ITEM 新商品・掘り出しもの

シェア

新製品や新店舗も、ここから続々誕生!共感を価値に変える新しい仕組み、「クラウドファンディング」の楽しみ方

最近、よく耳にする「クラウドファンディング」。でも、仕組みをわかっているようで、わかっていない人も少なくないのではないでしょうか?

そこで、クラウドファンディングのプラットフォームを運営する「Makuake(マクアケ)」を訪ね、スタッフの方に、クラウドファンディングとはどんな仕組みなのか、またどうやって参加し楽しんだらいいのかを教えてもらいました。

 

実行者、支援者、プラットフォームがあって成り立つ仕組み

今回教えてくれたのは、Makuakeで“キュレーター”を務める細田芽衣さん。まずは「クラウドファンディング」そのものの仕組みについて、概略を教えていただきました。

Makuakeでキュレーターという役割を担う細田芽衣さん。プロジェクトの設計段階から実行者の相談役となり目標達成までの伴走役になってくれます。キュレーターがサポートするためプロジェクト成功率が高いことがMakuakeの特徴にもなっています
Makuakeで“キュレーター”という役割を担う細田芽衣さん。プロジェクトの設計段階から実行者の相談役となり、目標達成までの伴走役になってくれます。キュレーターがサポートするためプロジェクト成功率が高いことが、Makuakeの特徴にもなっています

「クラウドファンディングには、3方向の利害関係者が関わっています。クラウドファンディングという仕組みの中に、プラットフォームにプロジェクトを掲載して支援を募りたい『実行者』と、プロジェクトを支援する『支援者』、そしてその2者を繋ぐMakuakeのような『プラットフォーマー』です。

通常、プラットフォーマーはプロジェクトの掲載可否を判断する以外に、実行者のプロジェクトについて関わりを持つことは少ないのですが、Makuakeは、私のようなキュレーターがひとつのプロジェクトに必ずひとり担当としてつき、目標達成をサポートするのが特徴です。キュレーターが実行者のプロジェクトにアイデアを出し、プロジェクトをブラッシュアップしたりすることも珍しくありません」

またクラウドファンディングには、大きく3つの支援の種類があります。1つは、支援に対して、商品や権利でお返しをする「購入型」。例えば、お店を立ち上げたいというプロジェクトに支援した方に、お店で使える飲食チケットをプレゼントしたり、プレオープンイベントに招待したり……といった形式です。Makuakeもこのタイプ。もう1つは「寄付型」と呼ばれ、名前の通り、プロジェクトに寄付する形式であるため支援者に見返りはありません。そしてもう1つが、「投資型」。これは支援者に金銭や株式などを渡すものです。

クラウドファンディングのプラットフォームには、Makuakeのほかにも、アメリカ発の「Kickstarter」や、国内での草分けである「Readyfor」、「CAMPFIRE」などがあります。社会貢献を主にしたプロジェクトが多いプラットフォーム、個人の活動資金集めに関するプロジェクトが多いプラットフォームなど、それぞれ扱っているプロジェクトも特徴的。今回訪ねたMakuakeは、飲食店を中心とした店舗やプロダクト等の開発に関わる、新製品や新店舗の実現に向けたプロジェクトが多いのが特徴になっているといいます。

 

あの名作も、クラウドファンディングがなければ世に出なかった!

数あるプロジェクトのなかでも、大成功を収めた代表例が映画『この世界の片隅に』で、こちらもMakuakeのプロジェクト。本作はクラウドファンディングによって資金を集めて制作が決定し、結果的に第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、高い評価を受けました。今作は、公開直後から多くの支援者が劇場に足を運び、さらにそこから口コミによって人気が広がっていきました。

Makuakeで資金を集めた『この世界の片隅に』。エンドロールには、支援者の名前もクレジットされました
Makuakeで資金を集めた『この世界の片隅に』。エンドロールには、支援者の名前もクレジットされました

クラウドファンディングでプロジェクトを支援する楽しみを「まだ世に出ていない面白い製品や、自分が共感したプロジェクト、オープン前のお店を支援することで、特典を得られるだけでなく、そのプロジェクトにスタート前から“関わる”ことができるのが醍醐味です」と説明する細田さん。

