屋をシェアする機会がありました。そのときの生活が想像以上に楽しかったのと、直感ですが『なんだか未来が拓けそうな感覚』が持てたので、彼女を含めた旅人複数人で家をシェアする暮らしも素敵だなぁと今は考えています。そして実際に、現在はそれが実現できそうな物件を探していますが、なかなか理想に近いものが見つけられないので……難しいですね。今後どうなるかは自分でもまだ分かりません」。
東京で家を決められたとしたら、ですが、実はその後は海外も含めた多拠点居住の構想もあるそうです。
けれど、おいしい料理を作りたくなるキッチンや、お気に入りのソファが置かれたリビング。毎日ぐっすりと安心して眠れる寝室。原稿を書くための専用スペースに、空や四季の移ろいを眺められる広い窓など。彼女が家に求める理想を聞いてみると、そのちょっぴり波瀾万丈な人生と比べたら、決して特別なものには感じませんでした。
「ミニマリストのように、何も持たないことが身軽さであり自由だという考えもあると思います。でも私が考える“身軽さ”ってそうではないんですよね。世界中どこでも、今すぐ自由に飛び立てるっていう身軽さを知り、それが自分にもできるのだと分かったからこそ、今やっと安心して家を持てる気になったというか」
’18年、年明けすぐにでも拠点を決めたいと話す伊佐さん。そんな彼女が、いま東京のどこで、どんな家を選び暮らすことになるのか…? インタビュー後編では、その気になる結論を紹介します。
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Profile
編集者 / 伊佐知美
1986年新潟県生まれ。株式会社WaseiにてWebサイト「灯台もと暮らし」の編集長を務めるほか、個人としてライター、フォトグラファー、オンラインサロンの主宰、イベント登壇といった活動に取り組む。2017年に「灯台もと暮らし」での移住者への取材をもとにした初の著書『移住女子』(新潮社)を上梓。同年秋には、オンラインコミュニティ「旅と写真と文章のSlackコミュニティ」を新たに立ち上げた。
灯台もと暮らし http://motokurashi.com/
取材・文=小堀真子 撮影=泉山美代子