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紫外線や熱中症対策に男性からもニーズ増。ジェンダーレスの
最新「日傘」7選

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2019年、環境省が熱中症予防のために日傘の活用を推進したことをきっかけに、これまで女性のものと見なされていた日傘が、男性にも普及しはじめています。年々暑さが増す日本では今後、誰もが日傘を手放せなくなりそうです。

この記事では、日傘がもつ効果や選び方、性別を問わず使える“ジェンダーレス”の日傘を紹介します。日傘の歴史とともに解説してくれたのは、1930年に創業し、職人技を継承しながら国産の傘作りにこだわる洋傘店「小宮商店」代表取締役の小宮宏之さんです。

移り変わる傘のトレンド
150年でどう変わった?

日本に日傘が広まったのは約150年前、明治維新真っ只中の1870年頃だといいます。

「傘には、和傘と洋傘の2種類があり、日傘の起源は洋傘にあります。国内で初めて販売されたのが明治時代初期です。当時の傘は高級装飾品で、上流階級の限られた層しか持てませんでした。1872年に、現在の東京・銀座で輸入洋傘の販売を手掛けていた『仙女香 坂本商店』が国産の傘を作り上げたことをきっかけに、少しずつ庶民に普及するようになりました」(小宮商店 代表取締役・小宮宏之さん、以下同)

小宮商店3代目の小宮宏之さん。

「当時の傘は、主に女性がファッションアイテムとして使用していました。明確な日傘と雨傘の区分けはなく、同じ傘を雨の日に使えば『雨傘』と呼び、日差しを遮るために使えば『日傘』と呼んでいたそうです」

小宮商店にディスプレイされている明治時代に実際に使われていた洋傘の復刻品。(写真提供=小宮商店)

「その後、約70年の時を経て太平洋戦争の終焉を迎えるわけですが、戦後も日傘利用の主流はあくまでファッションでした。昭和後期まで、『紫外線が健康に悪影響を与える』という概念がなく、日に焼けたほうが健康的で美しいという考えだったのです。
この流れが変わったのが90年代後半です。紫外線が体に害を与えると言われるようになり、突如、日傘の売れ筋が白から黒に変わりました。その後、傘生地にフィルムラミネート加工する技術が誕生し、UVカットのコーティング剤が開発されると、色や柄のバリエーションが一気に増えました。現在は、光を99.99%遮断する一級遮光の傘も登場しています。ファッションから健康志向へと、流行が移りつつあります」

やっぱり差したほうがいい?
日傘の効果

ここ数年で、実際、日傘を購入する男性客が増えているそう。

「男性用日傘が普及し始めたのは、2019年に環境省が熱中症予防のために日傘の利用を推進し始めた影響が大きいですね。以前は、日傘は女性のもので、男性が差すのは恥ずかしいというイメージがありましたが、年々深刻度が増す暑さでそうも言っていられなくなりました。実際、『一級遮光』の傘は大変涼しく、体感温度で4〜5℃の差が出ます。一級遮光でなくても、直射日光を遮ることで熱中症のリスクを減らし、日陰を作ることで涼しく過ごすことができます。一度日傘の快適さを体感すると、戻れない人が多いのではないでしょうか。
当店でも、5年ほど前から紳士用日傘を販売しています。最近は、女性向けのデザインや色の傘を買う男性が増えており、サイズのバリエーションを増やし対応しています」

熱中症予防以外にも日傘の効果はあります。

紫外線を長時間浴びることで、皮膚がんを引き起こす可能性があります。また、肌のシミやしわ、目の病気の原因になる場合もあります。日傘を差すことで、それらのリスクを軽減することができます。
熱中症予防なら、梅雨明けから8月頃までの日差しが強い季節に使用すると良いでしょう。紫外線対策が目的であれば、一年中使用する方もいます。当店では、『春分の日』を境に日傘の需要が増える傾向にあります」

小宮商店が手がける、
贈り物にもぴったりな日傘

(写真提供=小宮商店)

小宮商店が創業したのは1930年。お祖父様の代から90年以上に渡り、傘づくりの文化を継承してきました。

「実は傘づくりの工程のほとんどが手作業です。職人の技術や経験、感性が一本の傘に詰まっており、当店では創業以来、その伝統を守ってきました。しかし現在、国内に流通する傘の99%が海外製です。かつて日本橋界隈に70以上あった傘関係の店も次々と廃業し、現在、日本製の傘を作っている傘屋は都内でも数軒だけとなりました。
ビニール傘のような使い捨てではなく、『一本のお気に入りの傘に愛着を持って末長く使う』暮らしを、ものづくりを通して伝え続けていきたいと考えています」

「小宮商店」の傘は、職人の手仕事の美しさと丁寧さが感じられる品。そのなかでも、性別問わず使える日傘の中から、プレゼントにも最適な2本を紹介します。

・自然の風合いを楽しむ日傘

小宮商店「ナチュラル リネン」
3万8500円(税込)