電球型のLED「Siphon」、ケースやベルトなどをカスタムオーダーできる日本製時計「knot」、ポータブルの音楽デバイス「GODJ Plus」など、Makuakeで成功を収めたプロダクトの一例。まだ世にでていない商品やサービスに出合えるチャンス
電球型のLED「Siphon」、ケースやベルトなどをカスタムオーダーできる日本製時計「knot」、ポータブルの音楽デバイス「GODJ Plus」など、Makuakeで成功を収めたプロダクトの一例。まだ世に出ていない商品やサービスに出合えるチャンス

 

もちろん、支援するだけでなく、プロジェクトの実行者にも、クラウドファンディングは多くのメリットがあります。

 

まだ世に出ていないお店や製品を一緒に作り上げていく楽しさも

「例えば飲食店の場合、告知はオープン直前にクーポンやチラシを配布したりする方法が一般的ですが、クラウドファンディングを使えば、オープン前からお客様に知っていただくことができますし、オープン時には、支援してくださった方が足を運んで下さいます。Makuakeにはプロジェクトの進捗を報告するページがあるので、たとえば『内装がいま、こんな感じになっています』とか、『どんなメニューが食べたいですか?』など、支援者と一緒に店作りをしていくこともできるんです。

また、法人では新製品の“テストマーケティング”の場として利用されることも多いのですが、一般的なマーケティングと違うのは、実際に購入した人の声が聞けること。クラウドファンディングの反応を見て、展開するラインナップや生産数などを変更することもよくあります」

西麻布に会員制のバーをつくるためのプロジェクト。飲食ジャンルでは国内最高額となる1,500万円を超える資金を調達しました
西麻布に会員制のバーをつくるためのプロジェクト。飲食ジャンルでは国内最高額となる1,500万円を超える資金を調達しました

 

個人プロジェクトから一躍全国展開というサクセスストーリーも!

Makuakeでは、毎月100件を超える新しいプロジェクトが立ち上がっており、平均調達金額は200万円。もちろん法人だけでなく、個人でプロジェクトを立ち上げることも可能。「今では国内に複数店舗を立ち上げた“サクセスストーリー”も少なくありません」と、細田さん。

例えば「押し花を使ったスマホケースのプロジェクト」は、企業ではなく、主婦が個人で立ち上げたプロジェクト。予定していた目標を大きく上回るなど人気を集め、趣味の活動を超えて、全国に向けて製品を広めるきっかけとなった。

こうした成功例は他にいくつもあり、共感や支持を集められるようなプロジェクトであれば、誰にでもチャンスが広がっているのが、クラウドファンディングの魅力と言えるのです。

押し花を使ったスマホケースのプロジェクト。ハンドメイドのフラワーアートケースをMakuake限定のデザインで販売するプロジェクトが3回行なわれました
押し花を使ったスマホケースのプロジェクト。ハンドメイドのフラワーアートケースを、Makuake限定のデザインで販売するプロジェクトが、3回にわたって展開されました

実行者も支援者も、利用方法は簡単。ふたたびMakuakeを例にとってみると、支援者になるには、Makuakeのウェブサイトから、興味のあるプロジェクトを見つけて、支援するコースを選択するだけ。支援する金額によって、受け取れるリターンが変わる仕組みになっています。

また実行者になるには、Makuakeのウェブサイトから申し込んだ後、審査を通れば、細田さんのような専属のキュレーターがつき、サポートしてもらうことができます。サイトの掲載費用は無料。獲得した支援金額の15%(+決済代行手数料5%)を手数料としてMakuakeに支払うことになります。この手数料は、プラットファーマーによってさまざまです。

またプロジェクトは目標金額に達した場合のみ、支援者にリターンを渡す「All or Nothing方式」と、目標達成の可否にかかわらず、支援金を受けられる「All in方式」があり、実行者が選択することができます。

北海道に戦後初めてできた酒造会社「上川大雪酒造」の試験醸造酒、アルコール濃度を測定するガジェット「TIPSY」、熊本発のイルカの形をしたティーバッグなど、Makuakeには食に関するプロジェクトも多い
北海道に戦後初めてできた酒造会社「上川大雪酒造」の試験醸造酒、アルコール濃度を測定するガジェット「TIPSY」、熊本発のイルカの形をしたティーバッグなど、Makuakeには食に関するプロジェクトも多い

 

支援するのも、プロジェクトを立ち上げて実行者となるのも、それぞれの楽しみ方ができるクラウドファンディング。まずは気軽に第一歩、支援者として参加してみてはいかがでしょうか?

 

Fund

20171102_crowdfunding_profile

Makuake(マクアケ)
https://www.makuake.com

 

構成=n.プロジェクト 取材・文=奥田高大(エレファント) 撮影=三木匡宏