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窓だけじゃなかった!家事のプロが教える
家じゅうの「結露」対策

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カビの発生する3つの要因と対策方法

それでもカビが発生してしまった場合の対処法についても教えていただきました。カビは「温度」「湿度」「ホコリ」の3大条件が揃った時に発生します。つまり、この条件が揃わない環境づくりが大切です。

・温度

「カビは通常0〜40℃の範囲で生育可能ですが、種類によっては0℃以下で生育したり、高温でも死滅はしないものもあります。人間が快適な20〜30℃がカビにも快適で繁殖しやすいため、温度を調節してカビ繁殖を防ぐのは難しいかもしれません」

・湿度

「カビは80%以上で活発に繁殖します。中には60%以下でも繁殖できるカビもいます。大切なのは、湿気のもととなる水分をこまめに拭き取ること、また通気をして湿気をため込まずお部屋の空気循環をよくすることが大切です。24時間換気システムは常時つけておき、換気システムがない場合は換気扇を常時つけておくことをおすすめします」

・ホコリ

「カビは、ホコリだけでなく食べ物、人のアカや髪の毛、プラスチックなども栄養にします。汚れているものはすべてがカビのエサになると肝に銘じて、日ごろからこまめに掃除するように心がけましょう」

では、カビを増やさないための具体策とは?

1.窓、カーテン、そしてカーテンレールを掃除する

「カーテンを開け閉めすると、ホコリが舞います。ホコリに水分が付着することによりカビを繁殖させてしまいます。ぜひカーテンやレースカーテンの洗濯も定期的にしていただきたいですね。カーテンの洗濯時期としては、結露が増える冬の前の秋頃がいいタイミングです。また、見えていないカーテンレールにもホコリが堆積してしまいます。ホコリが溜まってないかチェックしてください」

2.カーテンを買い替えの際に防カビ仕様の商品を選ぶ

「結露が発生しやすいお宅では、カーテンの買い替えを検討してみてはいかがでしょうか? 定期的なお洗濯はもちろんしていただきたいのですが、『防カビ』仕様のカーテンにするだけで、日々のお手入れはしやすくなります」

3.窓の出窓などに本や布を置かない

「窓付近は湿度の高い場所なので紙や布を置いておくとカビが発生する原因となります。また、物を置くことで、掃除をするたびにものをどかさないといけません。そうなると窓周辺のお掃除も行き届かなくなります。窓の周りはできるだけものを減らし、いつでも掃除しやすい状態にしておくことが理想的です」

壁にカビが発生してしまったら?
早めに対処したい掃除方法

壁紙表面にカビが発生すると徐々に繁殖していきます。早めに掃除をしましょう。カビの繁殖段階に応じて掃除方法を教えていただきました。

【STEP 1】
まずはアルコールで軽く拭く

「発生後すぐであれば消毒用のアルコールで拭き取ります」

【STEP 2】
落ちない場合は中性の食器用洗剤を薄めて拭く

「カビが落ちない場合には、食器用洗剤を水に少し混ぜて、やさしくこすりましょう」

【STEP 3】
どうしても落ちない時は塩素系の漂白剤を薄めて拭く

「それでもカビが落ちないときは塩素系の漂白剤を水に100倍程度に希釈して拭き取りましょう。漂白剤は、酸素系でも良いのですが、塩素系漂白剤の方がより殺菌作用が強いためおすすめです。漂白剤を使う際には手袋をしてください。そして最後にクロスでしっかりと水分を拭き取りましょう」

【注意したいポイント】
「壁の素材によりお手入れ方法も違います。今回は一般的な、ビニルクロスのお掃除方法を説明しましたが壁紙のタイプによっては跡が残ってしまうこともあるので注意してください。また、洗剤等使用の際には、事前に目立たない場所で試してみてからおこなうようにしてください」

一見便利そうでも……
結露対策グッズの注意点

最近では100円ショップでも結露やカビ対策のアイテムが数多く見られます。しかし山口さんはこのようなアイテムも使い方を間違えると逆に湿度の高い環境になってしまうと言います。

「例えば、最近流行の珪藻土でできたアイテムは、吸水するので一見さらさらに見えるのですが、実際は中に水分を吸収している状態です。定期的にベランダなどで天日干しをする必要があります。また、ガラス下部に貼り付けるタイプの吸水テープも使用期間があります。ところが、その期間や目安を超えて長くそのまま放置して使い続けているお宅も多く見受けられます。テープが窓にくっつき劣化し、糊がくっついてしまい剥がれにくくなることもありますのでご注意ください」

便利アイテムは、どのようなポイントに気をつけながら選べばいいのでしょうか?

「剥がした時に糊が付かないか? しっかりと水分を吸えているか? 効果はどのくらいの期間持続するのか? などをチェックしつつ、こまめに交換、お手入れを行ってください。結局のところ、面倒なことはやりっぱなしにしがちです。ご自身の生活スタイルにあったアイテムを選ぶようにしましょう」

こまめな換気と拭き取りが大切
あらかじめ掃除しやすい環境づくりを

「結露ができやすい環境であるかは、基本的に家の作りに起因してしまうことが多いのです。例えば、家の断熱性の違い、家の向き、家の気密性など。総合的な要因が重なり、結露が発生します。そして結露のある空間は、カビやダニの育つのに快適な環境であることには違いありません。家自体の性能を上げることはなかなかむずかしいですが、日々の改善方法で結露は緩和されます。

私がもっともお伝えしたいのは、やはり、換気をして水滴のうちに拭きとること。こまめにお掃除するのは大変と思うかもしれませんが、いつでもさっと行動できるように、窓周りに物を置かず、使いやすいお気に入りの道具を揃える。自分の中で、お掃除をするハードルを下げていける工夫をしてみましょう」

心地よい暮らしにするための極意は、物を減らして、お気に入りの道具で手入れをする。自分が前向きに行動するための環境をつくる___とてもシンプルで効率的な方法でした。

Profile

じぶんサイズ代表 / 山口かな

清掃マイスター認定講師、片付け収納マイスター認定講師、生前整理診断士。掃除や片付けの仕方を知らず苦手と感じていた自身の経験をいかし、依頼者の暮らしにあった最善の方法を提案している。また、親のための家事代行サービスを展開。住まいの整備にとどまらず、介護、施設の提案、葬儀、相続の提案など人生を総合的にサポートしている。
HP

取材・文=癸生川美絵(Neem Tree) 撮影=矢部ひとみ