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色・素材・アイテムの3点をポイントで取り入れる!ひと手間でできる、
自分らしい「北欧インテリア」の整え方

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自分らしい“北欧スタイル”を見つける3つのポイント

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“北欧スタイル”のお部屋作りにhow toや型があるのではなく、「自分らしい“北欧スタイル”を見つけていくこと」が大切だと話す岩佐さん。では、実際にどうすれば自分らしい“北欧スタイル”を見つけることができるのか、より実践的な方法を聞いてみましょう。

「『自分の家を心地よく過ごすためにインテリアがある』という北欧の考え方を尊重するならば、『まず自分が家の中でどう過ごしたいか』を考えて家具を配置し、その上でアイテムをどう取り入れるかを考えるとコーディネートしやすいです。例えば、『ダイニングで仕事をするなら、そのスペースを広く取る』、『ソファーでゆっくり本を読みながら過ごしたいから、リビングを広く』といった具合に、 心地よいインテリアは人それぞれです。

“北欧らしさ”を出すには、アイテムを取り入れることが一番簡単な方法。でも、モノの背景にある考え方や世界観にも目を向けてみると、さらに楽しみ方が増えると思います」

 

1. 「色使い」はベース+アクセントカラーを基本に

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「ベースになるのは、やはり太陽の光を取り入れやすい白や薄いグレー、ベージュなど明るい色が基本です。そこにアクセントカラーを加えていきます。例えばカーテンやテーブルクロス、クッションなどが取り入れやすいでしょう」と岩佐さん。さらに、色を重ねていくと不思議と北欧らしさが出てきます。

「“北欧スタイル”のカラーは、大きく2種類の系統に分けられます。一つは鮮やかでポップな色使い。マリメッコのようにビビッドな色使いをしている北欧ブランドはたくさんありますよね。もう一つはグレイッシュで落ち着いた印象のスモーキーな色使い。北欧のどんよりした曇りがちな空や、夜に雪が積もった後の夜明けのようなイメージです。まず、自分はどちらが好きなのかを考えてみると、取り入れやすいかもしれません

マリメッコのテキスタイルの一部。鮮やかなカラーに大ぶりの柄で華やか。(資料写真)
マリメッコのテキスタイルの一部。鮮やかなカラーに大ぶりの柄で華やか。(資料写真)

色を取り入れる際のポイントとして、「鮮やかな色なのか、くすんだ色なのかという色のトーン(彩度)を合わせると、まとまりやすい」と岩佐さん。さらにアクセントとして、黒を一部に使うと空間が引き締まっておしゃれな印象に仕上がると言います。

最初に方向性を決めて好きな色を取り入れたら、あとはトーンで統一してみたり、黒を使って引き締めてみたり。自分が選んだ色に、どんな色を加えるのかを考えるのがコツです。

 

2. 「素材」は、自然の温もりを感じる木材を

アルヴァ・アアルトの自邸。(資料写真)
アルヴァ・アアルトの自邸。(資料写真)

「お部屋のインテリアを構成する要素の中で、壁や床、天井などを除くと家具の存在感は、大きいですよね。だからこそ、どのような素材の家具を取り入れるのかで、印象がガラッと変わります。北欧らしさを感じる世界観を目指すなら、やはり家具は温かみのある木製のものをおすすめします。

木材にもさまざまな種類があって、色や質感が異なります。バーチ材やブナ材のような明るい色の木材もありますし、デンマークのビンテージ家具でよくみかけるチーク材は落ち着いた色合でシックな印象を演出できます。どちらを取り入れるかで、雰囲気はまったく違ったものになります」

1960年代デンマーク製のチェア。赤みの強いローズウッドを使用している。(資料写真)
1960年代デンマーク製のチェア。赤みの強いローズウッドを使用している。(資料写真)

「同じ素材でまとめると統一感が出ますが、それはなかなか難しい。我が家も同じ木材で統一しているわけではありません」と岩佐さん。しかし、岩佐さんのお部屋はナチュラルな統一感があります。その理由を伺うと「椅子とシェルフは同じバーチ材のものを選んでいます。一部だけでも揃えるとまとまりやすいですよ」とアドバイスをくれました。

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温かさのある素材が“北欧スタイル”のポイント。ですが、アイテムのなかには、照明をはじめスチールやアルミなどの金属製のものも多く見受けられます。