「織物の名産地として400年以上の歴史を誇る、山梨県で織られた『甲州織』の生地を使用しています。麻ならではの独特の風合いと織り模様が楽しめます。さらに、今では希少な小幅の織機で織られているため、生地の端(耳)にミシン目がなく、長く愛用してもほつれる心配がありません。職人による美しい傘の張りも魅力です」

・見た目も差しても、涼しい遮光傘

小宮商店「シャンブレーシェード」
1万9800円(税込)

「涼しげなコットンとリネンのブレンド生地の裏に、ブラックコーティングを施し、遮光率・UVカット率99.9%以上を実現した折りたたみタイプの晴雨兼用傘です。親骨には軽量で丈夫なグラスファイバー素材を使用しています。適度な厚みと弾力性で、風に強く、錆びの発生もありません。持ち手には、あたたかみのある天然木を選びました」

晴雨兼用? 折りたたみ?
日傘の選び方

自分に合った日傘を見つけるには、何を基準に選んだら良いでしょうか? 引き続き小宮さんに解説していただきます。

1.用途で選ぶ

(写真提供=小宮商店)

洋傘は、雨傘、日傘(純正パラソル)、晴雨兼用傘、雨晴兼用傘の4つに分けられます。

雨傘
「ポリエステルやナイロンなどの合成繊維で作られています。雨から体を守るために、傘を開いた時にすっぽりと体を覆うような大きめの作りになっています」

日傘(純正パラソル)
「天然素材のコットンや麻、シルクなどで作られています。雨天時は使えませんが、その分レースや刺繍など、繊細な装飾が施され、ファッション性に富んだデザインが多いのが特徴です。風通しを良くするため、棒が長く、本体は小さめのサイズで作られています」

晴雨兼用傘・雨晴兼用傘
「晴れでも雨でも使えるのが兼用傘で、日傘の生地に撥水加工が施されたものは『晴雨兼用傘』雨傘の生地にUVカット加工が施されたものは『雨晴兼用傘』と分けられます。一方、海外製の日傘は総称して『晴雨兼用傘』と呼ばれています
選ぶ際は、メインで使うシーンに合わせると良いでしょう。男性で初めて日傘を持つ方は、雨晴兼用だと抵抗なく使えると思います。完全に日差しをカットしたい方は晴雨兼用の遮光率の高いもの、ファッションアイテムとして楽しみたい方は天然素材の日傘がおすすめです」

2.遮光性やUVカット率の高さで選ぶ

(写真提供=小宮商店)

『遮光率』とは、傘がどれだけ可視光線(目に見える光)を遮ることができるかを示す指標で、数値が高いほど日差しを遮ることができます。洋傘の業界団体であるJUPA(日本洋傘振興協議会)では、遮光率99%以上の生地を使用した日傘を『遮光傘』、99.99%以上の生地を使用した日傘を『一級遮光傘』と定めています。
『UVカット率』とは、紫外線をどれだけ遮ることができるかを示す指標で、『紫外線遮蔽率』ともいいます。UVカット率は90%以上がおすすめです」

傘の寿命はUVカットの加工法によって異なります。

一般的なコーティングタイプで2〜3年と言われています。使用後は軽く水洗いをし、風通しの良い場所でしっかり陰干しすることで効果は長持ちします。
天然素材の場合は生地が破れることがなければ長くお使いいただけます。ただし水洗いは原則NGです。汚れた場合は、ぬるま湯を含ませたスポンジで優しくなでるように拭きます。汚れが落ちたら水気をタオルで拭き取り陰干ししましょう」

3.持ち運びのしやすさで選ぶ

(写真提供=小宮商店)

日傘には、主に長傘タイプと折りたたみタイプがあります。

「アウトドアや長時間歩く時には、頑丈で耐久性が高く、日差しや紫外線をしっかり防ぐ長傘タイプがおすすめです。使用後に折りたたむのが面倒な方は長傘タイプのほうが簡単です。
一方、ビジネスシーンやちょっとした外出で使う場合は、折りたたみタイプが便利です。カバンに収納できるので仕事や通勤でも手軽に使えます。コンパクトタイプを選べば、常時バッグの中に入れておいても邪魔になりません。急な雨でも安心です」

日傘のサイズ選びの目安は体格によって異なりますが、一般的な基準として親骨の長さを考慮すべきだそう。

女性向けの日傘は親骨の長さが50cm、ユニセックスならびに男性向けは55cm〜となっています。ただし、同じ親骨の長さでも骨の数や日傘の形状によってサイズ感が異なるため、購入前に試してみることをおすすめします」

以上のポイントをふまえ、次のページでは編集部が選んだおすすめのジェンダーレス日傘をリストアップしました。