SUSTAINABLE 私たちを取り巻くSDGs

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ペットの殺処分という人間の身勝手を失くすために。人も動物も幸せに暮らせる社会を目指し、
私たちが「動物愛護」についてできること

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問題の根本的な解決を目指す「日本動物愛護協会」の活動

動物愛護の活動というと動物を保護し、譲渡会などを実施する保護団体のイメージがあるかもしれませんが、動物愛護の問題を根本的に解決するためには、人々の意識を変えていくことも必要です。

今回お話を伺った廣瀬さんが常任理事・事務局長を務める日本動物愛護協会は、「今を生きている命は幸せに、不幸な命は生み出さない!」をスローガンに掲げ、譲渡会の実施や、講演会・イベントを通じて社会への啓発活動を行っています。

殺処分の問題も、以下の4つの“ゼロ”が実現しなければ、本当の意味での“殺処分ゼロ”ではないと日本動物愛護協会は考えています。

  1. 無責任な飼い主を“ゼロ”に
  2. 動物達の命を捨てる人を“ゼロ”に
  3. 動物達の命を粗末にする人を“ゼロ”に
  4. 幸せになれない命を“ゼロ”に
子どもたちに動物愛護についての講演を行う廣瀬さん。
子どもたちに動物愛護についての講演を行う廣瀬さん。

現状に対処するだけでは、ボランティアの負担ばかりが増えてしまいます。だからこそ廣瀬さんは、自治体、学校、企業などの団体向けに「命の大切さ」をテーマにした講演を実施。特に将来を担う子どもたちへの教育活動に力を入れ、人と動物が上手に仲良く暮らせる社会を目指しています。

「子どもたちが大人になったときに、殺処分のない世界になっていればいいですね。私たちのような協会が不要になるような世の中になってほしいです。私の仕事はなくなりますが、それが一番だと思うんです」

 

啓発活動の一環で作成したポスターが、学校の“道徳”の教科書に

日本動物愛護協会とACジャパンによるポスター。ペットの衝動買いに警鐘を鳴らし、命の大切さを問う内容となっている。
日本動物愛護協会とACジャパンによるポスター。ペットの衝動買いに警鐘を鳴らし、命の大切さを問う内容となっている。

学校での講演活動に力を入れている廣瀬さんですが、より多くの人にメッセージを届ける公共広告による啓発も重視しています。「その一目惚れ、迷惑です。」というインパクトのあるキャッチコピーに聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。日本動物愛護協会は3年前から、ACジャパンが実施する支援キャンペーン団体に選ばれ、テレビやラジオのCM、新聞広告などを展開しています。

「啓発活動は成果を数字で見ることが難しいのですが、私たちが制作したポスターが、中学の道徳の教科書に採用されたことは励みになりましたね。先日も講演のために学校を訪れたのですが、ポスターを使った授業が行われた後に、私がお話をさせていただき、とてもスムーズな流れでした。生徒さんたちも真剣に話を聞いてくれているのが伝わってきて、こういう活動はどんどん広げていきたいです」

中学校の道徳の教科書に掲載された、日本動物愛護協会オリジナルの啓発ポスター。「捨てられた悲しみ」というテーマで、生命の尊さを学ぶ授業が行われているという。
中学校の道徳の教科書に掲載された、日本動物愛護協会オリジナルの啓発ポスター。「捨てられた悲しみ」というテーマで、生命の尊さを学ぶ授業が行われているという。

啓発活動によって、協会の活動に協力してくれる人や団体も増えていると、廣瀬さんは話します。

「寄付だけでなく、ペットフードなどの物資の支援、譲渡会来場者へのサポートなどの人的支援、譲渡会会場の提供など、支援のバリエーションもここ数年広がってきています。本当にありがたいです」

これらも、日本動物愛護協会とACジャパンによるポスター。クスッと笑えたりドキッとしたり。どこかで目にしたことがある、と記憶に残るキャッチコピーの数々。
これらも、日本動物愛護協会とACジャパンによるポスター。クスッと笑えたりドキッとしたり。どこかで目にしたことがある、と記憶に残るキャッチコピーの数々。

 

殺処分を減らすための不妊去勢の助成事業にも注力

日本で一番歴史のある団体として啓発活動に力を入れる日本動物愛護協会ですが、動物の命を守るための活動にも精力的に取り組んでいます。

「猫の殺処分を減らすためには、やはり不妊去勢手術を徹底していくしかありません。飼い主のいない猫は、ボランティアが自己負担で手術を行なっているのが実情。私たちは、そのサポートを何とかしていきたいと、不妊去勢手術助成事業に力を入れています」

不妊去勢手術助成事業では、活動者からの申請に対し、オス5000円、メス1万円までを助成しています。開始当初は600頭分を助成しましたが、6年経った2021年は、5000頭弱まで助成金を交付できるようになっています。この事業に個人のみならず企業単位で支援してくれることも増えてきました。

「幸せになれない命を産ませない。飼い主のいない猫をなくし、全ての猫に優しい飼い主が存在する世界を目指したい」と廣瀬さんは語ります。

 

ではあらためて、動物たちを守るために私たちには何ができるのでしょうか?