「金属系の素材も一部に取り入れることでアクセントになります。ナチュラルな空間に、ポイントでモダンな照明があるのもすごく素敵ですよ。もちろん北欧デザインの照明には金属製だけじゃなく、木や紙、ファブリックでできたものもたくさんあります。例えばデンマークのレ・クリントというブランドの照明は、日本の折り紙に影響を受けて、紙製のシェードランプを生み出しました。現在は特殊プラスティックペーパーで作られていますが、美しいフォルムとあたたかな光は、世界中を魅了し続けています」

木造の家が多く、昔から障子や襖などで「温かみのある素材」を内装に取り入れてきた日本は、北欧との共通点が多いと岩佐さんは話します。

「日本も四季を大切にしたり、自然を大切にしたり。それに木の文化もある。だからシンパシーを感じる部分があります。似ているところが多いから日本人は“北欧スタイル”が好きなのかもしれませんね」

 

3.手頃な「アイテム」を使って、空間を演出

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クッションカバーやブランケット、テーブルクロスなどのファブリックは、色や柄などのバリエーションがあるので「お気に入りの北欧デザインをひとつ取り入れるだけで、楽しさが広がる」と岩佐さん。

「自然素材のかごも、北欧らしさが出せるアイテムです。ブランケットを収納できるし、リビングにあると便利ですよ。カゴもいろんな種類があるので、自分の生活スタイルと用途に合わせて選ぶといいかもしれませんね」

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「北欧では、出窓にお花や小物を飾ることが多いのだそうです。我が家は窓に奥行きがないので、フレームで窓辺を演出してみました。フラワーベースもおすすめのアイテムです。お花を飾ることも自然を大切にする“北欧らしさ”の要素ですから。フラワーベースでなくても、北欧デザインのピッチャーやグラスでもいいと思います。

また、リーズナブルに“北欧スタイル”を味わいたいなら、ポストカード1枚でも印象が変わります。このフレームは100円ショップで買ってきたもの。好きな色の台紙を入れてカードを飾るだけで、北欧を旅しているような気分になれます。お金をかけなくてもいいんです」

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さらに、「コーナーを作ってテーブルライトを置いたり、キャンドルを使って小さい光をたくさん灯したり。さまざまな光を組み合わせると陰影によって室内に立体感が生まれ、ドラマチックな空間が作れますよ」と岩佐さん。

「ふと目に入るところに自分のお気に入りを飾ってみる」それだけで気分も変わります。今の生活にちょっとプラスできるのも“北欧スタイル”の魅力ですね。

 

「マリメッコ」のアイテムも、自分らしく取り入れる!

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1951年に創業したフィンランドの「マリメッコ」は、“北欧スタイル”の代名詞的ともいえるテキスタイルブランド。定番シリーズの「Unikko(ウニッコ)」と呼ばれるフローラルパターンは、ポップで大胆な柄とビビットな色合いが印象的です。

「マリメッコは、北欧らしさがあふれていて、大胆で自由。お花のモチーフをデフォルメして幾何学模様に展開するなど自然を再解釈したデザインに個性を感じます。1つ取り入れるだけで華やかになりますね」

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marimekko「Alku プレイスマット」4400円(税込)/「Kuusikossa ランチナプキン33X33」990円(税込)

今回は、気軽に取り入れられるランチョンマットとペーパーナプキンを使ったテーブルコーディネートを紹介していただきました。「みんなで集まったときにマリメッコの柄をプラスしていくと、それだけで一気に楽しい雰囲気になりますよ」。

マリメッコは、ブランドミッションとして「他の誰かの視線を気にして振る舞うのではなく、自分の人生を自分らしく生きてほしい」というメッセージを発信しています。岩佐さんのコーディネートも、マリメッコを使っていながら、シックで大人っぽい仕上がりに。岩佐さんらしさがにじみ出ています。

 

“北欧スタイル”の魅力は自分らしさを追求できること。自分が「素敵だな」と感じるものを取り入れて、自分だけの心地よさを見つけてくださいね。

Profile

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インテリアスタイリスト/岩佐 知布由

インテリアスタイリスト。雑誌、広告、カタログなどのスチール撮影やCMなどのムービー撮影の現場でインテリアや雑貨、暮らしに関わること全般のスタイリングを担当。ショップのディスプレイや住宅の空間コーディネートなども手がけている。
https://www.chifuyuiwasa-interior-stylist.com

 

取材・文=小野口真絹・室井美優(Playce)、@Living編集部 撮影=真名子