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パリ五輪に8名の代表選手を輩出!「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2024」から続く次のステージ

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バルサを下したヴェルディが山本ツインズの活躍で8大会ぶり3位入賞

決勝戦に先がけて行われた東京ヴェルディジュニアと川崎フロンターレU-12の3位決定戦。強豪バルサを破ったヴェルディは、トップ2の山本崇翔選手、山本大翔選手の双子の兄弟が得点源です。対するフロンターレは、準々決勝で大柄な選手が多い中国の中国足球小将を0点に抑えたディフェンスがどこまで通じるかが見所でした。

開始9分、山本大翔選手のシュートからこぼれ球を山本崇翔選手が押し込んで先制ゴール。後半30分には山本大翔選手がシュートを決め、兄弟が揃い踏み。0-2からフロンターレも再三ゴールに迫りましたがゴールを奪えず、逆にゴール前での果敢なディフェンスがレッドカードとなり、PKを山本崇翔選手が落ち着いて決めタイムアップ。8年前にも3位決定戦で対戦し2-0でヴェルディが勝利しましたが、今回フロンターレはリベンジならず、またもあと一歩で入賞を逃しました。

バルサ戦でも得点を決めた東京ヴェルディのエース、山本崇翔選手が先制のゴールを決めた。
東京ヴェルディの得点源、もう一人の「山本」、大翔選手も後半にゴールネットを揺らし兄弟揃い踏み。
川崎フロンターレは身体を張った守りから再三チャンスを演出したが、ゴールを奪うことはできなかった。
猛暑のなか、昼間の暑い時間帯は避け、試合中にはJリーグ同様に飲水タイムが設けられた。

同じ関東の強豪Jチームと切磋琢磨してきた末の勝利

決勝戦は同じ関東で切磋琢磨し合うライバルの対戦。バディーサッカークラブはJFA 全日本U-12サッカー選手権で2010年と19年の2度の優勝を誇りますが、19年に決勝で当たったのが柏レイソルU-12で、このときは3-1でバディーが制し、2度目の頂点に輝いています。

対するレイソルはワーチャレ初年度から参戦し、2013年の第1回、14年の第2回はともに3位入賞。10年ぶりのベスト4で初の優勝を目指します。今大会22ゴールと得点力の高いレイソルと、準決勝でヴェルディにPKで勝利するなど、接戦をものにしてきたバディーとの好カードとなりました。

通路での声出しで気合を入れた選手たちが、引き締まった表情で決勝の舞台に姿を現した。
過去2度3位入賞の柏レイソルにとっては初の決勝進出。

前半3分、バディーは浅利蓮生選手がゴール前に詰め、矢ヶ部敢太郎選手のミドルシュートで先制。さらに6分と8分に浅利選手のコーナーキックから田中譲選手が連続ゴールで3-0。さらに22分に関智也選手がミドルシュートで4点目。少ないチャンスから確実にゴールを奪ったバディーが4点リードで前半を終えました。

浅利蓮生選手のプレーから、バディーサッカークラブは幾度も好機をつかんだ。
開始早々、先制のゴールを決めたバディーサッカークラブの矢ヶ部敢太郎選手(中央)。
2連続得点を挙げた田中譲選手は、ピンクのヘアバンドとスパイクがトレードマーク。

バディーは後半もレイソルゴールに度々迫りますが、キーパーの佐藤惇太選手が好セーブを連発。攻守が目まぐるしく切り替わるもお互いゴールが奪えず、スコアレスで後半が終了し、バディーが大会初優勝を飾りました。

後半、柏レイソルの怒涛の反撃も佐藤惇太選手が好セーブでゴールを守り切った。
25分ハーフのゲームを戦い抜き、お互いに健闘を称え合う選手たち。
バディーの意味は「仲間」。その名の通りのチームワークで栄冠を手にした。

