もっと掃除をラクにしたい。そんな家事の悩みを解消すべく登場したのがロボット掃除機。外出中に勝手に掃除してくれるなんて夢のようです。でも結局、ロボット掃除機の苦手な部屋の隅、階段などの段差の掃除は、自分で行うしかありません。そんなときに活躍するのが、手軽に使えるスティッククリーナーです。
コードレスなので手間いらず、思い立ったときにすぐ掃除ができるのは大きな魅力です。ロボット掃除機の普及により、広いスペースはロボット、壁際や段差はスティッククリーナーと、使い分ける人が増えたことで注目度も急上昇。各メーカーからハイエンドモデルが発売されるなど、今まさにスティッククリーナー全盛期へと突入したようです。
そこで今回、本サイトでも扇風機の記事などでおなじみ、家電コーディネーターの戸井田園子さんに再び登場してもらいました。6モデルすべてを実際に使い込んで知り尽くした戸井田さんが下す、6モデルの評価と、選び方とは?
使いやすさの決め手は吸引力アップと運転時間の長さ
「最近、ロボット掃除機とスティッククリーナーを併用する人が増えてきました。そうなると、“キャニスター(床に置いた本体とノズルをホースでつないだ掃除機)の代わりになるくらい高性能なスティックが欲しい”というニーズが生まれるもの。今では、高性能モデルが各メーカーから登場しています。まず高性能化したのは吸引力。コードレスでも、キャニスター掃除機と遜色ないほど吸引力がアップしているのです。今までのコードレスクリーナーは吸引力に不安がありましたが、高性能モデルのように吸引力が伴ってくると、もうコードありには戻れませんね。やっぱり電源コードから解放されると、掃除がラクですから」(戸井田さん・以下同)
そして高性能化したもう一点が、運転時間の長さだといいます。
「電池の質を上げる、充電池をふたつ付けるなどの工夫により、運転時間も伸びています。また、各社モーター開発にも力を入れており、モーターの消費電力を抑えることで運転時間が長くなりました。統計によると、一般家庭の1回の掃除時間は長くても30分程度。最新モデルは30分近く掃除できるので、デイリーの掃除はスティッククリーナーだけで問題ありません。ここ1年でこういったハード面の開発が進められて、運転時間の長さと吸引力アップの2点が進化し、スティッククリーナーは格段に使いやすくなっているんです」
さらに、スティッククリーナーの注目度が増すにつれ、実用的な機能も求められるようになったそうです。
「一昨年、各社のスティッククリーナーが出そろって、最近は使い勝手を重視する傾向が非常に強くなってきました。吸引力と稼動時間が増し、メイン掃除機としての役割を担うほど性能がアップしただけでなく、最新モデルでは、例えばダイソンがゴミ捨ての仕方を抜本的に見直したり、一方の国産メーカーはダストカップを丸洗い可能にしたり、紙パック式を採用したりするなど、実際の使いやすさに配慮した設計になっているのも特徴です。それぞれの独自機能もしっかりチェックして、自分の掃除スタイルに合ったものを選ぶといいでしょう」
そんな掃除ツールの大本命となった最新スティッククリーナーの中から、戸井田さんがオススメの6モデルをピックアップ。各モデルの注目ポイントも解説してもらいました。
ホコリが舞い上がらない、待望の紙パック式が登場
パナソニック
コードレススティック掃除機 MC-PBU510J
実売価格5万7808円
同社のキャニスター掃除機で好評だった“ハウスダスト発見センサー”など、各機能をスリムな本体に搭載したスティッククリーナー。高性能モデルで初めて紙パック式を採用している。また自立しないものの、グリップの裏に“壁ピタゴム”が付いているため、壁に安定して立てかけられるのも特徴だ。「高性能スティッククリーナーはパナソニックが最後発ですが、それだけに、どのメーカーもやっていなかった紙パックに着眼し、独自の路線を切り拓いたのはさすがですね」
本体サイズ=W252×H1160×D153mm
本体重量=2.3kg
隙間のホコリにもしっかりアプローチ
紙パック式だからゴミ捨てが簡単
目に見えないハウスダストをお知らせ
予備バッテリー付きで慌てずしっかり掃除できる
シャープ
RACTIVE Air EC-A1RX
実売価格6万1293円
ヘッドやパイプ、バッテリーまで含めた総重量が、わずか1.5kgと非常に軽い「RACTIVE Air(ラクティブエア)」のプレミアムパッケージモデル。バッテリーを2個同梱、たたき機能付きふとん掃除用ヘッドなど、多彩なオプションが付属している。「稼動時間を長くするために、予備バッテリーを付けた工夫が面白いですね。ふとん掃除用ヘッドも付属品とは思えないレベルなので、プレミアムパッケージはお得感があります。本体裏にラバー製のフックが付いていて、棚に“ちょいかけ”できるのも気が利いています」
本体サイズ=W222×H980×D220mm
本体重量=1.5kg
軽いから高いところもラクラク掃除
予備バッテリー付きで稼動時間が2倍に
絶妙に曲がるノズルがすき間掃除に便利
デイリーの掃除をサポートする機能が満載
日立
パワーブーストサイクロン PV-BE700
実売価格7万3217円
効率を高めた小型ファンモーターと、内部構造を見直しパワーロスを低減したパワーブーストサイクロンにより、最長40分の運転時間を実現。押し引きに合わせてヘッド前側のフラップが開閉する新機構を採用し、壁際のゴミまでしっかり吸引できる。「パイプ部分が伸び縮みするので、ノズルを付け替えなくてもハンディ掃除機として使えます。自立するのも便利だし、ヘッドの回転ブラシを丸洗いできるのもうれしいですね。デイリーの掃除で大活躍します」
本体サイズ=W255×H785〜1015×D230mm
本体重量=2.3kg
手元のボタンでパイプの長さを変えられる
「床を掃除する時は身長に合わせて長さを調整でき、階段ではパイプをしまいきってセミスティックに、持つ位置を変えればハンディ、とワンタッチでいろいろなスタイルに変えられます。ハンディとして使う際も、本体に付いているブラシノズルを前方に回転するだけと簡単です」
自立するから掃除中にパッと置ける
LED付きのヘッドでホコリを逃さない
コジマ電機
http://www.kojima.net/
※価格は2017年8月10日時点の参考価格(税込)です。
Profile
インテリア&家電コーディネーター / 戸井田 園子
大手プレハブメーカーでインテリアコーディネートを担当し、インテリア研究所を経て商品企画部へ。そのときに身につけた性能・デザイン・価格などをトータルに比較し、商品の優劣を見極める技術をもとに、フリーランスに。インテリアや家電のコーディネーターとして活躍。
※戸井田園子さんは、2020年5月17日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
取材・文=津田昌宏 撮影=泉山美代子