衣替えシーズンの到来です。このタイミングで、「洋服を減らしたいけれど、どう手をつけていいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、現役スタイリストの河井真奈さんに服の整理術について伺いました。
河井さん曰く、「クローゼットは自分を映し出す鏡のようなもの」とのこと。スタイリストとしていつも服と向き合っている河井さんだからこその言葉ですが、クローゼットを美しくキープできないという人には、少々耳の痛い話かもしれません。ここは襟を正して「服の整理術」、さらに、使いやすくきれいに収める「収納術」、無駄に洋服を買ってしまわないための「購入術」を教えていただき、しっかりと習得しましょう!
【すてる】
手持ちの洋服はトップス+ボトム+ワンピの30点まで
まずは河合さんに、必要な洋服の点数について聞きました。その答えは「1シーズンで必要な洋服は、トップス+ボトム+ワンピで30点までで充分」というもの。でも……決して着回し上手ではない私たちが、そんなに潔く自分の洋服を整理してしまって大丈夫かなと、ちょっと心配になってしまいます。30点で本当に間に合うものでしょうか?
「どれくらいの洋服が必要かは人それぞれで、30点はあくまで目安です。でも実際は、皆さんもそうだと思いますが、“1シーズンでお気に入りの服を何度も着る”ということが多いと思います。それだけ着たい服は限られているもの。だから、最低限30点あれば充分だと私は思います。むしろ少ない方が、小物でどうアレンジするかなど、コーディネートに知恵を出すようになる方もいると思います。そんなことを私が書籍に書いたところ、ある雑誌の女性編集者の方が実践してくださっていて『すごく気分がいい』と言ってくださいました」(河井さん・以下同)
「たとえば、1週間7日分のトップスが7枚あるとして、月に平均4回登場、ワンシーズンを3か月として。シーズンで着るのは12回。同様の数のボトムスを持っていれば、組み合わせで充分に変化が作れます。そこにワンピースを加えれば、毎日楽しく着回しが考えられるはずです」(河井さん)
また河合さんは“クローゼットにも家賃がかかっていると思いましょう”という表現をされています。とても面白い言葉だと思いますが、その真意はどこにあるのでしょう?
「服に限らず何でもそうですが、買ったものには維持費と場所代がかかります。クローゼットが着ない服であふれていても、あまりコストとして捉える実感がわきにくいですよね。もしそうなら、乗っていないクルマのために毎月駐車場代を払い続けているのと同じ、と言えばわかりやすいのではないでしょうか」
そうは言っても、なかなかクローゼットを整理できない人も多いもの。河井さんのお仕事上の経験の中から、わかりやすいエピソードを伺ったところ……
「ある雑誌の企画で、タワーマンションの高層階にご家族と暮らしている方のクローゼットを整理するお手伝いをしたことがありました。すごく立派なウォークインクローゼットでしたが、そちらに収まりきらずに旦那様のクローゼットにも侵入されていました(笑)。実は、整理の前にどのような洋服がお好みか、というお話をお伺いしたんです。そのとき『スカートは履かない、黒もほとんど着ない』とのことでしたが、整理を終えたら黒のスカートだけで10枚以上出てきたんです。まだ商品タグがついたままの洋服もたくさん。その方に限らず、皆さんのクローゼットにも、必要かどうかを問いかけていない洋服がたくさんあるのではないでしょうか」
いつか着るはずの「いつか」は、めったに来ない
「あまり着ないけど、気が変わるかもしれないから取っておこう」と保留にして、結局何年も着ていない洋服がクローゼットにたくさんあるというお悩みもよく聞きます。そのお悩みにも、河井さんのアドバイスはキッパリ!
「いつか着るかもしれない。捨てるのはもったいない。その気持ちはよくわかります。でもその『いつか』はなかなかやってこないものです。やっぱり着ないものは処分するのが正解で、着たいものだけがクローゼットに入っているほうがスッキリします。それだけでどれだけ気分がよくなるか、知っていただきたいです」
「これ惜しいな」と思ったものは写真を撮っておく
処分するにしても、人に差し上げるにしても、なかなか踏ん切りがつなかないもの。その際、思い切って実行するためのアドバイスをいただきました。
「“お嫁”に出す前に、一度その服を写真に撮っておくというのはいかがでしょうか? 高かったので最後まで惜しいと思ったジャケットなど、処分する際は写真を撮るのです。体型が変わって数回しか着なかったワンピースも、写真に撮っておけば処分はしても思い出は残るし、その上『私、昔はこんなに細身の服が着られたのね。この洋服は処分したけれど、またこんな細身のワンピースが着られるようにダイエット頑張ろう!』と励みになるかもしれません。そうすれば物理的に服はなくなっても、思い出はちゃんと残るはずです」
【すてる】作業が済んだら、早速【しまう】作業へ移りましょう。必要なものが厳選された上で、クローゼットの中でどのように配置するか、プロのコツを引き続きレクチャーいただきます。