バディーの梅澤勇人監督は大会後、今回の優勝について「まさかここで優勝できるとは思っていませんでした。5月のワーチャレの予選を逃してチーム的にも苦しかったんですが、(8月の)プレミアリーグU-11チャンピオンシップの優勝で(ワーチャレ出場権を)勝ち取れて、その勢いでここまで来られました」。Jクラブの育成はだいたい小学2、3年からに対し、バディーは幼児教育から、サッカーに限らずいろんなスポーツを体験して年長の最後にセレクションがあるそうです。そうしたチームとしての継続的な取り組みが勝因となったのではないでしょうか。

「プロを目指す意識付けにいいのかな」と大会参加のメリットを語った梅澤勇人監督。

「神奈川にはフロンターレさんがいて、マリノスさんがいて、関東にはレイソルさん、ヴェルディさんもいて、本当に今まで切磋琢磨してきて、そのおかげで今があるのかなと感じます」。

そして、ワーチャレを通じて選手たちにどのようなことを吸収してほしいかを尋ねると、「海外からはバルサを筆頭に、アジアのチームも多く参加していて、みんなプロを目指してる。プロを意識したU-12のいろんな外国の選手たちとプレーすることにより、そこの意識付けとしていいのかなと思います」と大会参加のメリットを話してくれました。

五輪世代も躍動するワーチャレはこれからも続く

選手の健闘を称えるとともに、関係者やスタッフへの感謝を述べた浜田さん。

大会を終え、浜田さんは表彰式で決勝を戦った両チームに祝福を述べると、準優勝のレイソルにこう語りました。

「今回は入りがあまり良くなかった。これからのサッカー人生、小学校の残りの試合もあるし、中学校、高校と入りの良くない試合というのは、こういうことが起こる。なので、これを心に刻んでこれからのサッカー人生を強く歩んでもらえたらと思います」と、エールを贈りました。

3位のヴェルディに対しては「2013年、ワールドチャレンジが開幕した大会、バルサに0-5(準決勝)でヴェルディは負けているんです。それが今回2-0。守り切って勝ったわけではなく、がっぷり四つで戦い切った、それがすごく見ていて気持ち良かった」。

そして「今回、この4チームだけではなく、多くの日本全国のチームが非常に高いレベルで、そして海外から来たチームもレベルが高く、最後までどのチームが勝ってもおかしくない素晴らしい大会になりました。今回でワールドチャレンジは2013年から12回目ですけども、パリ五輪に合計8名の選手が出場する大会になりました。もちろん来年も、開催しようと思っています」と浜田さんは大会を締めくくりました。

今大会のMVPは、バディーの浅利選手が受賞しました。浜田さんに浅利選手の受賞ポイントを伺うと、「彼はスピードがあり、寄せが速い。彼を起点にボールを経由すると、状況が良くなる」と称賛。当の本人にも感想を聞きました。

Daiwa House MVP賞で自身の名前を告げられ仲間から讃えられる浅利蓮生選手。
緊張から解放された表彰式後には、喜びいっぱいの表情を見せた。

受賞については「いや、全然(取れると)思っていませんでした。いつも、彼(決勝2得点の田中譲選手)が取っていたので……」。スター揃いのチームで、自分にスポットが当たったことに、戸惑いながら喜びをかみしめていました。そして将来は「目標はプロサッカー選手になって世界で活躍すること。好きな選手は自分のプレースタイルとは違うのですが、三笘薫選手です」と慣れないインタビューにも健気に答えてくれました。

ワーチャレは、第1回大会から変わらず、大和ハウスと、賃貸住宅「D-ROOM」の管理運営を手がける大和リビングをはじめとするグループ会社の協賛で開催されている。

久保建英選手をはじめ、第1回大会に参加した当時12歳だった選手が、いまでは国を代表する選手に成長しています。これからも五輪で活躍する選手のなかには、ワーチャレの卒業生が続々と出てくることでしょう。初開催から13年、継続することで達成した大会は次のステージへ。参加する選手にとっては、ジュニアから次のステージに進む国内最高峰の大会として、ワーチャレがこれからも続くことを願ってやみません。

取材・文=取材・文=マイヒーロー 撮影=鈴木謙介